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再編呼ぶ“パンドラの薬箱”

健康食品に押される大衆薬が反撃の狼煙

2007年6月25日(月)

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 急成長する健康食品に顧客を奪われる一方、ドリンク剤を中心に売り上げを減らし続ける大衆薬メーカー──。こうした「大衆薬の冬の時代」に変化の兆しが見え始めた。大衆薬メーカーが新たな広告手法で反撃に転じたのだ。行政の健康食品に対する規制強化という追い風も受け、顧客の奪還へと大きく舵を切った。

臨床試験データの広告解禁

 大衆薬最大手の大正製薬は6月中旬、主力製品の1つである発毛剤「リアップ」の広告を主要な新聞に一斉に掲載した。1ページの全面広告には6タイプの脱毛症のイラストが描かれ、それぞれのタイプでリアップを使用した効果がグラフで表示されている。

 リアップを発売した1999年から2004年にかけて307人の利用者を調べた結果で、「良くなった」と「少し良くなった」という2つの回答の合計は、6タイプの平均で70%に上った。

 一見するとどこかで見たことがありそうな感じだが、実はこの広告は大正にとって初の試み。利用者を対象に自社製品の有効性を調べた「臨床試験データ」を初めて広告で紹介したからである。そもそも医師の処方箋が必要な医療用医薬品は、広告自体が薬事法で禁止されている。さらに処方箋がなくても購入できる大衆薬でも、臨床試験データを使った広告は、業界団体である日本大衆薬工業協会(大衆薬協)の自主規制で禁止されていた。

トクホが大衆薬をついに逆転

 ところが大衆薬協は今年4月、自主規制を改定し、大衆薬の有効性に関する臨床試験データを使った広告について、新聞や雑誌などの紙媒体や自社のウェブサイトに限って掲載できるようにした。この改定を受け、大正が新聞広告で先陣を切ったわけだ。

 大衆薬協が自主規制を緩和した背景には、特定保健用食品(トクホ)やサプリメント(栄養補助食品)をはじめとする健康食品の急成長がある。ドラッグストアの安売りの影響に加え、顧客が健康食品へ流れてしまい、ドリンク剤を中心に大衆薬の売り上げが激減しているのだ。1997年に9000億円弱だった大衆薬の市場規模は、2005年には約3分の2の6115億円まで縮小。同年に6299億円に拡大したトクホ市場にとうとう逆転されてしまった。

不満の矛先はトクホの広告

 市場の縮小は大衆薬メーカーの業績を直撃し、多くの会社が売り上げも利益も減らし続けている。象徴的なのが最大手の大正だ。主力のドリンク剤「リポビタンD」の不振が響き、2007年3月期の連結売上高は前の期比10.8%減の2421億円。連結経常利益は同49.9%減の249億円と3期連続で減少し、最高益だった2000年3月期の27.7%の水準まで落ち込んだ。

 採算の著しい悪化から、医療用医薬品を主力とする製薬会社が大衆薬事業を売却する動きも相次いでいる。今年4月には、第一三共の大衆薬事業子会社である第一三共ヘルスケアがゼファーマと合併。再出発した第一三共ヘルスケアは、山之内製薬、藤沢薬品工業、第一製薬、三共というかつての製薬大手4社の大衆薬事業が大同団結した会社となった。

 これだけ大がかりな再編劇を引き起こすほど厳しい市場環境にあえぐメーカーの不満の矛先は、顧客を奪い取っている健康食品メーカーへと向かっている。とりわけ非難の的となったのが、その広告宣伝のあり方だ。

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「再編呼ぶ“パンドラの薬箱”」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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