• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

突然の「携帯官製不況」

有害サイト規制を義務化した総務省の拙速

  • 田中 成省,中島 募,鈴木雅映子

バックナンバー

2008年2月4日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

青少年保護を目的に、総務省が「有害サイトアクセス制限」を義務づけた。
方法論が確立されない見切り発車に、「あまりに性急」との批判が相次ぐ。
携帯サービス市場の芽を摘み、コンテンツ立国への道が遠のく。

 「災害時は携帯からのアクセスが中心になるはず。早急にアクセスできるようお願いしている」(埼玉県庁)。埼玉県が2007年11月に開設したサイト「埼玉県危機管理・災害情報」が思わぬ“災害”に遭遇し、対応に苦慮している。

 携帯電話からアクセス可能なこのサイト上のサービスに、最近になって、携帯から接続できないとの報告が相次いだためだ。同サイトは楽天のブログサービスを利用している。埼玉県は楽天に改善を求めたが打開策は見えていない。一部の契約者からのアクセスを制限しているのが楽天ではなく、携帯キャリア(通信事業者)だからだ。

 そのキャリアの表情も冴えない。「これからはグーグルのあらゆるサービスを携帯から利用できるようにしたい」。1月24日、NTTドコモの夏野剛執行役員は、米グーグルとの携帯向けサイトの提携会見で高らかに宣言した。ところが、グーグルの幹部がいる前で、こうも説明せざるを得なかった。「グーグルの検索サービスを使ったサイトを表示できない場合がある」。

自民党サイトもアウト

 埼玉県庁を困惑させ、携帯のインターネット化を進めるドコモの表情を曇らせるもの。それは、携帯キャリアが未成年向けに提供している「有害サイトアクセス制限サービス」という名のフィルタリングサービスだ。

有害サイトアクセス制限サービスの加入申込書(ソフトバンクモバイル)

有害サイトアクセス制限サービスの加入申込書(ソフトバンクモバイル)

 「iモード」や「Ezweb」など、携帯のネット接続サービスでコンテンツを閲覧する時にアクセスを制限する機能のことで、今年1月中旬から2月1日までに、携帯キャリア各社はこのサービスの加入対象を「希望者」から「未成年の契約者は原則加入」へと改定した。

 フィルタリングは、出会い系サイトを介した売春や、ブログサイトでの誹謗中傷、いじめなど、いわゆる「有害サイト」と、そこを舞台に起きる犯罪から青少年を保護する仕組みとして、携帯キャリアが2003年から始めたサービスだ。有害サイトから子供を守る正義のサービス。しかし、具体的な方法論となると課題は山積している。

 健全と言われる日記やブログ、掲示板などでも、誹謗中傷やいじめ、不適切な出会いなどが起きているためだ。これらのリスクを完全に排除しようとすると、広範囲にアクセスを制限するしかない。ブログなどの書き込みを1つずつ監視する行為は検閲に当たるために、携帯キャリアはサイトの良し悪しを個別に判断することを避け、「疑わしき分野」全体を制限対象とする基準を設定した。その結果、有害サイトアクセス制限サービスを申し込んだ加入者が、有害ではないサイトも見られなくなる珍現象が頻発している。

 例えばNTTドコモは2月1日から、未成年の新規契約者には、原則として「公式サイト」以外のいわゆる「勝手サイト」のすべてへのアクセスを制限した。グーグルの検索で表示されるサイトは勝手サイトのため、その対象だ。

 さらに公式サイトでも「薬物」「アダルト」といった分野に加え、「出会い」の可能性のあるブログや掲示板、SNSなどの双方向コミュニケーションサイトが制限対象になる。埼玉県の災害情報サイトは楽天のブログサービスを利用しているため、アクセスできない。

 勝手サイトの閲覧が可能なアクセス制限サービスのメニューも別途用意しているが、こちらも危険思想に触れる可能性があるという判断から、政党や宗教などのサイトが一律でアクセス禁止。現段階では、政権与党である自民党のサイトさえ閲覧できない。

こんなサイトも今は“有害”

総務省の密室主義に批判

 フィルタリング精度の低さや認知度不足もあって、有害サイトのアクセス制限サービスは十分に普及しているとは言い難かった。電気通信事業者協会の調べでは、2007年9月時点のサービス利用者は約210万人。750万人と言われる18歳未満の携帯利用者の3分の1以下にとどまっている。

 ところが昨年12月10日、総務省がキャリア各社に突如として「18歳未満の原則加入」を要請し、キャリア各社も急遽、原則加入に舵を切った。

 すると、総務省への批判が沸き起こった。「コンテンツ事業者などに対するだまし討ち」(あるコンテンツ事業者)のような決定プロセスへの批判だ。「一緒に考えていこうと話したあの日は何だったのか」「これから議論しようというタイミングなのに、あまりにも唐突。議論を遮断する行為だ」。総務省が開く「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」のメンバーであるコンテンツ事業者たちは総務省への不信感を口にする。

 総務省は昨年11月末、携帯キャリアやコンテンツ事業者などで構成するこの検討会の第1回会合を開いたばかり。参加者はそこでフィルタリングに関する問題意識を共有したと感じていた。コンテンツ事業者の業界団体「モバイル・コンテンツ・フォーラム」では、有識者などで構成する健全なサイトを認定する、第三者機関を設ける準備も始めていた。その矢先に総務省が突如、「原則加入」の要請をしたのである。第2回の会合はもはや「検討」会ではなく、事後報告になっていた。

コメント0

「時事深層」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「昔、SOMPOは保険会社だったらしい」と言われたい。

桜田 謙悟 SOMPOホールディングス グループCEO社長