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シリーズ:日米関係は大丈夫か?(2)

日本企業はいつまで“日本”を隠し続けるつもりなのか

  • 冷泉 彰彦

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2007年8月22日(水)

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 アメリカ社会では空前の日本ブームが起きている。

 日本どころか外国などとは無縁の地方都市にも日本食レストランが登場し、書店ではジャパニーズ・マンガの翻訳本が大きなスペースを占めている。メジャーリーグでの日本選手の活躍は当たり前になり、球宴MVP(最優秀選手)を獲得したイチローは球聖扱いだし、松坂の登板試合では全国スポーツ局ESPNの看板キャスターのジョン・ミラーは「こんばんは」という日本語の挨拶でアメリカ全土の視聴者に呼びかけたりもしている。そう言えば「ダイスケ・マツザカ」というローマ字ではやたらに長い綴りになるその名前も、アメリカの野球ファンの間では完全に定着した。

 私たち在米日本人にとっては、そうした変化は生活実感としても大きい。一昔前であれば、12月7日のパールハーバー記念日には、子どもたちは学校で小さくなっていなくてはならなかったし、弁当としておにぎりを持って行ったら「黒くて気味が悪い」と言われたという話をよく聞いたものだ。そうしたムードはここへ来て雲散霧消している。日本文化に対しては、ほぼ無条件の好意的イメージが出来上がっていると言ってよいだろう。

「日本」を意識的に排除するイメージ戦略の不思議

 にもかかわらず、“日本企業”は北米市場のマーケティングにおいて自分のアイデンティティー、すなわち「日本」を隠す習性が消えていない。

 例えばカメラ業界。写真好きのアメリカ人にとって日本のカメラ業界の技術への信頼はほぼ無条件と言ってよいだろう。だが、キヤノンにしてもニコンにしても、イメージ戦略の中から「日本」を意識的に排除しているとしか思えないのだ。

 キヤノンは北米市場でもマリア・シャラポワをイメージ・キャラクターとして使っている。そのシャラポワはアメリカでは“外国人”であり、特に国民的英雄であるウィリアムス姉妹の“宿敵”だということはともかく、日本の技術力を代表するキヤノンと、ロシア人シャラポワのミスマッチ感は、そうした「日本隠し」の象徴とも言えるだろう。

 そのキヤノンは8月20日に中級デジタル一眼レフのモデルチェンジを発表するとともに、俳優の渡辺謙をイメージキャラクターに選任したことを発表した。だが、キヤノン・マーケティングによれば、あくまで国内市場向けの措置だという。知名度、好感度、そしてメッセージ性ということでも、正に北米向けにピッタリの人選だと思われるのだが、いまだにキヤノンUSAのウェブサイトはシャラポワのままだ。

 この点ではライバルのニコンも大きなことは言えない。肝心の社名について、Nikonという綴りではどうしても“ナイコン”と発音されてしまう中、「ナイコン」の名の下にブランド評価が定着してしまったのを放置しているのだ。それもある種の“日本隠し”だろう。

 社名と言えば、音響機器のデノンの例もそうだ。長い間、日本市場では「デンオン」という名前で親しまれていたにもかかわらず、英語圏ではDenonという綴りがどうしても「デノン」と発音されてしまうことから日本での正式な社名もデノンに変更してしまっている。デノンのケースでは、資本関係が多国籍化したという事情はあるが、ブランドとして日本色が薄まったのは事実だろう。

iPodの心臓部は日本製、しかし誰も知らない

 音響機器に関して言えば、CDを中心とした第1次のデジタル化革命では価格破壊と付加価値破壊に突っ走った苦い経験があり、そしてMP3を中心とした第2次デジタル化革命では、iPodに市場を席巻されていまや衰退産業化している。

 そのiPodの場合、現行製品の主要なストレージデバイスは東芝や日立製作所など日本製ハードディスク(HD)であり、コスト面でも重量・容積といった点でもHDが過半を占める。ハードとしてだけ見るならば、iPodとはHDをケースに入れて、それにチップとスイッチが埋め込まれただけのものだと言ってよいだろう。

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