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消費者保護、2つの壁が露呈

携帯電話火災、ノキアも松下も対応は後手に…

  • 田中 成省,小笠原 啓,石川 潤,鈴木雅映子

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2007年8月28日(火)

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 7月28日午前10時15分、大阪府東大阪市の住宅で爆発音が鳴り響いた。充電中の携帯電話から発熱した電池パックが飛び出し、フローリングの床を激しく焦がした。本来なら、メーカーの存亡にも影響を与えるような大事故のはず。だが、当該メーカーの動きはあまりにも鈍かった。

ノキア・ジャパンのタイラー・マクギー社長

ノキア・ジャパンのタイラー・マクギー社長 (写真:陶山勉)

 火災を起こしたのは、フィンランドの大手携帯メーカーであるノキアが、松下電池工業のリチウムイオン電池を組み込んで製造した携帯電話機だ。

 5月に改正された消費生活用製品安全法(消安法)によれば、ノキアは火災事故の発生を認知してから、10日以内に経済産業省に事故の概要を報告することが義務づけられる。しかし、ノキアは火災発生から2週間以上経った8月14日にようやく事実を公表、15日に経産省へ内容を報告した。

 ノキアは「8月6日に火災の事実を確認したので法令違反ではない」と主張しており、事故発生以来、一度も記者会見を開いていない。

 一連の事実関係は以下の通りだ。

 7月28日午後5時30分、携帯電話の保有者である男性が東大阪市の消防に通報した。消防は現地で携帯電話などの焼損、床の焼き焦げた跡を確認し、火災の事実を認定した。男性が消防に連絡したこと、床が焦げたことなどは、携帯電話会社のソフトバンクから31日までにノキアに報告されている。

 その後、ノキアは「積極的に調査を行った」と主張する。それでも火災が発生したとの認識を持つには至らなかったという。

 事態が急変したのは8月6日。消防が法の定めに基づき、関係各所に火災の事実の報告を始めてからだ。消防から連絡を受けた消費生活センターがソフトバンクに火災と認定されていることを報告。ソフトバンクがノキアに通報し、ノキアがようやく「火災の事実を知った」というわけだ。

 消安法はメーカーに事実を把握する努力義務を課している。ノキアは消防に電話をすれば事態を把握できたはずだが、消防とは6日まで連絡を取らなかった。

 なぜノキアは後手に回ったのか。携帯電話で世界シェアトップのノキアだが、日本での販売台数はごくわずか。ノキアがグローバルでの判断を重視し、日本国内の消費者保護を軽視したと見られても仕方がないだろう。

 ノキア製の携帯電話では、日本で事故が発生するまでに世界で約100件の異常発熱などの事故が起こっていたという。消安法は日本国内にしか適用されないため、国境の向こう側の事故は再発防止に生かされなかった。海外での売上高比率が高いグローバル企業の製品について、どう消費者保護を実現していくかという重い課題を残した。

松下、OEMでは対応後手に

 消費者保護の精神に立ちはだかる1つの壁が「国境」だとすれば、今回の事件はもう1つの壁の存在を日本の産業界に突きつけた。取引に伴う「立場」の壁である。

 当該電池を海外のノキアにも納入していた松下電池工業は、頻発する電池事故をソフトバンクよりも早く知る立場にあった。だが、ノキアの対応を正すことはできなかった。

 報道などを通じて、多くの消費者は電池が「松下製」であることを知った。松下電池工業の名称を知らずに親会社である松下電器産業のサイトを覗いた消費者もいたはずだ。だが、松下電器のサイトにある製品の不具合を消費者に伝える欄に、電池の情報は8月20日時点で掲載されていない。

 松下電器は、死者を出し、2005年から製品回収を始めた石油温風機事故を教訓に、製品の安全に関わる事象への対応を改めた。今年5月には、製造・出荷から19年近くが経った電子レンジのリコールにも踏み切っている。この積極的な不具合対応の姿勢は「情報開示に真摯な企業」として、松下電器の企業イメージを高めた。

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