• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

原油100ドル、金1000ドル時代

マネーゲームの沈静化に妙薬なし

  • ロンドン支局 田村 俊一,小笠原 啓

バックナンバー

2007年11月14日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 原油の1バレル=100ドル超えが現実味を帯びてきた。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は11月1日に一時96ドルをつけた。10月初旬には80ドルを挟んだ動きだったから、わずか1カ月で15ドルほども値を上げたことになる。昨年末から今年初めには50ドルを切る水準まで下落したことを考えれば、その上昇スピードは驚異的だ。

需給を無視した価格構造

 原油だけではなく、金などの商品相場も急騰している。サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題の勃発以来、不安定な動きを繰り返す世界の株式市場とは対照的に、上げ基調を続ける商品市場。マネーの世界で何が起こっているのか。

 「1バレル=100ドルを超えるか? そんなことは知らない。需給以外のところで価格が決まっているんだから」――。

 11月1日、米インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙の主催でロンドンのホテルで開かれた毎年恒例の会議「オイル・アンド・マネー」。オープニングセッションに出席したアラブ首長国連邦(UAE)のハミリ・エネルギー相は、会場からの質問に苦笑いしながらそう答えた。

 隣にいたカタールのアティーヤ・エネルギー産業相も「株や債券、土地で損をした投資家が商品市場に群がっている」と解説。最近の市場の動きが、投機的なものであることを強調した。

 アティーヤ・エネルギー産業相はこう皮肉ってもみせた。「昔、原油価格が低迷して産油国が困り果てていた頃、先進国の担当大臣に、何とかしてくれと頼んでも、返ってくる答えは『市場が決めることだから』だった。最近は逆に先進国側から何とかしてくれと言われるが、こう答えることにしている。『市場が決めることだから』とね」。

 原油価格高騰に打つ手は今、ほとんどないのが実情だ。実際、石油輸出国機構(OPEC)は9月の総会で、米国の強い要求を受け入れる形で日量50万バレルの増産を決めたが、効果は全くなかった。OPEC側もそのことを十分に承知しているから、ハミリ・エネルギー相やアティーヤ・エネルギー産業相のような発言になる。

 米投資銀行、ゴールドマン・サックスが、「原油100ドル説」を打ち出したのは、2005年の春のことである。当時の原油価格は50ドル台で、100ドル台は遠い先の話という捉え方が大勢だったが、わずか2年半で100ドルをうかがう水準までになった。

 何か変わったのかと言えば、原油を巡る環境はほとんど変わっていない。「中国、インドの需要増」「イラクを含む中東諸国の地政学的リスク」「米国の石油精製能力不足」などはいずれも従来と同じ状況で、懸念される石油不足も起きていない。にもかかわらず、価格だけが上がり続ける。

 国内でもガソリン価格の高騰という形で、影響が鮮明に出ている。石油元売り各社は「原油調達コストの上昇」を理由に、11月1日からガソリンの卸価格を引き上げた。一部地域では、レギュラーガソリンの小売り価格が1リットル150円を超える高値となっている。

 原油市場の現状を端的に表しているのが、投機筋の買いの理由である。最近の彼らの代表的な買い材料は、米国での原油在庫の減少だ。

 だが、日本エネルギー経済研究所中東研究センターの長和彦・研究主幹は「在庫は需要が旺盛だから減っているのではない。米国で15ドル程度あった原油とガソリンの間のマージンが2~3ドルにまで減って精製業者が原油購入を手控えているから」と指摘する。

 投機筋はこうした事情をあえて無視し、買いに走っているフシがある。要は、彼らにとって表向きの理由は何でもよいのである。

 投機筋が強気でいられる背景にあるのは、世界的なカネ余りだ。サブプライムローン問題の深刻化で、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)など各国中央銀行が利下げ、金融緩和を余儀なくされた結果、カネ余りはさらに進んだ。不安定な株式市場や債券市場を避け、原油相場にカネが急激に流れ込んだのは、マネーゲームの所産以外の何物でもない。

「時事深層」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

すきま時間を活用できることに気づいた消費者は、時間価値をかつてないほど意識している。

松岡 真宏 フロンティア・マネジメント代表