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ソフト開発の遅れで着工激減

見切り発車の法改正、マンションにも景気にもツケ

2007年10月23日(火)

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マンション着工戸数に急ブレーキ

 「夏に始まるはずだったマイホーム建築工事のメドがいまだに立たない」。埼玉県東部のベッドタウン、越谷市に住む富岡慶太さん(仮名、38歳)が、憤懣やる方なしといった表情で訴える。

 その理由は、自治体に申請した設計図などの書類審査の結果が一向に得られないため。「建築確認」と呼ばれるこの手続きの遅れが、富岡さんのマイホーム計画を狂わせている。

 富岡さんだけではない。今年6月20日以降、建築確認が得られずに着工の延期を余儀なくされているケースが、全国で相次いでいる。国土交通省によれば、新設住宅着工戸数は7月に前年同月比約23%減、8月は同約43%減と急速に落ち込んだ。

「出荷時期も未定」

 混乱の原因は、今年6月20日施行された改正建築基準法にある。「姉歯事件」に端を発したマンションの耐震強度偽装問題を教訓に、国交省は建築確認の審査基準を見直し、運用を厳格化したのである。

 「書類の誤字脱字でも再提出を求められ、そのたびに数万円の申請料を支払っている」「同じ書類でも自治体により判断が異なる」…。審査する自治体の認識不足が重なり、施行直後から、申請する建築主の悲鳴が相次いだ。国交省は、法令が定めた以上に厳しい運用を避けるよう自治体に通知し、事態の収束を急いでいる。

 ところが、国交省の思惑とは裏腹に、混乱はさらに拍車がかかる可能性が残されている。その震源地は、マンション物件だ。「改正建築基準法は、オフィスビルなどすべての建築物に適用されるが、居住者への波及度を考えると、マンション業界への影響度は深刻」と、あるマンション会社社長が指摘する。今年8月のマンション着工戸数は、前年同月比63.2%減と急減した。

 問題は、マンション建設の審査に利用する「構造計算ソフト」の整備が間に合っていないことにある、と先のマンション会社社長は言う。改正建築基準法では、中高層マンションなど、高さ20m超の鉄筋コンクリート建築などには、建築物の安全性を測定する「構造計算書」の提出が求められる。改正建築基準法では、審査を強化するために、自治体などの検査機関とは別に、「指定構造計算適合性判定機関」という第三者組織を設け、二重にチェックする体制を整えた。

 この構造計算書に利用するのが、構造計算ソフトである。書類の申請者は、構造計算のデータをソフトに打ち込み、その結果とともにデータを判定機関に渡す。判定機関は受け取ったデータを再びソフトに入力して結果を再現し、提出書類と突き合わせることで審査を実施する。

 この審査をスムーズに進行させるためには、書類の申請側と審査側に共通仕様の計算ソフトが必要になる。国交省は建築基準法の改正以前から市販の構造計算ソフトを審査し、お墨付きを与える「大臣認定プログラム」を選定していた。姉歯事件では、このプログラム自体が改ざんされたため、不正防止機能を備えた改正後の新・大臣認定プログラムも、本来は6月20日の施行と同時に提供できるはずだった。

 ところが、この肝心の認定プログラムが施行から4カ月たった現在でも販売されていない。「認定プログラムの出荷時期も未定」と国交省の担当者は言う。

 無論、この認定プログラムを使わず、市販されている“非認定”プログラムの構造計算を利用することも可能だ。認定プログラムの存在しない現在は、構造計算書は非認定プログラムによって計算されたものが使われている。だが、一方では「建設後の不備の原因を認定プログラムを使わなかったことにされてはかなわない」(ある設計事務所)と考える関係者が少なくない。着工後に建築基準法に違反していたことが判明すれば工事はストップ、完成後でも取り壊さざるを得なくなる恐れがある。

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「ソフト開発の遅れで着工激減」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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