• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

モノ作り・輸出依存の罪

「強い通貨」を成長のチャンスに

  • 伊藤 暢人,谷川 博,大竹 剛, 小瀧 麻理子

バックナンバー

2008年3月25日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

企業も政府も「円高恐怖症」に陥っている、モノ作り大国=ニッポン。
中国の台頭と資源高、そしてドル急落が円安依存の産業構造に転換迫る。
サービス産業の活性化を軸に、内需主導型の経済に脱皮する時だ。

 「円高で儲かるのだから安くしろ」

 ある中堅衣料メーカーの幹部は、そんな小売りからの強引な値下げ圧力の再来に不安を隠せない。恐れているのは「円高還元セール」。1990年代の円高で、百貨店や総合スーパーなどが実施した値下げ競争である。

 「我々は円高で享受できるはずの利益を吐き出して、小売りのセールに協力した。それなのに、その後の円安で我々の経営が苦しくなっても、小売りは一切、値段を戻してくれなかった」

 この会社は主に中国で生産し、それを日本に輸入して小売店に販売している。原材料の調達や完成品の輸入はドル決済のため、為替相場が円高ドル安になれば利益が増える。過去の円高局面では、そこを小売り側に突かれたのである。

 今回の円高はさらに状況が厳しい。原油高の影響でポリエステルを使った生地の価格が年平均5%ほど上昇するなど、収益圧迫要因が重なっている。

 「円高は原材料費や人件費の上昇などを相殺できる。ただ、小売りが再び値下げ圧力を強めてきたら…」。この幹部の顔は冴えない。

中小企業、差益享受できず

今はマイナス面の方が大きいが…

 12年前の苦い経験を繰り返さないためには、中長期の視点が必要になる。10円の円高は実質GDP(国内総生産)を0.3%押し下げる―。三菱総合研究所の後藤康雄チーフエコノミストは、1ドル=100円から1ドル=90円へと円高が進んだ場合の影響を、こう試算する。「大企業の為替リスクは小さくなったが、完全にゼロにはできない。今のままでは経済全体として円高は依然マイナス」という。

 この前提条件の下で、円高のマイナス要因を相殺するはずの輸入企業が、円高の恩恵を十分に享受できない状態が続けば、事態はより深刻になる。なぜ、そのような状況に陥っているのか。野村証券金融経済研究所の岩澤誠一郎チーフ・ストラテジストは、1つの見方を示す。

 「グローバル化した大企業は、中小企業の円高差益を吸い上げることで円高のマイナス要因を穴埋めしてきた。円安時に中小企業が悲鳴を上げても、『円高は困る』という大企業の声に掻き消される」

 三菱UFJ証券の水野和夫チーフエコノミストは、より根源的なもう一つの構造問題を指摘する。「安価で豊富な労働力を抱える中国やインドなどの新興国が台頭し、資源価格が高騰した。安い資源やエネルギーを輸入し、それを使ってハイテク製品を作って輸出するという、従来の成長モデルは既に通用しなくなった」。

コメント0

「時事深層」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック