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再考グローバリズム~日本の選択肢(3)

「危機感」ばかりに突き動かされていると道を誤る

  • 水野 博泰

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2007年11月5日(月)

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米国のザ・ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズ・グループ・インク(以下、ハートフォード)は、米国で200年近い歴史を誇る老舗の保険、金融サービス会社である。海外進出はかなり遅く、日本にハートフォード生命保険が設立されたのは2000年8月。ところが営業開始から約7年経った今、ハートフォード生命は変額個人年金保険の分野でトップに立っている。長く国内にとどまった老舗企業のグローバル市場での勝ちの秘訣は何なのか――。ハートフォードのトーマス・M・マーラ社長兼最高執行責任者(COO)に聞いた。(聞き手は、日経ビジネス オンライン副編集長=水野 博泰)

米ハートフォード社長兼最高執行責任者(COO)のトーマス・M・マーラ氏

(写真:清水 真帆呂)

NBO 200年近い歴史を誇る米国の大手保険会社が、1990年代末になってようやく日本に進出してきたのはなぜですか。規制が緩和されたからですか。

マーラ 確かに規制緩和は前向きな変化でした。ですが、我々が日本市場への参入を決めたのは、一言で言えば、成功する自信を持てたからなのです。実際に参入する前に、何年もかけて日本の市場を研究しました。その結果、引退後の生活のために我々が提供している商品が、日本市場のニーズに合っているという自信を深めました。

NBO ハートフォードが日本に参入した頃は、米国のメディアは「日本に参入するなんて危険な賭けだ」と批判していました。90年代末の日本の金融・保険市場はかなり厳しい状況にありましたから。なぜ、そんな時に決断したのですか。

マーラ ハートフォードは、とても慎重で、保守的な会社です。だからこそ、200年近くにもわたって成長を続けてこられたのです。短期的な視点で安易に動くようなことはしません。ですから、日本参入に当たっては入念な調査をしました。何度も日本を訪ねました。ハートフォード生命の前CEO(最高経営責任者)だったグレッグ・ボイコは、参入前に17回も来日しました。

 最も重要なポイントは、日本の金融機関との協力が得られるかどうかということです。我々の商品を販売してくれるのは、日本の大手銀行や地方銀行、証券会社です。自社の販売代理店はありません。これは米国でも同じです。このモデルが日本でも機能して、我々と日本のパートナーが共に成功できるかどうかがカギだったのです。日本の金融市場は苦しんでいましたが、我々は成功を確信していました。

「保守的」であることは悪いことではない

NBO なるほど。“保守的”と言うと、消極的、旧態依然として時代から取り残されていくようなマイナスのイメージがあります。グローバル競争が激化する中で、「変化に対応できない企業は生き残れない」という強迫観念に誰もが突き動かされているようなところもある。しかし、やたらと海外に進出して、やたらと新しいことを始めればそれでいいということではないということですね。「出ない」という判断も勇気のいる決断だったわけですね。

マーラ ええ。ハートフォードは長い間、米国の国境の内側にとどまっていました。米国内でずっと満足のいく成功を収めていたからです。米国市場以外の機会に目を向けるようになったのは10年ほど前からです。規制緩和や市場開放によって、多くの機会が世界中で生まれていました。

 保守的だからといって、そうした変化に目をつぶったり、避けて通っていたわけではありません。ですから、そうした変化が世界で起こっているのを見て、自らの事業戦略を問い直すことを我々自身が決断したのです。その結果として、グローバルな舞台に立つことを決心したのです。世界は広く、機会はたくさんあります。今では米国の外側に対しても大きく目を見開いています。市場の開放が進めば、進出できる国はもっとたくさん出てくるでしょう。

 ただし、我々は慎重に進みます。とても保守的な企業ですから。日本の場合がそうであったように、進出先は慎重に選びます。その国の文化と我々の商品へのニーズをよく理解してから参入するかどうかを決めます。

NBO 米国内の市場が飽和してきたとか、競争が激しくなったとか、“危機感”に背中を押されて出てきたのではないのですか。

マーラ それは違います。我々は米国で大いに成功していました。今もそうですし、これからもそうだと思っています。米国で行き詰まったということもありませんし、行き詰まりから来る危機感に突かれたり、引っ張られて、我々の新しい事業戦略が形作られたということはありません。我々はそうした戦略の立て方をしません。

NBO なるほど。日本でも米国でも、一般的には“危機感”が変革へのモチベーションになることが多いですよね。「これはやばいぞ」とか「このままだと危ないぞ」という恐怖がないと、経営者も社員もなかなか変われないし、変わろうとしない。変わるためには危機感も必要かもしれないけれども、瀬戸際に立ってからのネガティブなモチベーションが必ずしもベストとは言い切れないのかもしれませんね。

マーラ その通りだと思います。保守的であることは悪いことではないし、危機感だけが企業を正しい方向に導く力ではないと思います。

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