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ハリーに揺れる米キリスト教原理主義

ハリー・ポッターへの反発が映す米国政治の構図

  • 竹中 正治

バックナンバー

2007年7月18日(水)

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 ハリー・ポッター・シリーズの第5作「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」の映画上映が始まった。私はポッター・シリーズのファンで、原作を読み、映画もすべて観ている。新しい巻が刊行されるたびにポッターやダンブルドアーたちの戦いに引き込まれ、魅せられる。

ローマ教皇がポッター・シリーズを批判

 ところが、日本ではあまり報道されないが、ポッター・シリーズに強い反発と警戒感を露わにする人たちがいる。2005年7月、ローマ・カトリック・ベネディクト教皇によるポッター・シリーズへの強い懸念を表す書簡が公開された。これは欧米のメディアで報道され、話題になった。

 この書簡は教皇に就任する以前の2003年3月に書かれたもので、『Harry Potter-Good or Evil ?』という著書でポッター・シリーズを批判したドイツのカブリエル・キュービー氏に宛てられた。教皇の許可を得て公開されたそうだ。

 書簡は短いもので、ポッター・シリーズへの批判を支持し、ポッター・シリーズは「子供たちが成長する前に、魂の中のキリスト教精神(Christianity)を気づかぬうちに深く歪める微妙な誘惑として働いている」と述べている。

 ポッターに関するローマ教皇を巻き込んだ欧米キリスト教徒らの議論は最近始まったわけではない。実は2003年2月に当時のローマ教皇パウロ2世がポッター・シリーズをどう思うかとの記者の質問に答えて、「もし私が著者の意図を正しく理解しているとすれば、それは子供たちが善悪の区別をできるようになることを助けることだろう」と肯定的な評価を与えた。

 欧米のメディアは、教皇がポッター・シリーズを是認したとこれを大きく報じた。保守的なキリスト教徒の一部は、これが気に入らない。バチカンの真意を歪めていると、この報道に強く反発した。彼らは反撃の機会を待っていたのだろう。現教皇が就任する前に書いたポッター批判の書簡を公開し、これがローマ教皇の真意だと訴えたのだ。

米国ではキリスト教社会を二分する論争に

 米国の事情に目を向けると、キリスト教事情はかなり複雑で、人口分布ではカトリック24%、プロテスタント諸派52%である(2002年調査)。双方にリベラルから保守まで存在している。ポッター・シリーズの是非に関するキリスト教徒らの議論は紛糾し、肯定派と否定派に二分されてきた。保守的なキリスト教徒の一部は何年も前からポッター・シリーズを学校や公共の図書館から排除することを求める運動をしてきた。

 いったい彼らはポッター・シリーズの何が気にくわないのだろうか。その共通する論点を要約すると次の通りである。

 「愛、友情、勇気を鼓舞する物語ではあるが、魔術と魔法使いを基本的な要素にしている。魔術や魔法使いが、普通のものであるかのごとく、時には救済であるかのように描かれている。反キリスト教的な魔術・魔法使いを普通のものとして受け入れさせる巧妙な仕掛けに満ちている」

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