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参院こそ政権維持の源泉

小泉改革が踏み込まなかった「聖域」

  • 田村 賢司,杉山 俊幸,馬場 完治,中原 敬太,蛯谷 敏

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2007年8月8日(水)

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 「聖域なき構造改革」を叫んだ小泉純一郎・前首相が不思議なことにメスを入れようとしなかった対象がある。参議院だ。むしろ小泉前首相は政権運営で自民党参院議員に目配りを忘れなかった。それはなぜか。惨敗した安倍晋三政権がこれから直面する難局を読み解けば、小泉シンドロームが支配する時代に残された課題が浮き上がる。

年金、消費税、安保に暗雲

 秋の臨時国会は空転また空転の大波乱模様――。

混迷必至、秋の陣

 まず最大の焦点は、消費税率引き上げ。安倍首相は「参院選後に本格的な増税論議を始める」という姿勢を今のところ保ってはいる。しかし、税率を5%のまま据え置き、歳出見直しで15兆円をひねり出すという方針を掲げて圧倒的な支持を取りつけた民主党が大勝した以上、新たな国民負担増につながる税率アップを真正面から訴えるのはほぼ不可能に近い。

 「2008年の通常国会で消費税率引き上げ法案を可決、2009年4月に消費税率を引き上げる可能性は大幅に低下した」。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、選挙翌日7月30日のリポートで早速、こう指摘した。

 消費税率引き上げは、公的年金の財源問題とも密接に絡む。基礎年金の財源については、2009年度までに国庫負担を従来の3分の1から2分の1に引き上げることが決まっており、その分を消費増税で賄うなら、年末の2008年度税制改革論議で固めなければならない。安倍内閣の目玉でもある「年金」「税制」という経済政策は、早くも暗雲がたれ込めている。

 消費税率引き上げと並んで、最大の難関と見られているのが、11月1日に期限が切れる、テロ対策特別措置法の再延長を巡る議論だ。同法は、アフガニスタンでのテロ撲滅作戦を支援するためインド洋に展開する米軍艦などに、自衛隊が給油活動を実施する活動の根拠となる。いわば、日米の安全保障関係の根本にかかわってくるテーマ。政府は期限切れの前に必要な手続きを済ませたい考えだが、こちらも民主の反発で審議が難航するのは避けられない。

 与党は過半数割れとなった参院で法案を否決されても、圧倒的多数の議席を持つ衆院で3分の2以上の賛成を得られれば再可決できる。だが1回の国会で提出、審議される法案は多く、この強行手法で法案すべてを可決させることなど、到底無理だ。衆院を通った法案が参院で否決されたのは過去に6回あるが、そのうち4回が1950年代。最近では、選挙区制度を含む政治改革関連法案を可決した1994年と、郵政民営化を巡って衆院を解散、総選挙に打って出た2005年の2回しかない。使い方を誤れば、解散総選挙という危うさを秘めている。

 自民は参院の第1党の座を初めて民主に奪われ、議長や委員長などの要職も譲り渡す見通し。与野党対決型の法案が出てきた時に、前回の通常国会のように強引な採決を繰り返すことは、もはや不可能だからだ。

 民主は「衆院から送られてきた法案に対し、何でも反対して潰すことはしない」としている。しかし、60日間審議せずにたなざらしにして「みなし否決」に追い込むなどの様々な戦法を取ることもできる。

 現在の憲法は、衆院を第1院、参院を第2院と、明確に衆院の優越を定めている。ただし、2院制が認められている以上、参院は衆院から完全に独立した存在であるとも言える。予算の先議権がないなどいくつかの点で衆院に優越性を譲るが、一方で、衆院で可決した法案を審議しなければならない義務もない。「参院議長が開会のベルを鳴らさない限り、審議は始まらない」(自民の青木幹雄参院議員会長)。このことの重要さを最もよく知っているのは、ほかならぬ自民である。

 「世間は安倍首相に対する問責決議を出すかどうかに目が向いているが、実は国政調査権の本格行使という点にも注目している」

 小川敏夫・民主党参議院幹事長は打ち明ける。問責決議は拘束力はないものの、防衛庁の不祥事が発覚した際、額賀福志郎・防衛庁長官を辞任に追い込んだことがある。野党が多数派になり、証人喚問や資料提出要求など調査権行使がやりやすくなる。赤城徳彦・農林水産相のようなケースは、格好のターゲットになるわけだ。

 瀕死の安倍政権の前に立ちはだかるのは、重要政策ばかりではない。こうした国会運営の戦術の「小技」も、真綿で首を絞めるように安倍政権を追い詰めていく可能性がある。この秋の臨時国会が安倍首相が退陣に追い込まれるかどうかの最初のヤマ場――。永田町ウオッチャーや金融市場では、こうした見方が大勢を占める。

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