• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

シリーズ:日米関係は大丈夫か?(5)

福田訪米が静かに映し出した日米間の相互無理解

  • 冷泉 彰彦

バックナンバー

2007年11月26日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 米国現地時間11月16日(金)にホワイトハウスで行われた福田-ブッシュの首脳会談は、米国のメディアではほとんど取り上げられることもなく終わった。

 CNNが首相のインタビューを放映したとのことだが、米国本国ではネット版にアップロードされることもなく、扱いは小さい。ホワイトハウスのホームページではさすがに会談当日に共同会見のビデオクリップと速記録を掲示して、翌日には専属カメラマンによる写真を出したが、それだけにとどまっている。

あまりにも印象の薄いイベント

 内容的には、イラク、アフガン、ミャンマー、北朝鮮、牛肉と内容は盛りだくさんだったが、日米の懸案については特に歩み寄ることもなければ、どちらかから相手に強く迫るということもなく、淡々としたセレモニーに終わった観がある。「プレスリー生家訪問ツアー」を含めた小泉-ブッシュ外交と比較すると、首脳会談にしてはハッキリ言って印象の薄いイベントだった。

 どうして印象が薄いのか。

 それは、今回の会談を通じて日米が懸案を本気で解決する方向へ動いた、そのような雰囲気が共同記者会見からも、周辺の取材による報道からも感じられないからだ。

 インド洋での給油問題に関しても、牛肉輸入の完全自由化についても、お互いの内部事情を誠実に説明し、お互いの世論に訴えればもっと踏み込んだ相互理解が進み、落とし所も見えてくるのだろうが、発表されている限りでは、そのような踏み込んだ議論の形跡はない。同様に、北朝鮮やミャンマーなどの問題も、首脳同士でお互いの立場を確認し合っただけということのようだ。

 どうして日米は一緒になって問題解決ができないのだろうか。それは福田康夫首相のキャラクターであるとか、福田外交がアジア重視にシフトすることに米国が警戒した、というようなことではないように思われる。

 そもそも日米の世論の間には、お互いに対するどうしようもない無理解があるのではないだろうか。お互いの国が「どうしてそう考えるのか?」ということについて、全く理解がされていないのではないかと思えてならないのだ。お互いの発想法が理解できないのでは、共通の利害を求めて共同で行動することは簡単ではない。

「戦後」を巡る時間感覚のズレは大きい

 1つは歴史における時間感覚のズレだ。「戦後」と呼ばれる長い間、日本は米国にとって旧敵国だった。その証拠に、毎年12月7日になると、新聞のトップには「真珠湾攻撃○周年」という活字が躍り、テレビでは攻撃を経験した元兵士のインタビューが放映されていたものだ。

 ほかの例では、1994年から95年にかけて、ワシントンにあるスミソニアン博物館が広島へ原爆を投下した陸軍航空隊機「エノラ・ゲイ」を展示した際、その展示の中で核攻撃という事実への反省を述べた記述が物議を醸したことがある。結果的にその記述は削除され、機体の展示において反核のメッセージを込めることはできなくなった。

 だが、真珠湾の生き残りは1人また1人と他界し、それとともに日本への“恨み”は急速に薄れていった。例えば、2001年に公開されたウォルト・ディズニーの大作映画「パールハーバー」では、日本軍はむしろ規律正しい集団に描かれ、米国側の無警戒ぶりをバカにしたような演出がされていたが、それでも大きな批判は起きなかった。ここに至って、米国の「戦後」は終わり、日本に対する「旧敵国」という視線もほぼ消えたと言っていいだろう。

 だが、日本では「戦後」は終わっていない。沖縄戦の歴史評価にしても、毎年の広島と長崎の慰霊祭にしても、トラウマ(心的外傷)は今もなお鮮烈なものがある。犠牲の記憶だけでなく、枢軸国として世界から悪者にされ、倫理的な敗者とされたトラウマも根深い。

コメント9

「ニュースを斬る」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人は何か自信を持って誇れるものを持っているはずです。

為末 大 元プロ陸上選手