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2008年を斬る:覇権国アメリカの岐路

世界経済の構造が根底から変わる可能性あり

2008年1月9日(水)

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 2008年の最も重要なテーマは「米国経済」だろう。米経済は昨年夏以来の「サブプライム住宅ローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題」を機に、(1)債券市場の不調、金融機関の損失急増(金融危機)、(2)経済全般の減速と不況突入の懸念増大、(3)原油、金、穀物、食料品などのインフレ、(4)ドル安と、世界の諸国のドルペッグが外れるかもしれないという「ドルの信用不安」――の4つが複合的に絡み、悪循環に入る四重苦が続いている。

 昨夏のサブプライム危機が顕在化するまで、米金融界は10年以上にわたりおおむね活況で、その強さの源泉の1つは「債券化(証券化)」にあった。債券化は、以前は流動化できなかった様々な債権債務を、高リスク債券やジャンク債という形で流動化した。経営難で銀行が融資を断るような会社でも、債券発行で資金調達できるようになり、米国では倒産が減り、リスクプレミアムが低下して高リスク債のリスクが減って買いやすくなった。債券化された高利回りの金融商品が世界からの投資を呼び込み、米金融界は活況を謳歌した。銀行は、以前は銀行の帳簿上に載せていた債権債務を、債券化することで簿外へと切り離して身軽になり、高収益が出しやすくなった。

 昨夏以来の金融危機は、これらのいいことずくめの状況を吹き飛ばした。それまでの数年間、リスクを軽視していた世界の投資家は、急にリスクを気にするようになり、リスクプレミアムが急上昇して、高リスク債が売れなくなった。多種多様な高リスク債の市場の多くは、半年経った今も開店休業状態である。サブプライムなど高リスク債の破綻増を受け、銀行は、帳簿外に置いていた高リスク債の勘定を、銀行本体の帳簿上に戻したうえで損失償却せざるを得なくなった。銀行は、以前のような重たい体に戻ったうえに損失を計上し、急速に経営が悪化した。こうした状況は、米国と英国の銀行に顕著な半面、日本の金融機関は1990年代のバブル崩壊後、非常に慎重な経営を続けてきたため、活況も経験しなかった代わりに、今夏以降の大崩壊も経験せずに済んでいる。

米国発の世界不況の入り口か?

 こうした昨年末までの状況の上に、今年の状況予測が乗るわけだが、米国の専門家の間では、住宅市況の悪化はまだ序の口だと考えられており、2008年から2009年にかけて住宅ローンの破綻はさらに増えると予測されている。米国の住宅価格指数として有名なケース・シラー係数の発明者であるイエール大学のロバート・シラー教授は、住宅市況の悪化によって、米国は1930年代の大恐慌並みの不況に陥りそうだという予測を、昨年9月と12月に発している。今年は銀行の損失計上額がさらに増え、高リスク債市場の開店休業状態は続き、米国企業の資金調達は困難なままだと予測される。今年、米国の金融危機は悪化する。

 米国経済の70%は消費で成り立っている。日本や中国などは、製造業の生産が経済の牽引役だが、米国は日中などが輸出した商品を買って消費することが経済成長の大黒柱である。消費者の大多数は中産階級であるが、米国では1970年代以来、中産階級の給料単価が上がっていない(経営者の取り分は急増した)。給料が上がらない分、中産階級の家計は、80年代は女性(妻)の職場進出、90年代は労働時間の延長、そして2000年以降は持ち家の価格上昇を受けた住宅ローンの借り増しやクレジットカードの利用増という「借金」によって所得総額を増やし、旺盛な消費を続け、世界経済を支えてきた。

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