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買い手消え、崖っぷちに

住宅バブル、それぞれの「夢の後」

  • ニューヨーク支局 金田 信一郎

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2007年9月10日(月)

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 「彼らは夢を見ていたんだよ」

 米ニューヨーク・マンハッタンとハドソン川を挟んで隣接するニュージャージー州。モーゲージ(住宅ローン)ブローカー、エドアルド・アリアガダは、自宅地下室の書斎でそう呟いた。

 その彼も、ここ数年の住宅ブームで夢のような成功を収めた。

 チリ出身で、4年前まで保険の営業マンだった。当時の同僚は、「給料も普通だし、地味な生活をしていた。その前はピザ屋で働いていたと聞いている」と証言する。

 そんなアリアガダだが、モーゲージ会社に転職すると同時に住宅ブームが到来した。住宅購入者を見つけては、住宅ローンを提供する銀行を紹介していった。すると、手数料としてローン総額の1%が転がり込んでくる。4年間で200人の顧客を開拓し、「敏腕営業マン」として鳴らした。そして、現在では自身が住む邸宅のほかに、複数の不動産物件を持つ。再婚した妻は、6人目となる子供を身ごもった。

「デッドマーケット」

 ところが、ここにきて事態は暗転した。既に20人の顧客が破綻している。

 実は、彼の顧客はすべて中南米出身者だ。その9割以上がサブプライムローンを借りた。低所得や支払い遅延などで信用力が低い人でも、頭金なしで、しかも数年間は少ない支払額で済む住宅ローンだ。

 キューバ出身の自動車修理工は、2カ月前から返済が滞っている。そして、自宅を追われる日も近い。

 彼が2年前に55万ドル(約6300万円)の住宅を購入した時は、10万ドル(約1150万円)の頭金を入れる余裕があった。そして1年後、住宅バブルによって資産価値が60万ドル(約6900万円)に上がる。そこに、サブプライムローンの誘惑が忍び寄ってきた。

 資産価値を100%そのまま貸します――。彼は60万ドルを手にした。前のローンを返済しても、手元に15万ドル(約1700万円)ほどのキャッシュが残ったわけだ。しかし、月々の返済は3割も跳ね上がり、約4500ドル(約52万円)になった。

 だから、手にした15万ドルが消えるまでに、1年とかからなかった。それでも、「また、新たにローンを借りれば、住宅の値上がり分が手に入る」と思っていたに違いない。だが、現実は違った。住宅価値が下がり、売り飛ばしても1万ドル(約115万円)近い債務が残ってしまう。蓄えが底をついているため、ローンを完済することができない。家を奪われ、これからはクレジットカードすら作れない…。それを知った妻は離婚を決意した。

 「破綻した人は、みんな惨めな思いをしている」(アリアガダ)。そして、モーゲージブローカーも、厳しい状況に置かれている。アリアガダが変化に気づいたのは昨年11月のこと。銀行が突然、住宅購入希望者の職業や収入の証明書を要求してきたのだ。

 「それまでは、いくらでも嘘がつけたのに」。あるレストランのウエーターは、収入を過大に申告するためにシェフと偽った。銀行は、職場に確認の電話を入れるだけ。受話器を取った同僚は、頼まれた通りに「もちろん彼はシェフだよ」と言った。

 しかし、今ではそんな芝居は通用しなくなった。それどころか、頭金の要求額もどんどん増えていく。

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