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ラーメン屋とマックの戦い

ポップカルチャー人気から読む日本のハイブリッド力

  • 竹中 正治

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2007年11月21日(水)

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雑誌WIREDの特集記事

 ワシントンDCで毎季開催される全米のエコノミスト会合に参加して帰国する際、ダレス空港の売店で奇妙な雑誌の表紙が私の目に飛び込んできた。“Manga Conquers America-Now Japanese comics are reshaping pop culture.”と題した雑誌WIREDの特集記事である。

 記事は日本の漫画・アニメが米国、欧州に広範に普及し、世界のポップカルチャーに新しい変化をもたらす源泉になっていると語っている。NBonlineでも遠藤誉さんの「中国“動漫”新人類」は、日本の漫画・アニメが中国に浸透し、文化的なフュージョン(融合)を生み出している状況を描いており、面白い。米国でもジャパン・アニメフェスティバルは各地で毎年開催され、漫画キャラクターに扮した米国の若者たちで賑わう。

なぜ日本の漫画、アニメ、ゲームソフトが海外でも人気なのか?

 こうした「ジャパン・インパクト」とでも呼ぶべき変化に米国の大手メディアも注目し、これまで特集記事を幾度も出している。私がワシントンに駐在していた当時、ワシントンポストが“We’re Playing Their Toons. Japanese Anime moves out of the fringe and onto the red carpet”(2004年12月)と題した1面ぶち抜きの特集記事を出したことがある。同様の記事はビジネスウィーク誌ほか、複数の雑誌でも見られた。

 2004年2月に日本の外務省がアニメ製作の巨匠りんたろうさんを招いてワシントンDCで講演会が開かれた時も、米人の参加者の方が日本人よりも多いくらいの大盛況で、私は驚いた。

 アニメに限らず、漫画、ゲームソフト、音楽などポップカルチャーの世界での「ジャパン・インパクト」は、アジアや米国をはじめ世界に急速に広がってきた。こうした現象を取り上げる米国の記事の多くは次のように問う。

 「日本アニメはどうして米国の子供から大人にまで人気を広げているのか? 日本アニメはディズニーに代表される米国のアニメ映画やテレビアニメと何が違うのか?」

 要領を得た回答に達している論評にお目にかかったことがない。だが、米国映画と日本の漫画、アニメ、ゲームソフトなど双方を愛好してきた私には、その理由が分かるような気がする。

文化的要素の雑多性、多様性が生み出すダイナミズム

 アニメに代表される日本ポップカルチャーに見られる1つの特徴は、文化的要素の雑多性、多様性である。宮崎駿の作品集を例にしてみよう。

 『魔女の宅急便』は欧州風の海浜街を舞台にした魔女の修行物語で、おそらく欧米の子供たちが最も違和感なく溶け込める要素で構成されている。一方、『となりのトトロ』では純然たる日本の田舎を舞台にしながらも、文化の違いを超えて子供心を捉える普遍的な要素、あるいは大人にも「自分も子供の頃はこういう感じ方をしていたなあ」と想起させる要素に満ちている。

 『天空の城ラピュタ』や『風の谷のナウシカ』になると、東洋でも西洋でもないコスモポリタン的な別世界が展開する。さらに面白いのは『千と千尋の神隠し』で、「神隠し」「八百万(やおろず)の神々」「湯屋」など日本の文化要素の中に、黒柳徹子をデフォルメしたような「湯婆婆」という魔女(西洋風の要素)や「竜」という中国的な要素が混在して展開される。

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