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グレーゾーン金利の息の根を止めた男-2

滝井繁男・元判事が語る司法の役割

  • 大豆生田 崇志

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2008年3月3日(月)

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 前回のコラムでは、上限金利の引き下げ、グレーゾーン金利の撤廃に尽力してきた宇都宮健児弁護士を紹介した。グレーゾーン金利の撤廃の流れを作ったのは、2004年2月の最高裁判決に書き込まれた1人の判事の補足意見だった。補足意見とは判決の結論には賛成だが、その理由を補足するものだ。

 その補足意見を書いたのは滝井繁男・元最高裁判事。大阪弁護士会長を経て、2002年6月から2006年10月まで最高裁判事を務め、現在は弁護士として活躍している。滝井元最高裁判事が補足意見を記した事件は、利息制限法の上限金利(15~20%)と出資法の上限金利(29.2%)の間であるグレーゾーン金利を、貸金業者が受け取るための要件の解釈について争われたもの。

 その要件とは、1983年に議員立法で作られた貸金業規制法によって貸金業登録をした業者は借り手に、(1)法律で定められた書面を渡し、(2)借り手が任意に利息を支払う――という2点を満たせば、グレーゾーン金利の支払いを有効な「弁済」とみなして認めるもの。

 2004年2月の判決で最高裁は、貸金業者側が作成して所定の事項がすべて記載された書面を弁済の直後に渡していないのに有効な弁済と認めた原判決は、明らかな法令違反があるとして、高等裁判所に審理のやり直しを命じた。

 この判決の意義は、貸金業者の作成する書面の要件を厳格に解釈したこともあるが、冒頭に紹介したように、この裁判で裁判長を務めた滝井元判事の補足意見にある。それは、貸金契約書の約款に、「約束していた利息の支払いが遅れると、借主は期限の利益を失い、残りの元本と利息を貸金業者側が全額一括で請求できる」という条項があり、これは借り手にグレーゾーン金利の支払いを強制していることになり、貸金業規制法が認めるみなし弁済の要件の1つである任意性を満たしていないとするものだ。

 滝井元判事が補足意見で指摘したのは、そもそも借り手は納得してグレーゾーン金利を支払っているのか、それでよいのかという根本的な疑問だった。この補足意見が基点になり、2006年1月に行われた別の最高裁判決には、「債務者が、事実上にせよ強制を受けて利息の制限額を超える額の金銭の支払をした場合には、制限超過部分を自己の自由な意思によって支払ったものということはできず」が盛り込まれた。滝井元判事の補足意見が、多数意見となったのだ。

 この2006年1月判決によって、同じ年の11月に貸金業規制法、出資法などが改正され、改正公布後3年以内に、出資法の上限金利を利息制限法と同水準に引き下げることで撤廃されることが決まった。

 滝井元判事を動かしたのは何だったのか。消費者保護を重視した判決が多くなったと言われるように最高裁は変わったのだろうか。

(本誌による要約、日経ビジネス オンライン 大豆生田 崇志)

滝井繁男(たきい・しげお)氏
1936年生まれ。61年京都大学法学部卒。63年弁護士登録(大阪弁護士会所属)。99年大阪弁護士会会長・日本弁護士連合会副会長、2002年6月から2006年10月まで最高裁判所判事。

 滝井 最高裁判所は変わったのかもしれない。しかし私は、この一連の判決がそんなに変わった解釈ではないと思う。何か驚天動地のような判断をした書き方をしている新聞記事もあったが、私はそうは思わない。

 2004年2月の判決は、法律で定められたすべての書面が交付されていないのに弁済を有効と認めたのは法令違反だとして高裁に差し戻した。他の裁判官とは書面要件の厳格性で結論を出せるという点で一致したので、あえて任意性にまで触れなくてよいということになった。しかし書面の要件なんて、貸金業者にとってはいくら厳格にされても、すぐに手直しして対応できるもので痛くもない。

 最後に残るのは、任意性の解釈だった。任意性についてはっきりとした解釈をしないと、貸金業法を巡る紛争はいつまでも解決しない。それで、あの補足意見を書いた。

 ―― グレーゾーン金利は1983年に議員立法で成立した貸金業規制法によって、その存在を担保された。この貸金業規制法は、それまでの最高裁の判例とは逸脱する形で成立した。最高裁は1964年に、融資額の元本が残っている場合、借り手が利息や損害金名目で利息制限法を超過する金額を支払っても、その分を元本の返済に充てるとした。さらに68年には、利息制限法による計算の結果元本を完済していた場合にも、過払い分の返還請求ができるとして、貸金業者にインパクトを与える判決を矢継ぎ早に出していた。

 滝井 2006年の1月の判決は、1968年の利息制限法の判決の延長線で理解できる。68年判決の方が驚天動地と言うべきものだと思う。いわば新しい法律を作ったようなぐらいのインパクトあるものだった。

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