ブルドックソースと米スティール・パートナーズとの買収防衛策を巡る法廷闘争で、東京地方裁判所と東京高等裁判所はブルドックの防衛策を容認した。「ブルドック、完勝」との見方が一般的だが、ニッポン放送の社外取締役としてライブドアとフジテレビジョンとの買収合戦にもかかわった久保利英明弁護士は「本当に勝ったのはスティールではないか」と指摘する。(聞き手は、日経ビジネス オンライン=谷川 博)
久保利英明弁護士
NBO ブルドック事件では東京高等裁判所がスティールを「濫用的買収者」と認定し、特定の大株主を名指しして“排除”することを容認しました。「ブルドック、完勝」との見方が大勢を占め、投資ファンドに対する風当たりも強まっています。
久保利 本当にブルドックの勝ちだったのでしょうか。私はあの事件で本当に勝ったのはスティールではないかと見ています。
NBO ブルドックの防衛策は、まずブルドックが全株主に新株予約権を無償で割り当て、一般の株主は予約権を普通株式に転換できるけれども、濫用的買収者と見なされたスティールにはそれを認めない。その代わり、予約権をブルドックが現金で買い取るというものでした。
まるで総会屋への“利益供与”ではないか
久保利 ブルドックがあの買収防衛策を発動したことで、スティールの持ち株比率は10%程度から3%弱に下がります。けれども、スティールは予約権を約23億円という大金でブルドックに買い取ってもらうことになる。しかも、裁判所のお墨付きまでもらって堂々と胸を張って。
スティール側から見れば、総額約18億円の投資に対して、リターンが約23億円ですよ。儲けはざっと5億円。儲けたのは誰かと言えば、間違いなくスティールなんですよ。
要するに、あの買収防衛策はブルドックがスティールに約23億円を支払うことによって、お帰りいただくための仕掛けなんですよ。特定の株主に対して大金を支払うことによって、その株主の影響力を低下させるというものです。問題なのは、こうした行為は企業による特定株主への“利益供与”と見ることができるということです。
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