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日本郵政、矛盾抱えた船出

“自制”しながらの全力疾走は長続きしない

2007年10月3日(水)

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 政府が100%出資する日本郵政株式会社が今週初め(10月1日)、産声を上げた。ついに、小泉純一郎元首相の「改革の本丸・郵政民営化」がスタートしたのだ。果たして、職員24万人を抱える巨大コングロマリットは、立派な民間企業に脱皮できるのか。“豪腕”西川善文社長の課題を探ってみた。

民営化作業は「10年がかり」の長丁場

 「郵便の父」前島密の発案によって、東海道沿いを対象にした郵便サービスが整備されたのは、1871(明治4)年のこと。それ以来、政府は、郵便事業を全国に展開しただけでなく、郵便貯金、簡易保険も幅広く手がけてきた。この136年間に及ぶ国営事業としての歴史を誇る郵政3事業を民営化しようというのが、今回の郵政民営化だ。

 実際の民営化の手順は、結構複雑で時間がかかるものだ。10月1日に誕生した日本郵政株式会社は、持ち株会社に過ぎない。つまり、艦隊に例えれば、全軍を指揮する司令官の乗る旗艦である。実際の戦闘(ビジネス展開)は、戦闘力を持つ艦船が担当する。

 その戦闘艦が、持ち株会社の傘下に設置された、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、郵便事業会社、郵便局会社の主要4社だ。持ち株会社と4社は、それぞれ膨大な数の「ファミリー企業」(下請け企業)を抱えている。

 そして政府は、今後10年をかけて、郵政事業の民営化を進めていく段取りだ。手始めが、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の株式の上場や持ち株会社保有株の売り出し。将来的には、持ち株会社の日本郵政も上場する計画だ。

事業ごとの分割も独占事業の開放も見送られた

 ただ、この日本郵政グループの陣容は、過去に民営化したJR(旧日本国有鉄道)やNTT(旧日本電信電話公社)と大きく異なる点がある。JRは鉄道事業を東日本、東海、西日本などに、またNTTは地域通信事業を東日本と西日本にといった形で、それぞれ本業を複数の会社に分割した。これに対し、郵政は、郵便、郵貯、簡保、郵便局窓口といった具合に事業ごとの分離はしたものの、郵便、郵貯、簡保といった主力事業を複数に分ける事業分割をしなかった。

 また、NTTの民営化は、1985年の通信自由化の一環として行われ、同時に、国営独占事業だった通信事業の一般開放を実施した。その結果、長距離、地域、衛星など通信の各分野で、新電電が新規参入を果たし、通信市場が一気に活性化したことはよく知られている。

 一方、郵便では、都市部のバイク便などを除き、一般的な信書便事業(手紙、はがきなどの郵便のこと。年賀状を含む)の法的独占を温存させた。つまり、既存事業の分割も、独占事業の開放も見送られた。また、メガバンクを上回る強大な市場支配力を持つゆうちょ銀の誕生が許容され、全国くまなく張り巡らされたATM(現金自動預け払い機)網の一括承継も黙認されたのである。

小泉氏の“私憤”と竹中氏の“妥協”の産物

 なぜ、小泉元首相は「民にできることは、民に。その方が安くなるし、サービスもよくなる」と連呼しながら、こうした市場メカニズムの機能が期待できない民営化を断行する愚を犯したのだろうか。実は、2つの問題が背景にある。

 第1は、小泉元首相の郵政民営化の“私憤”だ。話は古く、1969(昭和44)年の総選挙に遡る。この時、小泉元首相は、父の急逝を受けて出馬したのだが、地元の特定郵便局長たちの裏切りによってライバル候補に多くの票が流れ、“弔い合戦”に敗れてしまった。この選挙での敗北こそ、小泉元首相を、「世襲の公務員」という特権の下で強い政治力を誇った郵政一家の民営化に駆り立てた原点とされる。

 実は、小泉元首相の祖父又次郎氏は、昭和初期に逓信大臣を務め、三浦半島の特定郵便局ネットワークを築いた元祖・郵政族。ところが、特定局長たちは、その恩を忘れ、孫の“弔い合戦”の際に裏切るという背信を犯してしまったのである。その後、小泉純一郎氏は、衆議院議員、郵政大臣と権力への階段を上り始めた。それでも、郵政官僚たちは、何度も小泉氏と対立を繰り返し、“私憤”を煽ってしまったという。

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