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部材各社、進出巡り温度差

総投資1兆円のシャープ「液晶コンビナート」

  • 坂田 亮太郎,中島 募,大竹 剛

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2007年8月21日(火)

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 「第10世代は想定していたが、あそこまで思い切った手に出るとは」。シャープが7月末に発表した「液晶コンビナート」の建設計画に松下電器産業の幹部は驚いた。

 シャープは3800億円もの巨費を投じて、堺市に新たな液晶パネル工場を建設する。今年11月に着工して2010年3月までの稼働を目指す。現在稼働中の三重県亀山市にある亀山第2工場は縦2.16m、横2.46mの第8世代のガラス基板を用いている。

 第8世代であれば40インチ台の液晶パネルを1度に8枚切り出せるが、堺工場が採用するのは第10世代。縦2.85m、横3.05mの巨大なガラス基板を用いて、40インチ台の液晶パネルを15枚も切り出すことができる。

 第1期工事分で毎月3万6000枚、第2期工事が完了しフル稼働すれば同7万2000枚のガラス基板を製造する計画だ。40インチで換算すると月産108万枚の生産能力になる。堺工場だけで、今年度のシャープの液晶テレビの販売目標台数以上の能力を持つ。

 ライバルのソニーと韓国サムスン電子の合弁パネルメーカーである韓国のS-LCDは、ようやく今年7月に第8世代の液晶工場を稼働させたばかり。シャープは新工場の建設で、ライバルを一気に引き離したい考えだ。

隣接で搬送コストなど削減

 松下幹部を驚かせたのは生産能力の大きさだけではない。むしろシャープが敷地内に自ら部材メーカーを誘致し、液晶パネルを生産する一大コンビナートを建設することである。第1期工事には、カラーフィルターを生産する大日本印刷とガラスメーカーの米コーニングが進出を表明している。

就任後初の大型投資となったシャープの片山幹雄社長。コンビナート方式で勝ち残る戦略を打ち出した

就任後初の大型投資となったシャープの片山幹雄社長。コンビナート方式で勝ち残る戦略を打ち出した (写真:山田 哲也)

 部材メーカーなどの投資分も含めると総投資額は1兆円規模に達する。構想をぶち上げたシャープの片山幹雄社長は「企業の垣根を越えた究極のコンビナート」と胸を張った。

 数ある部材の中で、カラーフィルターとガラスの工場をパネル工場に隣接させるメリットは大きい。ガラス基板が大型化するほど、この2つの部材の搬送コストが増大するからだ。

 液晶テレビに使用されるガラスは厚さが0.7mmと極薄にもかかわらず、第10世代であれば畳5畳分もの大きさとなる。取り扱いが難しいうえ、従来はガラスをカラーフィルター工場に運んで加工し、再度パネル工場に運び入れる必要があった。

 コンビナート内で各工場が隣接していれば、輸送コストを大幅に削減できるだけでなく、ガラスの損傷など搬送時のトラブルも低減できる。

パネル価格の下落は止まらず

 薄型テレビ市場でシャープが勝ち残るためには、コスト削減は至上命題だ。薄型テレビは年率2~3割の価格下落が続いており、シャープは単価アップのために大画面化に力を入れてきた。だが、40インチ以上の大画面テレビにおけるパネルの原価は今もプラズマテレビ用の方が安く、シャープはさらなるコスト競争力をつけることが急務となっている。

 中武成夫副社長は「シャープと部材メーカーが少ない利益を奪い合うのはもう限界。互いに協力していかに無駄を省くかを考えた結果、コンビナートという発想に行き着いた」と語る。

 コンビナート内に部材メーカーを囲い込めれば、追随する韓国や台湾の液晶パネルメーカーに最先端技術が流出するリスクも減らせるとシャープは期待する。

部材メーカーを囲い込み

 シャープが「21世紀型コンビナート」と自画自賛する堺工場も、部材メーカーには両刃の剣となりかねない。工場進出によって重要顧客であるシャープとの関係を強化できることは、部材メーカーにとってメリットが大きい。ただ、シャープは進出を決めた大日本とコーニングだけから部材を買うわけではないのだ。

 カラーフィルターについて、シャープは第2期で大日本のライバルである凸版印刷に進出するようにラブコールを送っている。堺工場は敷地面積が最大約127万m2と巨大であるため、複数の部材メーカーが進出する余地があるのだ。

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