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2007年10月17日(水)

まだ続いているPSE法ショック

失敗のけじめつけぬまま、経産省が新たな規制強化

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 2006年春の電気用品安全法(PSE法)問題で中古電気製品市場を大混乱に陥れた経済産業省。その経済産業省が、自らの「政府(規制)の失敗」にけじめをつけないまま、一方的に「市場の失敗」を批判し、「安全の確保」を大義名分に、新たな規制に乗り出そうとしている。首を傾げたくなるのは、筆者だけだろうか。

 PSE法ショック──。あの騒ぎが始まったのは、2006年1月だ。突然、中古の電気製品の投げ売りが始まり、多くの販売業者が廃業や経営危機に追い込まれ、その従業員たちが職を失った。

 発端は、その8年も前のPSE法の改正だ。同法の経過措置期間が2006年4月から3回に分けて終了し、以後は、漏電検査などに適合した証しのPSEマークを張らないと、テレビや冷蔵庫など450品目が販売できなくなることになっていた。

中小業者の廃業・撤退、まだ記憶に新しい大混乱

 その経過措置期間切れが半年後に迫った2005年10月末。「念のため」と考えて、経済産業省に「PSE法の規制対象に中古品も含まれるか」と問い合わせたのが、リサイクル業大手のハードオフコーポレーションだ。

 だが、同社によると、経済産業省の担当官は「追って連絡します」と即答できなかった。同法の規制対象に「中古品が含まれる」との意外な回答が経済産業省から届いたのは、実施まで3カ月も残っていない2006年1月半ばになってから。あまりの猶予の無さに驚いたハードオフは、中古品の買い取り停止と早期の在庫処分を決断、各店舗に告知を張り出した。

 混乱は広がり、体力のない中小業者で解雇や廃業・撤退が続出した。東京・秋葉原の中古オーディオ専門店の清進商会も、まともに荒波を受けた販売業者の1つだ。清進商会は、「検査体制の整備など中小業者の体力では不可能だ」(店主の小川進さん)と判断。思い切って在庫を減らし、2人いた従業員を解雇した。さらに、半分の広さしかない店舗に移転した。

 一方、静岡県に本拠を置く別の大手、生活創庫は、販売をやめ、レンタルで対応する方針を打ち出した。

 消費者運動にも火がついた。音響機器や楽器には代替可能な新製品が乏しく、ビンテージものは貴重だと、音楽家の坂本龍一さんらがPSE法反対の署名運動を繰り広げる事態が起きたのだ。

 経済産業省は、反響の大きさに慌てた。そして、レンタル方式の容認に続き、ビンテージものについてもPSE法の適用除外と決めた。ろくに財源も示さずに、全国に500もの検査機関を整備し、検査機器を無償供与する対応も打ち出した。「政府(規制)の失敗」が引き起こした大混乱の責任を回避しようと、どんどん規制の抜け穴を作ったのである。

後付け、身勝手な法文解釈を繰り返した経産省

 当時の経済産業省の対応は、矛盾と疑惑に満ちていた。

 同省は、衆議院の経済産業委員会など国会の場で、「(1962年施行の)旧法の時代から除外と書いていないので、中古品も規制対象と解釈できる」と持って回った答弁を繰り返した。

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著者プロフィール

町田 徹(まちだ・てつ)

町田 徹1960年大阪府生まれ。ジャーナリスト。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。ウォーターゲート事件や田中金脈問題の報道に触発されて、日本経済新聞社に入社。記者として、証券部、経済部、ワシントン支局、産業部に所属し、リクルート事件や証券スキャンダル、金融制度改革、NTT分割論議、日米独禁協定の締結などで数々のスクープを連発する。この間米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。2002年同社を退社後、総合雑誌「選択」編集者を経て、2004年に独立。日興コーディアルグループの粉飾決算問題を雑誌『現代』誌上でスクープし、2006年度の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」大賞を受賞。著書に『巨大独占−NTTの宿罪』『日本郵政−解き放たれた巨人』、共著に『ジャーナリズムの情理』『移動体通信ビジネス』『官僚』など多数。2007年9月時点で、朝日新聞、夕刊フジ、日刊ゲンダイ、雑誌「テレコミュニケーション」に連載コラムを執筆するほか、TBSラジオ「荒川強啓のデイ・キャッチ」のレギュラーコメンテイター(月曜日)としても活躍中。


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日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、NBonline編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

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