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騒動が問う民主党の“成熟度”

小沢代表の辞意表明で激震

  • 田村 賢司,杉山 俊幸,大竹 剛,蛯谷 敏,永井 央紀

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2007年11月12日(月)

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 「議員らの多くは、金曜日(11月2日)の夜に大連立の話を突然聞いて、土日に新聞を読んだだけ(の情報)で何も分かってない。誤解があり、曲解があって危機感も持っている」

 4日に突然の辞意表明会見をした小沢一郎代表への対応を巡って、5日午後、民主党が党本部で開いた副代表会議でのこと。石井一・副代表は、強い口調で提案した。

 「小沢が批判されることじゃあないんだ。全議員に本当は何があったのか周知徹底すべきだ」

 小沢代表とは自民党時代以来の仲間であり、友人でもある石井副代表の発言ともなれば、ほかのメンバーからは、心情的な擁護論とも受け取られかねない。だが、この時の会議の雰囲気は、そう流れてはいかなかった。

寄り合い所帯に変化

 「小沢代表の言うことにも一理あるのではないか」。例えて言えば、そんな空気がその場にあった。一時、党内外から噴出した小沢代表への不信の風向きが既に変わっていたのである。

「大連立」を発端に
小沢代表の辞任騒動へ

11月2日

福田康夫首相との党首会談

11月4日

民主党・小沢代表辞意表明会見

11月5日

代表の辞意表明を受けて民主党が緊急役員会

「大連立」を発端に小沢代表の辞任騒動へ

(写真:石井 和広)

 民主党内でわき起こった小沢代表への不信のもとは、自民党との大連立構想だ。10月30日に福田康夫首相との最初の党首会談を終え、11月2日に再度の会談に臨んだ後、飛び出した突然の方針転換だった。

 自民党との政策協議には応じない、解散総選挙に追い込み多数を取って政権を奪取する──。

 騒動前、目標についても手段についても、党内でこう共有されていたはずが、党首会談で飛び出したのは、大方には寝耳に水の大連立構想。その日の役員会では、拒絶反応にも等しい形で否決された。

 その後、「小沢側から大連立を提案した」と伝わったのも不信感を増大させた。かつて自民党を割って出たことや、野党を結集して新進党を結党しながら、後に自らの手で解党した壊し屋の顔がまたぞろ、のぞいてきたと見られたのである。

 「民主党は政権担当能力があるのかと疑問を提起され続けている」「次期総選挙での勝利は厳しい情勢だ」

 小沢代表が辞任会見で厳しく言い放った民主党批判も一部で強い反発を招く結果となった。小沢代表が辞意を表明した直後には、次期代表の名前が取り沙汰され、党の分裂を危ぶむ声も聞こえた。

 しかし、その夜に党内の主要グループが開いた会合では急速に小沢批判は影を潜めていく。こうした経緯を経て民主党がたどり着いた結論は小沢代表の慰留。だが、最終的に小沢代表が党内のカムバックコールを受け入れて辞意を撤回することには批判がある。

 政党のトップが辞意を口にして取り消すのに、そもそも発端となった大連立の真相は藪の中という不自然さ。さらに、民主党が大連立にどう向き合うのか国民に十分な説明はない。党内には批判もくすぶる。今回の騒動で民主党が傷ついたのは言うまでもない。

 しかし、民主党の内側には政党としては成熟とも言える2つの変化をもたらした面も否定できない。それは2大政党の一翼を担うためには、どこかでくぐり抜けなければならないものでもある。

 その変化の1つは、民主党の組織にまつわるものだ。今回の騒動で初めて浮かんできたのは、しばしば言われてきた民主党の寄り合い所帯としての脆弱性に異なる姿が出てきたことだ。

 指摘するのは、政策研究大学院大学の飯尾潤教授である。

 「かつての民主党なら、これだけの騒動になった段階でガタガタになっていたはず。歴史を刻むうちに、党としてのアイデンティティーが固まり始めているのではないか。寄り合い所帯と揶揄され続けた党も、既に民主党で初当選した世代が増えている。民主党は大きな変化を遂げたと見るべきだろう」。1996年9月、初の小選挙区比例代表並立制による総選挙に向け、さきがけ、新進党、社民党などから57人が集まり結成されたのが旧民主党。11年の時を経て、国会議員の数は衆参で200人を超えるまでになった。出身政党の影は着実に薄れ始めている。

 「最初、大連立の話を聞いた時は理解に苦しんだ。しかし、小沢代表の会見を聞いて、その考えを理解できるようになった。小沢代表には、与党とはどういうものかという“与党感覚”がある」

 日本銀行を退職し、2002年に民主党の候補者公募の第1号として翌年初当選を果たした津村啓介・衆院議員(菅グループ)は言う。そして、こうも指摘する。

 「今は、(大連立まで言う)小沢さんと、ほかの議員たちの路線の調整過程なのだろう。だが、これは党が組織として成長していくプロセスだと思う」

 民主党内には、豪腕とも評される小沢流に違和感を覚える層がいるのは事実だ。それでも、今回の騒動は、そうした溝が、すぐに決別で終わるものではなく、埋めるべきものと多くの議員に受け止められた初めてのことという面がある。

 この変化の背後には、小沢代表による民主党批判の現実味がある。日本大学の岩井奉信教授は、「強力な個人後援会と各種団体、組織に支えられている自民党との戦いは、参院選より厳しい」と言う。

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