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「スティールvs企業」深まる混迷

企業価値向上巡る論争不発の舞台裏

  • 宇賀神 宰司,大豆生田 崇志,白壁 達久

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2008年3月26日(水)

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 その光景は、さながら株主総会のようだったという。2月18日午前、証券会社や投資運用会社のアナリストら約40人を集めて、東京都内の貸し会議室で開催されたノーリツの決算説明会でのことだった。

 米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパンの関係者数人が会場の一角に陣取り、神崎茂治社長や財務担当役員ら4人に「経営責任をどう考えるのか」「中期経営計画にスティールの提案が盛り込まれていないのは、どういうことか」「中期経営計画が達成できなかった場合、責任はどうするのか」などと、次々と質問を繰り返した。市場関係者の間では、スティールが“暴れた”と話題になった。

手法を変えたスティール

 スティールは、ノーリツ株の議決権総数の19.9%を持つ筆頭株主。2007年11月に「企業価値向上のための提言」なる業界動向や同業他社との比較をまとめた資料を公表した。しかしクレディ・スイス証券アナリストの大谷洋司ディレクターは「スティールの提言はノーリツの企業価値を高めるものではなく、赤字事業からの撤退や、内部留保を配当に回すといった、素人でも考えられる内容。本当に企業価値を高めたいなら、ノーリツが伸ばそうとしている海外事業を手助けするような提案をすべきだ」と苦言を呈す。

 一方で、スティールは昨年12月、発行済み株式の18.64%を保有する筆頭株主であるサッポロホールディングスにも、ノーリツと同様に「企業価値向上へのアプローチ」と題した経営改善策を公表した。ところが3月10日に、サッポロ株を1株当たり825円で66.6%を取得すると提案していたTOB(株式公開買い付け)の条件を変更。取得目標を33.3%に引き下げると同時に、買収価格を1株875円に上げた。

 取得目標の株式比率を引き下げた理由についてスティールは、サッポロの経営陣が受け入れやすい提案にしたと説明する。しかし、経営支配が可能な買収提案から、部分的な取得に大きく方針を変えた狙いははっきりしない。M&A(合併・買収)に詳しい弁護士は「スティールは何をしたいのか分からない。全く新たな提案だとして、交渉が振り出しに戻る可能性がある」と言う。仮にスティールが33.3%を超える株式を取得してしまえば、サッポロは約束違反だと抵抗しても、法的に名義書き換えなどは拒否できない。新たな提案は、実のところ経営陣が受け入れやすくなったとは言い難い。

 しかも本来なら、50%を超える買収提案の価格を高く設定するのが通常なのに、スティールはその逆を行った。これでは、もともとスティールが見積もったサッポロの潜在的な企業価値がいくらだったのか分かりにくい。

 米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題の影響で、日本の株価も急落。スティールの持ち株も、含み損を抱える銘柄が多いと見られる。業績が低迷しているアデランスホールディングスは取得時より4割も下落。ノーリツ株も約38%下落した。

 2007年7月に、ブルドックソースによる買収防衛策を差し止める仮処分を求めて最高裁判所まで争ったスティールは、東京高等裁判所から、短中期の株式転売や資産処分で、企業価値や株主共同の利益を損なう「乱用的買収者」とされた。その汚名を返上する狙いからか、スティールは企業に経営改善策の提言を次々と公表。市場関係者は「どこかのコンサルティング会社に提言を書かせたのではないか」と口を揃えるものの、いずれもブルドックには何も示していなかったものばかり。

 明らかにスティールは手法を変えた。投資の成功例を引き出そうと躍起のようだ。しかしノーリツの決算説明会のように、スティールの行動に疑問を持つ関係者も多い。

投資案件の多くで含み損を抱える

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