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2008年を斬る:日米関係を強化せよ

米国は確実に変わる、日米関係は大転換点に

  • 冷泉 彰彦

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2008年1月10日(木)

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 2008年、米大統領選挙の年が明けた。

 年明け早々にアイオワ州の党員集会、ニューハンプシャー州の予備選が行われ、2月5日のスーパーチューズデーを目指して、各候補は「モメンタム」獲得に躍起だ。やがて両党の候補が決まれば、夏の党大会を経て11月の投票日までは一直線となるだろう。ということは、今年の日米関係は、ひたすらに大統領選の行方を指をくわえて見ているしかないのだろうか。

 決してそんなことはない。確かに政権交代の可能性も含めて大統領選の結果が日米関係に与える影響は大きい。だが、結果を待つだけでは能がない。まして、ジョン・マケインやルドルフ・ジュリアーニは知日派に見えるが、結局ヒラリー・クリントンやバラク・オバマの政権になるのであれば、もう米国は頼りにならない…などと投げやりになる必要も全くないのだ。日米関係の今後を考えるということでは、これからの長い政治の季節を横目で見ながらできることはいろいろある。

大統領選で「日本」が争点にならないことの意義は?

 なぜか。それは今回の大統領選で「日本」は全く争点になっていないからだ。

 そんなバカな、と思われるかもしれないが、民主・共和両党の各候補が現時点までに発表している政策の中で日本に関して言及している部分はほとんどない。では、どうして「無視」されているのか。それは、日本の経済活動が低迷しているから論評の必要がないとか、右傾化する日本は切り捨ててしまえ、などという意味での「無視」ではない。例えば、対中国関係について重視するというような候補はヒラリーやオバマなど何人もいるが、彼らにしても現状としての日本との関係を問題視しているのではないのである。

 つまり現在、日米の間には大きな問題はないと言って構わない。

 争点にならないのはそのためだ。例えば政権の当事者の間では「日本はインド洋での給油を再開してくれない」とか「米国は食肉牛の輸入全面解禁をしつこく言ってくる」というような問題があって、それぞれにストレスにはなっているのだろうし、それをメディアが何度も記事にすることで「日米はうまくいっていないのでは?」というムードが世論に生まれることはあるだろう。だが、大統領選の争点から全く外れているということは、そうした個別の「調整事項」以外には本質的なコンフリクトが日米の間にはないことを示している。

 では、そんなに日米間に問題がないのであれば、現状維持がベストなのだろうかというと、必ずしもそうではない。大統領選を転機として米国は明確に変化しようとしている。相手が変わるのであれば、相手との関係も変化を余儀なくされるのであって、現状を維持すること自体がそもそも難しくなる。つまり、2009年以降の関係をどうしてゆくのかを真剣に考えてゆく必要性からは逃れられないのだ。

 そして相手がとにかく選挙で手いっぱいなのであれば、2009年以降をどうするか、という問題を考える役割は当面は日本側にボールが投げられていると考えるべきだろう。2009年を見据えつつ、米国がどう変化していくかを見極めながら、むしろ日本側から積極的に課題を突きつけてゆく、それが2008年の日米関係の中で最も重要な作業になる。

国際協調への回帰、内向き志向、強い米国からの徹底

 米国はどう変化するのだろうか。

 現時点では選挙戦の行方は全く分からない。だが、大きな方向性は見えてきている。その方向性は、民主党の候補でも共和党の候補でもそれほど大きくは変わらない。

 その第1は、国際協調への回帰という方向性だ。ジョージ・ブッシュ政権の米国は、ジョン・ボルトン前国連大使が象徴するように国連中心の調停機能よりも、米国の主導する有志連合を重視してきた。だが、イラク社会の安定の遅れ、アフガン・パキスタン情勢の悪化など結果は芳しくない。また、有志連合を形成していたポーランド、スペイン、オーストラリアでは親米政権が下野したし、英国のゴードン・ブラウン政権には是々非々の姿勢が見え隠れする。

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