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強さの喪失を危惧する花王社長

ストーリーテリングで自社の“個性”を継承

  • 杉山 泰一

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2007年6月28日(木)

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 「若い頃は会議で議論が白熱すると、『だったら、これからみんなで現場に行こう』となっていた。消費者の視点が大事だなんて、あえて言うまでもない。それが花王らしさだった」──。

図版

花王のヒューマンヘルスケア事業の現場を訪問した尾崎元規社長(写真右端)。「企業間競争とは個性の磨き合い。だから理念の浸透、つまり花王らしさの徹底が不可欠だ」と考え、明文化した花王ウェイの浸透活動に力を注いでいる

 “消費材メーカーの雄”が経営理念の浸透活動に力を入れている。生え抜きの尾崎元規社長は、花王の強さの源泉、つまり花王らしさを明確につかんでいるがゆえに、実は不安を抱えていたからだ。「グローバル化と事業領域の拡大で大所帯となり、この花王たるゆえんをフェース・トゥ・フェースで伝承して、社員に染みつかせていくのは容易ではなくなってきた。海外も含めると2万人も従業員がいるから」。

 業務革新を続けていくためには、全社員が強い目的意識を持ち続けなくてはならない。経営トップが声高に叫べば、瞬間的にはベクトルは一定方向に向く。しかし、この先5年、10年といったスパンで見たらどうか。全社員が拠って立つ革新の方向性が必要になる。そこで尾崎社長は現在、花王らしさを凝縮した経営理念や行動指針などを明文化し、自ら国内外の拠点に足を運び、理念のストーリーテリングに取り組んでいる。「効果は1年や2年で出るものではない。だがどうしても必要なことだ」と不撓不屈の覚悟である。

 「特にグローバルに大きくビジネスを展開するためには、確固たる理念が必要だ。(消費財市場のライバルである)米P&Gや米ジョンソン・エンド・ジョンソンは当然そうしたものを持っているはず。理念がないと、何千人、何万人という数の人は動かないし、企業の競争とは個性の磨き合いなのだ」。尾崎社長はこの活動に“真のグローバル企業”への脱皮の夢も託す。

実は遅れていた「ナレッジ」の共有

図版

尾崎社長(写真後列左から3番目)は海外拠点でも花王ウェイの浸透活動に余念がない。写真はタイに拠点を置く販売会社での一幕。アジア地区は、理念の浸透活動上、海外の中では最も重要な拠点である

 2004年6月に社長に就任した尾崎氏は、2004年10月に企業理念「花王ウェイ」を明文化した。情報システムに先駆的に取り組んできた花王だが、それまでは、ものの考え方という「ナレッジ」を明示して共有していたわけではなかったのだ。

 花王ウェイの策定作業は、1935年入社の中興の祖である丸田芳郎・元社長の偉業を経営史として残そうと、2001年末に発足した社内プロジェクトから発展したものだ。創業の精神にまで立ち返って、花王ウェイは策定された。1887(明治20)年に誕生した花王は、高級品だった石鹸を泡立ちなどの性能を落とすことなく安く提供し、国民の清冽な精神を醸成する、という創業の精神を持っていた。この考えが出発点となって2代目の社長が、消費者のために良いものを提供できているか、ちゃんと時代の変化を捉えているか、と昭和初期に盛んに言いだした。

 尾崎社長たちの世代は若いうちから、「現場は見たか」「消費者は何て言っている」「時代はどう動いている」「世の中に遅れてないか」と上司や先輩から常に言われ、知らず知らずのうちに「消費者起点」という考え方が身体に染みついていた。花王にはそうした風土が育まれていたのだ。だからこそ、花王はものづくりの革新性を維持し続けられてきた。この風土の「見える化(可視化)」が必要になった。「時代の変化に合わせて目標や戦略は変える。しかし、ものに対する見方とスタンスは変えてはいけない。組織や商品に個性を生み出すからだ」と尾崎社長は言う。

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