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不自由は、自制心忘れた企業が招く

保険勧誘、年金記録問題などに携わった専門家に聞く

  • 大豆生田 崇志

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2008年3月17日(月)

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 貸金業のグレーゾーン金利の原則無効など、最近の最高裁判所は、消費者保護を重視した判決が多い。最高裁だけでなく、立法機関の国会も、貸金業法などを改正した。さらに政府は消費者行政の一元化構想を打ち出して、行政のあり方も変えようとしている。なぜ今、司法や立法、行政で消費者保護なのか。従来と何が変わったのだろうか。

 金融庁で「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」座長や内閣府・国民生活審議会、総務省・年金記録問題検証委員会などの委員などを歴任し中央大学法科大学院教授で弁護士(森・濱田松本法律事務所)の野村修也氏に聞いた。

(本誌による要約 聞き手は大豆生田 崇志)


野村修也

野村 修也(のむら・しゅうや)氏
中央大学法科大学院教授
1985年中央大学法学部卒業、89年中央大学大学院法学研究科博士後期課程中退。98年中央大学法学部教授、2002年金融庁顧問(金融問題タスクフォース・メンバー)、03年金融庁法令等遵守調査室長。2004年から中央大学法科大学院教授、同年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2007年12月金融庁・契約監視委員会委員長、2008年1月環境省・自主参加型国内排出量取引制度検討会メンバー。主な著書・論文に『コンプライアンスのための金融取引ルールブック[第11版]』 銀行研修社 2007年8月刊 (編集) 、『内外差別的な制度は日本企業の競争力を弱める』 別冊会社法A2(to)Z 2007年4月30日刊、『M&A判例の分析と展開[初版] 別冊 金融・商事判例』 経済法令研究会、『貸金業規制の行方』 ジュリスト No.1319 2006年9月15日号。

 野村 ここ数年、最高裁判所が消費者保護に重点を置いた判決を次々と下している背景には、政治の変化が影響しているのではと考えている。小選挙区制の導入で、政治家は個々の有権者の細かな要望に対応しなければ、当選できなくなってきた。それまでの中選挙区制ならば、業界などの大票田を獲得すれば当選できたが、小選挙区制になってからは生活者としての声にも真摯に耳を傾けなければ票が集まりにくくなってきた。

 こうした政治の変化が、立法、行政においてこれまでの生産者中心の政策から生活者視点の政策に目が配られなければならないようになり、その風を司法も感じ取ってきた。司法の独立性はもちろんあるが、こうした動きが顕著なのは最高裁といえども、時代の変化の風を読む政治的な存在であるからと言えるのだろう。もちろん、司法の側は、そんなことはないと言うだろうが。

 社会の変化によって、消費者・生活者の立場を重視した判決が出てきたが、こうした判決を出すまでにも、裁判官は素朴な正義感から、かくあるべしというものを持っていたはずだ。しかし、判決として形にするまでには至らなかったのは、大勢に逆らって自分の意見を貫く勇気がなかったのだろう。

 また仮に判決を出しても、世の中に受け入れられなければ、結果的に無駄な判決を下しただけで終わってしまう。しかし、世の中が変わり、その変化を法令の解釈が妨げているのであれば、最高裁は新しい解釈を行うことで、変化をせき止めているものを取り払える。そうした法解釈の変化がここ最近、最高裁判決で次々と行われてきているのだろう。

 

―― 政治の変化が、行政、司法の変化を起こし、それがまた政治を変えていく。福田康夫首相が消費者行政の一元化構想を打ち上げたのも、変化の螺旋構造の一局面と言えるだろう。野村教授は、行政の効率化を促すためにも、消費者行政の一元化は必要だとする。

 野村 消費者行政の一元化には賛成している。いろんな意見はあると思うが、現在の役所の縦割り行政がどれほど非効率であるかは、みんな分かっている。行政の組織論から言えば、一元化はした方がいい。

 しかし巨大な力を持った役所が、勧善懲悪の発想で行政を担うことが仕事だと思われてしまうと困ったことになる。単独省庁が暴走するようでは、まず失敗する。消費者行政をどう進めていくか見識ある人物が、コンセンサスを取りながら担うのであれば、現在の行政の非効率さを考えると望ましいことになると思う。

 そのためには、私のようにどちらかといえば企業側から、企業が一線を越えないようコンプライアンス(法令順守)という枠組みで戻そうとしてきた立場の意見と、消費者の側に立って消費者保護に取り組んで来た立場の意見の双方に耳を傾けるべきだろう。

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