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ジャスダック上場「クオンツ」に適時開示の疑念

新興株式市場、長期低迷の深層

2008年3月14日(金)

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 このままでは新興市場に誰も寄りつかなくなってしまう。

 情報開示に関して、ジャスダック上場企業に重大な疑念が浮上している。その企業はクオンツ(6811)。もともとは高級オーディオ製造会社だったが、2005年以降、ファンドの設定や運営、管理などを手がける投資会社に変貌した。投資先は9社。その中には、アーティストハウスホールディングスやオープンループといった上場企業の名もある。

 もっとも、業績や株価は惨憺たる状況だ。2007年3月期の連結売上高46億円に対して、29億円の営業赤字。1998年以降、10年連続で営業赤字である。株価も11円(3月13日)と低迷している。クオンツは第三者割当増資をしたり、株価によって行使条件が変わる転換価格修正条項付転換社債(MSCB)を相次いで発行したりしてきた。現状の発行済み株式数は約2億2000万株。10年前と比べて10倍以上に膨らんでいる。

資金返還を望む内容証明が届く

 この話は1通の内容証明から端を発している。

 昨年12月4日、クオンツに内容証明が届いた。送り主は、クオンツのMSCBを引き受けたファンドの代理人。当時の社長が内容証明の受け取りを拒否したため、代理人は一部の役員にファクスで再送している。そのコピーが手元にある。内容は、MSCBの繰り上げ償還の請求だった。

 2007年5月、クオンツはニッポン・エクイティ・パートナーズ(NEP)に対して45億円のMSCBを発行した。この契約には繰り上げ償還に関する条項があった。普通株式の売買金額が5取引日連続して1000万円を下回った場合、繰り上げ償還を請求する権利を有する――という条項だ。

 現実に、ジャスダックにおけるクオンツ株の売買金額は昨年、9取引日連続(2007年8月28日~9月7日)、そして5取引日連続(9月13日~20日)で1000万円を下回った。それを受けて、NEPは12月4日から60営業日が経過した日を繰り上げ償還日に指定。45億円のうち30億円の繰り上げ償還を要求した。

 株価の変動で転換価格が修正されるMSCB。株価が下落しても転換価格が下方修正されるため、既存株主はともかく、引き受けた投資家にとっては悪くない商品だ。空売りで株価に下げ圧力をかけて、安値で普通株に転換し、市場で売り抜ける投資家も少なくない(MSCBは株価より低い価格で転換できるため、その差で売却益が出る)。だが、クオンツの経営に疑問を持ったのだろうか。2009年4月の償還期日を前に繰り上げ償還の権利を行使してきた。

 この通知に対して、クオンツは当時の社長、山田恭太氏の名前で「意向表明書」を12月7日付で送付している。そこには「平成19年12月4日の後60営業日が経過した日までに、貴社保有の本新株予約権のうち、少なくとも額面3000000000円分(編集部注=30億円)を、額面100円につき金100円で買い入れ償却により償還する意向でおります」と書かれている。

 ジャスダックでは、「上場有価証券に関する権利等に係る重要な事項についての決議又は決定の情報(決定事項に関する情報)」と「経営に重大な影響を与える事実の発生に係わる情報(発生事項に関する情報)」などが適時開示すべき情報と定めている。決定事項と発生事項には具体的な項目が列挙されており、「会社の運営、業務、財産又は上場有価証券に関する重要な事項」も適時開示の対象とされている。

 クオンツの総資産は165億円(2007年12月31日現在)。72億円の有価証券を持つが、現預金は21億円だ。繰り上げ償還に応じるなら有価証券や不動産の売却が必要になる。この規模で30億円のキャッシュアウト。経営に与える影響が少ないとは言えないだろう。

 繰り上げ償還について、取締役会の決議を経て12月7日の意向表明書を送ったのかは定かではない。ただ、「NEPは繰り上げ償還の権利を行使しており、話し合いの余地はない。請求を受けた時点で取締役会を開き、適時開示するべき」とクオンツの関係者は指摘する。クオンツの中野治・現社長は「現在、スケジュールと手続きを詰めているところ。早々に詳細を詰めて開示したい」と語る。ジャスダックは、「個別銘柄については回答できない」と言う。

コメント1件コメント/レビュー

 市場と証券会社がこのような無責任状態(自殺行為)を続けているのは、目先の利益追求として理解しやすいが、行政がなぜ放置し続けているかは追求してしかるべき段階であろうと思う。(2008/03/14)

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「ジャスダック上場「クオンツ」に適時開示の疑念」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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 市場と証券会社がこのような無責任状態(自殺行為)を続けているのは、目先の利益追求として理解しやすいが、行政がなぜ放置し続けているかは追求してしかるべき段階であろうと思う。(2008/03/14)

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