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開発業者の“ただ乗り”許すまじ

景観は「共有財産」、全国で相次ぐ規制の波

2007年11月13日(火)

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 大枝山(おおえやま)をはじめ沓掛(くつかけ)の山々が背後に控える京都市西京区桂坂地区──。本能寺の変に際して、明智光秀が駆け抜けた間道、唐櫃越(からとごえ)にも近い高級住宅街である。ここに降ってわいたマンション建設計画を巡って、住民と開発業者の間で激しい対立が繰り広げられている。

閑静な高級住宅街、桂坂地区。突如として、5階建てのマンション計画が浮上した(写真下は建設予定地)閑静な高級住宅街、桂坂地区。突如として、5階建てのマンション計画が浮上した(写真下は建設予定地)

閑静な高級住宅街、桂坂地区。突如として、5階建てのマンション計画が浮上した(写真下は建設予定地)

 マンション予定地には幼稚園が建てられるはずだったが、今年に入り、幼稚園の建設計画は頓挫。マンション建設計画が持ち上がった。開発主体は中堅マンションデベロッパーの日本エスコンとさくら不動産。3414㎡の敷地に5階建て高さ15mの建物を建てる。この高さが住民の反発を買った。

 マンション計画を知った桂坂の住民は「桂坂マンション対策会議」を発足、反対運動を始めた。

 成人の住民の80%近くに当たる6000人の反対署名を集め、京都市に申し入れ書を提出したのは9月28日。10月19日には、朝5時にボーリング調査を強行しようとした業者側の動きを察知、約200人の住民が集結し、建設予定地で建設反対を訴えた。現在も、ホームページ上で予定地を監視している。

 この街を開発したのは、2001年に特別清算された旧セゾングループの不動産開発会社、西洋環境開発である。分譲が始まった1985年以降、住民は厳しい建築協定を設けることで、街の景観を維持してきた。

 住宅の大半は2階建ての戸建て住宅だが、それは建築物の高さは10mまでという決まりがあるため。屋根もフラットではなく、傾斜していなければならない。外壁は道路との境界線から1.5m以上離す。幹線道路沿いの家々は外壁の外側に植栽を施す──。宅地を購入する際には、こういった建築協定の締結を購入者に求めてきた。

「法的に問題はないのに…」

 桂坂のほとんどのエリアは、高い建物が建てられない「第1種低層地域」に指定されている。だが、問題となっているマンション建設地の用途地域は「近隣商業施設地域」。容積率の面では、5階建てのマンションを建てても法的な問題はない。「法律的には問題がないはずだが…。今後は行政の指導にのっとって進めていきたい」と、日本エスコンも困惑を隠さない。

 もっとも、同じ近隣商業施設地域にあるスーパーマーケット、イズミヤは住民に配慮して、平屋建てに抑えている。近隣の京都大学桂キャンパスも景観に配慮した作りになっている。

 統一感のある街並み。石塀に沿うように植えられている草花。地域住民が一体となって景観の維持に腐心してきた結果だ。そういった活動を無視した開発計画が反対運動につながった。

 「近隣商業施設地域は地域住民の利便性を高めるための場所という位置づけ。そこに住居を建てるなら、周りと同じ低層であるべき」と桂坂マンション対策会議の田中守会長は訴える。業者が開発許可申請を京都市に出した段階で、開発差し止めの仮処分など法的措置を求める。マンション建設によって、「景観」という地域の共有の財産を侵害される、と住民は一歩も譲らない。開発業者に押し寄せる「景観」という名の逆風。それは、具体的な規制という形で全国に広がっている。

「裏原宿」は20m

 東京都渋谷区は11月1日、建築物の高さを一定以下に制限する高さ制限の「素案」を発表した。雑居ビルが並ぶJR渋谷駅周辺には指定はないが、素案には恵比寿周辺は高さ60m、「裏原宿」と言われる神宮前3~5丁目近辺は高さ20mと、エリアごとに細かく高さ制限が記されている。

 「総合設計制度」。敷地内にオープンスペースを設けるなど、良好な街作りに貢献する大規模プロジェクトに対して、容積率や高さ制限を緩和する制度のことだ。東京の都心部では、総合設計制度によって容積率を増やし、超高層建築を建てるケースが少なくない。

 開発業者にとっては使い勝手のよい制度。大規模再開発を促す効果もある。だが、周囲の建物よりも高い物件が建ってしまうことが多く、近隣住民と紛争になる例が最近では後を絶たない。高層物件に関する地域の不満を耳にしていた渋谷区は、2006年9月から高さ制限の導入を検討してきた。

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「開発業者の“ただ乗り”許すまじ」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長