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T&Dホールディングス

EVから見えるグループとしての課題

2008年2月13日(水)

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 国内で、生命保険会社唯一の上場会社であるT&Dホールディングスを取り巻く環境が変化してきた。昨年10月には、収益の9割をソニー生命保険が稼ぎ出す金融グループ、ソニーフィナンシャルホールディングス(8729)が上場した。既に株式会社化した三井生命保険も年内上場が見込まれるほか、近い将来に総資産が100兆円を超えるかんぽ生命保険や、相互会社の第一生命保険が株式会社化後に上場することが明らかになっている。

 株式市場ではセクターとしての厚みが増し、これまでとは違った競争にさらされることになる。一方、生命保険会社の企業価値を測る指標「EV」(エンベディッド・バリュー)の同社の数字からは、同社の成長戦略がやや足踏みしている状況がうかがえる。

既存契約者の掘り起こしが一巡

 T&Dホールディングスは、大同生命保険、太陽生命保険、T&Dフィナンシャル生命保険という3社の異なるビジネスモデルを生かした戦略を描いてきた。大同生命や太陽生命はいわば、税理士チャンネルを通じた中小企業経営者、家庭にいる中高年女性といった「ブルーオーシャン」を攻略した会社だ。

 だがここ1~2年、利益成長の推進役となっていた太陽生命の新規契約が大きく減速している。変額年金保険専業であるT&Dフィナンシャルの事業展開も、グループ内での営業職員乗り入れなど必要な機構改革は終えたものの、競争激化で厳しい経営環境に置かれている。

 「この1年半で、太陽生命の既存顧客からの契約転換はほぼやりつくした」と、T&Dホールディングスの坂井啓三経営管理部長は言う。太陽生命は少子高齢化など経営環境の変化に対応するため、既存の貯蓄保険契約者に対して医療・介護や死亡保障など収益性の高い保障型の保険への転換を促す営業活動を続け、収益を伸ばしていた。

 だが2008年3月期の中間決算では新契約高が、キャンペーンを中止した影響もあって前年同期比38.5%減と大きく減少。業界全体の動向と同様、営業職員の離脱も進んでいる。さらに、中高年女性が中心である顧客と、営業職員の高齢化も進んでいる。

 とはいえ、太陽生命については、まだ可能性があると見るアナリストが多い。格付投資情報センター(R&I)の植村信保チーフアナリストは「太陽生命の450万件という大きな顧客基盤はまだ掘り起こせる。一方、T&Dフィナンシャルの(将来の新契約から期待される株主利益の現在価値を示す)将来の新契約価値がマイナスで、売っても儲かっていない。契約を増やすか、単位当たりのコストを下げるかの対策が必要」と指摘する。

保険会社を見る指標「EV」の見方

 T&Dホールディングスは、株主への配当可能な利益の価値を見積もった額「EV」(エンベディッド・バリュー)を、企業価値の指標としている。EVは、「修正純資産」(保険金支払いに備えた各種準備金のうちの未割当額、評価・換算差額を除いた純資産と、有価証券や土地の含み損益を合計したもの)に、保有契約から将来生み出されると期待できる「株主利益の現在価値」を足し合わせた数字だ。欧州を中心に、上場生命保険会社について、割安・割高を測る指標として使われている。

 時価総額をEVで割った「EV倍率」は平均して1倍前後が妥当、とされていて、1倍を大きく超えれば割高、1倍を割れば割安となる。例えば、ニューヨーク株式市場における仏アクサグループ(AXA)の時価総額は662億米ドル(2月7日現在)で、市場が混乱する中でも、アクサグループの2006年のEV36.3億ユーロ(2月7日の為替レート、1ドル=0.69ユーロで換算)の1.26倍程度になっている。

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「T&Dホールディングス」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト