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ファーストリテイリング

ロンドン出店の奥にある課題

2007年11月14日(水)

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 11月7日、ロンドンの商業集積地オックスフォード通りに、カジュアル衣料販売店「ユニクロ」の新店が開業した。地上2階、地下1階、売り場面積は2300平方メートルと、国内の旗艦店である東京・銀座店のおよそ1.5倍の規模の巨艦店だ。

 ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、同店を「欧州地域の旗艦店」と位置づける。2001年に海外進出1号店としてロンドンに出店した同社は、英国で20店を数えるまでに集中出店を続けたが、業績が振るわずに5店舗に整理していた。

 今回のロンドン出店は、捲土重来だ。旗艦店を出すことでブランド認知を獲得し、既存店を底上げする。軌道に乗れば、出店を再開する。ロンドン旗艦店は、同社にとって欧州攻略のための橋頭堡だ。近年中に、フランス・パリへの出店も予定している。

欧米中でグローバル・アパレルと激突

 ファーストリテイリングが重視するのは3つの市場だ。欧州はロンドンとパリ、米国はニューヨーク、中国は上海。それぞれの地域にブランドイメージを打ち出す店舗を開いて、「ユニクロ」の名を顧客に浸透させる戦略だ。

 ファーストリテイリングが世界展開を急ぐのは、アパレル業界のグローバル化が急速に進んでいることの裏返しだ。米国ギャップ、「ザラ」を展開するスペインのインディテックス、「H&M」を展開するスウェーデンのヘネス&モーリッツなど、グローバルな規模でカジュアル衣料チェーンの上位集中が進んでいる。中国など、グローバルアパレルにとっての“未開市場”のパイの奪い合いが既に始まっているのだ。

 ユニクロという業態の強さとは、低コストで生産できる中国に工場を置き、徹底して効率性を磨くことで手にした圧倒的な価格競争力がその源泉だ。これまでの成長局面における「敵」は、国内の“非効率”な中小アパレルだった。ところがグループ売上高が5000億円を超え、国内でユニクロの出店余地が狭まり、世界市場で成長を続けようとする時、新たな「敵」としてグローバルアパレルが立ちふさがることになる。より規模が大きく、また規模のもたらす高効率をも手にした世界のSPA(製造小売業)と戦うために、一刻も早く、体力と規模を手にしたい。柳井会長がかねて掲げてきた「2010年までに売上高1兆円」という“公約”は、その焦りの表れでもあった。

 欧米中と着実に世界展開を進めるファーストリテイリング。しかし、旗艦店の華やかさを眺めていても、その成否を占うことは難しい。むしろ今、目を向けるべきは、欧米中ではなく実は国内事業だ。

国内ユニクロ事業の収益悪化で減益

 売上高は17%伸ばしたが、業績予想の5351億円は達成できず5252億円。営業利益は7.7%、経常利益は11.7%の減益。「厳しい数字だ」。10月11日の決算発表会で、壇上の柳井正会長兼社長は、終始厳しい表情を崩そうとしなかった。

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「ファーストリテイリング」の著者

池田 信太朗

池田 信太朗(いけだ・しんたろう)

日経ビジネスオンライン編集長

2000年に日経BP入社。2006年から『日経ビジネス』記者として、主に流通業界の取材に当たる。2012年『日経ビジネスDigital』のサービスを立ち上げて初代編集長、2012年9月から香港支局特派員、2015年1月から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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