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世界連鎖株安が発する教訓

米住宅ローン証券化が助長した無責任体質

  • ニューヨーク支局 山川龍雄・木瀬武

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2007年8月7日(火)

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 世界の金融・資本市場が波乱含みの展開をしている。7月末の米株式相場の連日の下落で、世界連鎖株安への不安が高まった。日本は参院選の影響もあり、不透明感が一層広がっている。

焦げつきの増加が止まらない

 米株安は、「サブプライム」と呼ばれる信用力の低い人を対象にした高金利型住宅ローンの焦げつき問題に端を発している。ここへきて世界中で住宅がらみの損失の話題が続いたからだ。

 まず、米国内で証券大手ベアー・スターンズ傘下のヘッジファンド2社が巨額損失を出した。ベアー・スターンズがファンドに実施する融資額は最大で32億ドル(約3800億円)。これは1998年に米ヘッジファンドLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の破綻に際して米金融界が行った融資額約36億ドルに次ぐ規模だ。

 豪州や欧州のファンドでも損失が相次いで発覚。「世界のどこにリスクが潜んでいるか見えにくい。サブプライム問題は、不透明感を空間的に広めている」(三菱東京UFJ銀行の鈴木敏之シニアエコノミスト)。

 今回の連鎖株安で浮き彫りになったのは、米住宅ブームの背後で金融システムの規律が緩んでいたことだ。サブプライム問題では、米住宅ローンの借り手の中に明らかに返済能力に問題がある人がいたにもかかわらず、それを排除する力が働かなかった。世界的な過剰流動性で行き場を失ったマネーが米住宅へ注がれる過程で、モラルが緩んでいたのである。

ブローカー任せの融資に甘さ

 先頃、それを象徴する金融機関の動きがあった。連鎖株安が始まった7月26日、米銀大手のウェルズ・ファーゴが住宅ローンブローカーを介するサブプライムの業務から実質的に手を引く方針を打ち出した。ウェルズ・ファーゴはトリプルAの格付けを持ち、住宅融資でも比較的厳格な審査を貫く銀行として知られる。その同行ですら、ブローカーに依存した住宅融資を続けていたことが明るみに出た。

 米国には住宅ローンの借り入れノウハウを提供し、本人に代わって金融機関と交渉するブローカーが存在する。報酬は成約ごとに金融機関から支払われるが、どんなにリスクの高い住宅ローンを組んでも、原則として焦げつきに対する責任は負わない。その結果、信用度の低い層にも無理な住宅ローンを勧める行為が横行していた。

 ブローカーの存在が第1のモラルハザード(倫理の欠如)だとすれば、第2のモラルハザードは貸し手である金融機関の意識の中にあったと言える。

 米住宅ブームを後押ししてきたのは、銀行がローン債権を証券化して投資家に売却する仕組みだ。MBS(不動産ローン担保証券)は、米国では国債と並ぶ大きな市場。サブプライムを含む各種債務で構成されたCDO(債務担保証券)は高利回りで信用格付けも高く、ヘッジファンドや保険会社に人気がある。市場規模はサブプライムが8000億ドル余り。MBSは6兆ドル、CDOは1兆ドルと見られている。

 過剰流動性が続く世界の金融市場では、証券化の買い手が容易につく。その結果、「信用度の低い層に融資してもリスクを自ら負う必要がない」という慢心が金融機関に芽生え、過度な住宅ローンの融資合戦につながった。

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