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アステラス製薬

ディフェンシブ株の再評価の時期迫る

2008年1月25日(金)

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 「これまでは立場上言いたいことが言えませんでしたが、これからは違います。(中略)アステラス製薬だけは生き残りますから、皆様応援よろしくお願いします」

 日本製薬工業協会(製薬協)が2007年11月に開催した定例会見。アステラス製薬の共同会長で製薬協の会長も務める青木初夫氏は、会見後に開かれた記者懇談会の挨拶で久々の“青木節”で会場を笑わせた。

 青木氏は、旧藤沢薬品工業の社長として旧山之内製薬との合併を導き、アステラス製薬の誕生に尽力した立役者。慎重な発言に終始するトップが多い製薬業界の中で、公の場でも本音トークを繰り広げる数少ない経営者だ。そんな青木氏も2004年5月に製薬協の会長に就任してからは立場上発言を控えていたようだが、任期終了までわずかとなり、冒頭の“単独サバイバル発言”が飛び出した。

 過激な発言の裏にはわけがある。薬価制度の改定によって、アステラス製薬のような新薬を開発するメーカーの収益環境が、大きく変わる可能性があるからだ。

 その制度改定とは、健康保険制度を利用して処方される医薬品の基準価格(薬価)を厚生労働者が決めるもの。2年に1度改定され、ある一定のレベルになるまで毎度薬価は切り下げられる。2008年度は薬価が改定される年に当たり、全体で引き下げ率は1.2%(医療費ベース)となる見込みだ。

財務省が追加で薬剤費引き下げ

 これは、薬剤費予算にして960億円の歳出抑制となる。厚労省は当初、薬剤費予算を薬価の引き下げで800億円の抑制を図ることにしていた。しかし、高齢化社会の進展で医療費削減を急ぐ財務省は、さらなる歳出抑制を求め、最終的に160億円の歳出抑制の上積みが政府内で決着した。

 160億円の上積みは、10年が経過した薬のうち、年間販売額が予想の2倍以上、売上額が150億円以上という2条件を満たす薬の薬価を15~25%引き下げる「市場拡大再算定」という制度を適用して捻出された額で、この制度がもたらす影響の矢面に立つのが、長期収載品と呼ばれる特許切れの先発薬だ。

 健康保険制度に基づいて患者に処方される医薬品は2種類。先発薬とその先発薬の特許が切れた後に同一成分を使って製造された後発薬で構成される。国内の薬剤費は6.9兆円で、そのうち先発薬のシェアは金額ベースで95%を占める。95%のうち40%は長期収載品だ(割合は製薬協発表の推計値)。

 欧米であれば後発薬にシェアのほとんどを奪われてしまう特許切れ薬品が、日本では長期収載品として延命できているのは、医療機関にとって薬価差益が稼げない後発薬は魅力が薄く、「後発薬は品質が悪い」という負のイメージもつきまとってきたからだ。

 海外と比べ異質な国内市場は、新薬メーカーにとっては“楽園”だった。新薬の開発はうまく進まなくても、特許が切れた古い薬が売れる。人間が病気になる確率は世の中の好不況とは関係ないからおのずと収益は安定する。だからこそ医薬品株は「ディフェンシブ株」の定番として扱われてきた。

 こうした状況が、今回の薬価改定で適用される市場拡大再算定制度によって、大きく変わる可能性がある。政府としては、後発薬のシェアを数量ベースで15%程度から2012年度までには30%に引き上げる計画だ。市場拡大再算定制度で長期収載品の単価が引き下がれば、後発品の金額ベースのシェアは拡大し、それは製薬協の多くの会員企業が依存していた長期収載品の売り上げ減をもたらす。

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