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再考グローバリズム~日本の選択肢(4)

隣人と競うな、世界のビジネスマンと戦え!

  • 水野 博泰

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2007年12月7日(金)

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日本人は急速に変貌する世界の現実を本当に直視しているのか。グローバリズムの大波に翻弄されてばかりいるのは、世界に対して目を閉じ、耳を塞いでいるからなのではないか──。伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長に、辛口の直言を聞いた。(聞き手は、日経ビジネス オンライン副編集長=水野 博泰)

丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長 (写真:清水 盟貴)

NBO 丹羽さんは「グローバリズム」をどのようにとらえていますか。

丹羽 単刀直入に言えば、人とカネと技術が国境を越えてグローバルに動き回る時代だということです。

 江戸時代の末期、明治の開国の時に、黒船が日本に来ました。その時は1つの港に来たのだけれども、今のグローバリゼーションというのは、いくつもの“ドア”から人とカネと技術が入ってきている。無数の黒船が日本の海域に姿を現している。

 私が心配しているのは、多くの日本人が本当の意味でそれに気がついていないということです。昔は大砲を撃ってきたので大変な騒ぎになりましたが、今はいろいろな所から、いろいろな形で、静かに、着実に入ってきています。

 だから、今の日本人は危機感が非常に薄いのです。豊かでモノが溢れています。もちろん、貧困に窮している人たちもいます。しかし、世界の多くの国々には、毎日本当に何も食べられないという「どん底」の生活をしている人たちが何億人もいるという現実に比べれば、はるかに恵まれている。

 生まれながらにして与えられた豊かさの中で、本当は大変な危機が迫っていることが見えなくなっている。グローバリゼーションの中で、世界の人たちは必死になって国際競争を繰り広げているというのに、日本が1歩も2歩も後れを取っているのはそのためだと思います。日本人は、自分たちが世界の中でどういう位置にあるかということを自覚していない。

NBO 今の豊かさが“当たり前”になっていて、これからもずっと変わらないと思っているということですね。

丹羽 そうです。人間が生きていくためには、エネルギーと食料と水が必要です。エネルギーは95%も、食料は60%を外国から買っています。水だって、食料の形で輸入しているんです。1キロの小麦を作るためにはその2000倍、つまり2トンの水が必要です。お米は3トン、牛肉なら20トン。そうした食料の形でバーチャルに輸入されている水を合計すると、琵琶湖の2.5倍の量になるんだそうです。

 それほど日本は世界の各国からいろいろなものを買っているわけです。そのカネをどうやって稼いでいるんですか。天然資源がない日本には、もの作りの力とか技術力、人材で稼ぐしかない。ところが、いつの間にかそんなものは当たり前になってしまった。日本で食料が足りなくなったり、エネルギーがなくなったりすることなんて、誰も心配していません。

 しかし、豊かさというのは井戸水のように掘れば湧き出してくるものではありません。日本が国際競争力を維持して、経済成長を続けない限り、日本人が生きていくために必要なものを買うためのカネを稼げません。資源が高騰していますから、ますますお金がいるんです。

 今、海外への投資リターンで20兆円ぐらい、貿易で20兆円ぐらい、合計で40兆円ぐらいのお金が海外から日本に入ってきています。そういうお金をきちっと稼いでいかないと、1億2000万人の日本人を養うことはできない。日本経済が衰退して、中国、インド、アジアに追いつかれて稼げなくなったら、日本人は路頭に迷うことになりますよ。

 グローバリゼーションによって、人とカネと技術が静かに着実に国境を越えているのです。日本には中東のオイルダラーがいっぱい入り、米国のファンドも来ていますが、彼らが今考えているのは、中国、ベトナム、アジアに対してお金をどうやって使おうかということです。そういう中で、日本だけがまるで江戸時代の鎖国みたいに、「海外のことなんか知らない、知りたくもない」という感じで太平天国をエンジョイしている。このままでは危ないぞ、という警鐘を私は鳴らしているんです。

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