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土俵際の国内クルマ販売

自動車業界の「アキレス腱」、春闘の隠れた論点に

  • 伊藤 暢人, 江村 英哲, 佐藤 嘉彦

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2008年3月3日(月)

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販売不振を受け、国内の自動車販売店が疲れ切っている。
今春闘では営業担当者の「勤務体系改革」も隠れた論点に。
もはや販売会社の自助努力だけでは、再浮上は難しい局面だ。

自動車小売業の倒産件数

 2007年の自動車輸出実績は6年連続で前年の実績を上回る655万台。国内で製造されたクルマの56%が海外に輸出されている。昨年は円安の恩恵も受け、自動車メーカー各社は軒並み輸出を増やした。しかし、その一方で国内販売は厳しい状況が続いている。国内の自動車販売が最も好調だった1990年の777万台と比較すると、2007年の販売は535万台と31%も減少した。

 新車の販売が収益の柱である販売会社にとってみれば、逆風は強まる一方だ。特にホンダや三菱自動車は国内での販売台数を前年同期比で10%以上も落とした。帝国データバンクの調べによると、2007年の自動車小売業の倒産件数は前年比83%増の44件となった。

法的整理ではないが、ひっそりと店を畳んだ、金沢市郊外のホンダ販売店

法的整理ではないが、ひっそりと店を畳んだ、金沢市郊外のホンダ販売店

 昨年の10月9日、金沢市近郊で32年営業してきたホンダの小さな販売店がひっそりと店を畳んだ。ホンダで働いていた長丸征夫氏が独立して創業し、地場資本の小規模ディーラー「プリモ店」として経営してきた店だ。2000年代に入ってから、販売規模の小ささからホンダとの直接取引をやめ、別のホンダ系販社からクルマを仕入れるようになった。それでも、年に200台近い新車を売っていた。

 ところが、最近は若者のクルマ離れで新しい顧客を獲得できなくなった。加えて、クルマの長寿命化で既存顧客の買い替えも進まず、販売は年100台程度にまで落ち込んだ。後継者の不在もあり、長丸氏は店を畳むことに決めた。「市場の先行きが明るければもう少し頑張れたのだが…」と悔しさをにじませる。

 ホンダは2006年に3系列あった販売店を統合し「ホンダカーズ」とした。軽自動車の販売はこれまでプリモ店の特権だったが、今ではどの店でも取り扱うようになり、ホンダ系販売店間の競争が激化した。

 国内販売の低迷が続けば、まず最初に耐え切れなくなるのはこうした小さな販売店だ。

 苦悩する国内の自動車販売店──。それは、今年の春闘にも表れている。

 自動車総連は「1000円以上の賃金改善」を掲げ、6年ぶりに具体的な金額を巡る闘争を続けている。ところが、製造系と販売系とでは事情が違う。海外事業が好調な製造系では、トヨタ自動車の労働組合が1500円を要求するなど強気なのに対し、販売台数のジリ貧が続く販売系では「何とか傘下の全組合が1000円程度を求めることはできそうだ」(全トヨタ販売労働組合連合会)と、温度差が見られる。

営業担当者の残業代が論点に

 実はこの春闘で隠れた論点がある。販売店の営業担当者の勤務体系改革だ。外回りが多いため、従来は残業代ではなく「手当」として支払われるケースがほとんどだった。顧客の元へ直行や直帰する営業担当者が多く、勤務時間を完全に把握することが難しかったからだ。

1月18日に東京・中野で開催された全トヨタ労働組合連合会の中央委員会。ここ数年は「働き方」も論点に

1月18日に東京・中野で開催された全トヨタ労働組合連合会の中央委員会。ここ数年は「働き方」も論点に

 ところが、顧客の生活時間の多様化などにより勤務実態と支払われる手当とに乖離が生まれていた。1990年代以降は労働基準局などの指導を受けるケースもあり、こうした実態の改善に向けての意識は労使の枠を超えて広がりつつある。出勤と退勤の時間を記録して残業代を支払うという、一般的な時間管理方式への転換が徐々に始まっている。

 労組側はこの制度を浸透させようと活動を強化してきた。トヨタ系の製造・販売など295社の労組を束ねる全トヨタ労働組合連合会の東正元・会長は「従業員の生活の質が向上し、結果的には販売店の体質強化にもつながる」と、この問題の重要性を指摘する。

 しかし、業績の厳しい経営側の反応は鈍く、交渉は長引いている。例えば全トヨタ販売労働組合連合会では、傘下の182組合のうち既に新制度を導入しているのはまだ40組合に過ぎない。今春導入の方向で議論が進んでいるのが42組合、導入する意向はあるものの時期を決められていないのが67組合という状況だ。労組側は今春、一気に導入企業の積み増しを狙っている。

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