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2008年を斬る:激動の国際政治

世界的な覇権体制の多極化が進む

2008年1月16日(水)

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■関連記事:2008年1月9日「2008年を斬る:覇権国アメリカの岐路

 国際政治の世界では、米国の大統領の2期目の最後の1年は、大統領が何をやらかすか分からない要注意の時期だとされている。このことは最近、日本の外務省の高官も非公式の講演で指摘していた。過去30年間で、2期8年続いた大統領はレーガン、クリントン、そして現ブッシュであるが、レーガンは末期にソ連のゴルバチョフと談合して冷戦を終わらせた。クリントンは2期目に中国に急接近し、末期に北朝鮮とも国交を正常化しようとした(任期終了で正常化までいかなかった)。レーガンもクリントンも「米欧日の先進国が、ロシアや中国など反米的な勢力を封じ込める」という冷戦型・欧米中心の世界体制を、任期末に壊そうとした。

 現ブッシュ政権も、欧米中心の世界体制を強化するはずだったイラクやアフガニスタンの占領が崩壊寸前であり、その対策と称して、任期末の2008年には、ロシアや中国、イラン、北朝鮮など「敵方」との宥和を強める可能性がある。冷戦型の世界構造の中で、米国にぶら下がって安定と発展を維持し続けてきた日本にとって、ブッシュが今年、世界の多極化を進めそうなことは要注意である。

 日本のマスコミは、外交も経済も失敗した任期末のブッシュ政権のことより、米国を立て直すかもしれない次の大統領が誰になるかを気にしている。だが、次の政権になる前に、ブッシュ政権の最後の1年の世界的変化の方が重要である。

台頭するイラン、自立する中東

 国際政治の分野では昨年、米国が世界を動かせる力が減退し、G7(先進7カ国首脳会議)など米英中心で世界を運営してきた国際機関の影響力も落ちる傾向が見えだしたが、この傾向は今年も続くだろう。半面、ロシアや中国の発言力が増し、米英に封じ込められていたはずのイランが中東の反米化を煽りつつ影響力を拡大するなど、世界的な覇権体制の多極化が進みそうだ。

 米国は2001年の「9・11」テロ事件以降、好戦的な軍事介入重視の世界戦略を強め、単独覇権主義を掲げ、イラク・イラン・北朝鮮を「悪の枢軸」として政権転覆の対象国に指名し、2003年にはイラクに侵攻して政権転覆を実施した。しかしその後、イラク占領はゲリラ戦の泥沼に陥り、単独覇権主義は急速に失敗色を強めた。米国は昨年、イラク派遣軍を大増強して挽回を試みたが失敗し、もはや米軍がイラクを安定させて成功裏に撤退するのはほぼ不可能になっている。まだ米軍は撤退しそうもないが、これは敗北を先延ばしする意味しかなく、イラク人を反米で結束させるだけである。

 米国は昨年、政府高官がイランの核施設空爆を示唆するなど、悪の枢軸の一員であるイランとの緊張関係を高めたが、12月初めに「イランは2003年から核兵器開発をやめているようだ」という結論の諜報報告書(国家情報評価、NIE)を発表し、その前後からイラン敵視を弱める方向に態度を転換した。

 ロシア、中国、アラブ諸国(サウジアラビア、エジプトなど)は、米国の好戦的な単独覇権主義に迷惑していたものの、米国の強大な軍事力を恐れ、黙っていた。ところが米軍はイラク占領で疲弊し、さらにNIEが発表されて米国がイラン敵視を軽減したため、各国は、米国が弱体化して好戦的な態度を緩めだしたと見て、昨年末から相次いでイランとの関係強化に動きだした。ロシアは延期していたイランの原子力発電所建設への協力を再開し、中国は「イラン制裁はやめた方がよい」と初めて明確に主張し、サウジやエジプトはイランとの友好関係を強化した。

 米国は従来、EU(欧州連合)、アラブ、ロシア、中国をすべてイラン制裁に賛同させ、制裁を強化してイランを弱める方針だったが、この戦略は完全に破綻した。米国では、戦略を転換し、米国がイラン敵視を弱める代わりに、イランはイラクでの反米ゲリラ支援をやめ、米軍の成功裏の撤退に協力するという交換条件で、イランと交渉することが検討されている。ブッシュ政権は今年、イラン敵視をやめてイラクを安定させようとするかもしれない。ブッシュがやらなければ、来年からの次期米政権がそれをやるだろう。

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