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経済一流を取り戻せ

迫る「1ドル90円」、先送り許されず

  • 杉山 俊幸, 大竹 剛

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2008年3月10日(月)

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3月末を控え急速な円高・株安が進行、景気後退リスクが高まっている。
政府は日本の針路を示そうと「21世紀版前川リポート」の作成に着手した。
ニッポンを再起動し、「経済一流」に返り咲く処方箋をシリーズで探る。

前川リポートとは?

 1986年に「国際協調のための経済構造調整研究会」がまとめた報告書。会長の元日銀総裁・故前川春雄氏にちなみ「前川リポート」と呼ばれている。当時の中曽根康弘首相に提出された。

 経常黒字の増大による米国との貿易摩擦と、プラザ合意後の円高進行に直面。経済構造の転換が必要との認識を背景に提言がなされた。

 基本路線は外需主導型から内需主導型への転換と、それを支える規制改革など。市場原理を重視し、その後の構造改革につながった。内需拡大の方向性が公共事業の増大を招き、バブル経済の一因になったとの批判もある。

 米国景気の減速懸念や信用不安でドル安・円高が加速。輸出企業の収益悪化観測が、株安となって連鎖する。

 3月3日の東京市場の動きは、まさにそんな構図だった。円相場は、約3年ぶりに一時1ドル=102円台に乗せ、日経平均株価は1万3000円を割り込んだ。円高の勢いは収まらず、市場関係者の間では将来「1ドル=90円台」の到来を見込む声も出始めた。

 外需に頼らない経済構造を目指す。そんな思いで福田康夫首相が、経済財政諮問会議に「構造変化と日本経済」専門調査会(植田和男会長)を設けた直後の出来事だった。

 この会議、21世紀版の前川リポートを作るのが狙いだ。元祖のリポートは、中曽根康弘政権時代の1985年10月から検討が始まった。主眼は、対米など日本の貿易黒字を減らすため、内需を拡大することだった。

 あれから20年余り。提言は市場開放や規制緩和に一定の成果を上げたが、いまだ課題も残る。足元の円高、株安の連鎖は日本経済の脆弱な体質が十分に変わっていないことを象徴する。

 日経ビジネスが、「元祖」版の提言の達成度を著名経営者に聞いた緊急調査では、一段と厳しい日本経済の現状認識が浮かび上がる。対象は丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長、宮内義彦・オリックス会長、小林陽太郎・富士ゼロックス相談役最高顧問の3氏で、いずれも政府審議会などの委員を務めた政策通である。

 元祖版は日本経済の構造転換の方向性を3項目の「基本認識」として提示、さらに具体策を提言した。具体策は日経ビジネスが17項目に分類し、達成度を10点満点で通信簿を作ってもらった。

 基本認識にある「経常黒字を縮小し内需主導」に転換できたかについては3氏とも極めて厳しい評価だ。小林氏は5点をつけたが丹羽氏は3点、宮内氏に至っては0点だ。

 なぜ、内需主導が達成できないのか。丹羽氏はこんなコメントを寄せた。

 「内需の中心である個人消費にマイナスとなる施策が実施されているため。例えば、非正規雇用の増大や、年金や介護など社会福祉分野における給付水準の見直しなどがそれだ」

 非正規雇用は1700万人を超え、労働者の3分の1に迫っている。非正規の工場労働者を巡って社会問題となった「偽装請負」は、安価な賃金で働くワーキングプアの温床にもなった。

対日直接投資にも厳しい結果

 具体的な提言については17項目の中で3氏の採点の平均点が低い順から5つを下の表に掲載した。この5項目は、20年来未解決の課題と言える。平均が2点と最低点を記録したのは国際化に対応した農業政策の実施だ。

内需主導型の経済に移行できず

(写真左2点:村田 和聡、右:清水 盟貴)

 昨夏の参院選で、民主党は公約で農家への戸別所得補償を掲げた。与党である自民党の元幹部は、「農村票が民主党の政策にあっさりなびいてしまった」と参院選大敗の一因になったことを認め、危機感をあらわにした。そして、大規模農家に補助金を集中させる自民党の政策から、補助対象となる面積の要件緩和へとすんなり動いてしまった。

 緩み始めた財政の箍(たが)。赤字国債依存体質からの脱却という項目の平均点が2番目に低いのは自然なことだった。

 2009年度までに、基礎年金の国庫負担割合を現状の3分の1から2分の1へと引き上げる見通し。民主党は全額税方式を主張する。ただ両党ともに財源をどう確保するのかは明確にしていない。消費増税についても具体的な議論は封印されたままだ。

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