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2008年を斬る:原油価格130ドルのシナリオ

巨額マネーの流入で引き続きボラティリティーは高い

2008年1月8日(火)

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 1月3日にニューヨークで、原油価格が一時的に史上初めて1バレル100ドルを突破し、原油100ドル時代がいよいよ到来した かの感がある。数年前までは、原油価格は一時的に上昇することがあっても、過去30年間の平均価格である20~25ドルに回帰すると一般的に考えられていた。今やこうした考え方は、完全に過去のものになった。

 価格上昇の理由として、様々なことが挙げられている。米国の製油能力の不足、メキシコ湾のハリケーン、産油国の地政学リスク(イランの核開発、ナイジェリアの部族間抗争など)、OPEC(石油輸出国機構)の余剰生産能力の減少、中国・インドなどの経済成長、ドル安(原油価格はドル建て表示のため)といった要因だ。

池で鯨が泳ぐような価格変動圧力がかかる

 しかし、ここ数年とそれ以前とで変わったことは1つしかない。それは投資・投機資金(以下「マネー」と呼ぶ)のコモディティー市場(原油、非鉄金属、穀物等)への流入である。原油に関しては、コモディティーインデックス・ファンドを通じてNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物市場に流れ込んでいる。

 コモディティー市場の規模は小さい。最大のWTI先物市場でも10兆~15兆円程度、金の先物市場は4兆5000億円程度でしかない。これに対し、世界の株式市場の規模は約7200兆円(うち米国約2400兆円、日本550兆円、中国390兆円)、債券市場の規模は5500兆円と言われる。

 そのコモディティ市場に巨額のマネーが流れ込むのは、池で鯨が泳ぐようなもので、大きな価格変動圧力がかかる。

 原油の生産コスト(探鉱・開発・貯蔵・輸送費用を含めた生産原価、井戸元コストとも呼ばれる)は、サウジアラビアなど中東の既存の大型油田で1バレル当たり3~8ドル、サハリン沖や米国の海底油田で30~50ドルと言われる。儲けも含め、純粋に需給だけでいけば原油価格は本来50~60ドルというのが一般的な見方である。事実、WTIの価格は、しょっちゅう50~60ドル近辺まで落ちる。これ以外の部分がマネーの影響だ。

メリル82ドル、ゴールドマン95ドル、石油業界筋は低めの読み

 さて2008年の原油価格の見通し(「原油価格」と言う時は、通常WTI期近物を意味し、本稿でも同じ)であるが、金融機関(投資銀行)筋は、年間平均価格が82ドル(メリルリンチ)~95ドル(ゴールドマン・サックス)と予想している。これに対し、石油業界筋は、もう少し低くなるのではないかと考えているようだ。

 石油業界では、ここ1~2カ月で原油の需給が緩んできている(すなわち供給過多)と見ている。理由は以下のようなことである。

(1)非OPEC産油国の大幅増産
(2)需要ピークである冬場の手当ての終了
(3)中国の需要の伸びの鈍化(中国は2004年頃まで、年率7%程度で石油需要が伸びていたが、現在は4%くらいまで落ちてきている)

 石油業界筋の見方に従えば、2008年の原油価格は、春先に70ドル程度まで下落し、夏場に80ドル前後まで上昇、秋以降は60ドル台といったシナリオになる。

 ゴールドマンは2年ほど前に原油100ドル時代を予言し、見事にこれを的中させたが、投資銀行は一般的に価格上昇を煽る傾向がある。

 年明けは、ニューヨークの株式市場が暴落し、米国景気の減速が懸念される一方で、マネーの流入で、原油、金、農産物といった商品が一斉に高騰し、予断を許さない展開になっている。

120~130ドルへの急騰は「あり得る」

 原油価格が120~130ドルまで急騰する可能性はあるだろうか──。答えは「イエス」である。マネーの流入で引き続きボラティリティーが高いからだ。複数の価格上昇要因が同時に発生すれば、100ドルラインを再び突破して急上昇しても不思議ではない。

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「2008年を斬る:原油価格130ドルのシナリオ」の著者

黒木 亮

黒木 亮(くろき・りょう)

作家

1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務して作家に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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