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「過去に学ばぬサブプライム処理」

ノーベル賞学者・スティグリッツ教授が直言

2008年3月28日(金)

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 サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題から広がり続ける米国の金融危機に、米国は官民挙げての「救出モード」に入っている。JPモルガンチェースは経営破たん寸前のベアー・スターンズの買収を決め、米金融当局も、同社の不良資産を分離する受け皿会社に大量の資金供給をする。なりふり構わぬ「銀行救済」に、逆に「銀行の株主責任こそ問われるべき」と指摘する専門家もいる。ノーベル賞経済学者であるジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授だ。教授は「米国は過去の金融危機の教訓を忘れてしまった」と嘆き、「銀行の野放図な融資を看過していた株主は、もっと責任を負うべきなのではないか」と主張する。

(取材・構成は日経ビジネス記者 広野彩子)

ジョセフ・スティグリッツ

ジョセフ・スティグリッツ 米コロンビア大学教授
写真:丸本孝彦

 米国は、株主を救わずに銀行を救済する方法を考え出さなければいけません。言い換えれば、株主に、銀行経営が招いた失敗についてもっと大きな代償を払わせるべきだということです。部分的な銀行救済策や、銀行の救済策と取れるような政策が既に取られています。しかし、銀行の株主に、銀行が野放図な融資をしてきた責任を取らせなければならないと思うのです。

 米大手証券ベアー・スターンズを買収するJPモルガン・チェースは、ベアーの買収価格を当初の1株当たり2ドルから10ドルに引き上げ、ベアーの株主に対して配慮を見せた。ニューヨーク連邦準備銀行も、新たに設立するベアーの不良債権の受け皿会社に300億ドル(約3兆円)もの巨額の融資することになった。迅速な決断と言える一方で、融資が不良債権になることも予想され金融リスクはまだ去らない。

 例えば1980年代、不動産関連融資などを積極的に行い、住宅用不動産の抵当貸付を手がけている貯蓄貸付組合(S&L)が相次いで破綻した危機がありました。この時は、最終的には米国政府が整理信託公社(RTC)を設立して不良債権を処理し、結局は公的資金でS&Lを「救済」しました。

 連邦預金保険公社(FDIC)の研究員によれば、S&Lの処理には推定1600億ドル以上のコストかかり、うち約1320億ドルが国税でまかなわれた。そのコストの大半が「政府が早期に、業界の救済ではなく預金者保護に注視した対策を採っていれば避けられた」との指摘もある。90年代半ばまでにRTCが整理したS&Lは約750社で、処理した資産の総額は約4600億ドルに上った。

忘れられたモラルハザードの教訓

 米国が大きな代償を払ってS&Lの処理から学んだ教訓は、金融機関の経営者に起こる「モラルハザード」でした。しかし、我々はそれをすっかり忘れてしまいました。連邦政府が銀行を救済しなければ、景気が非常に弱くなってしまったでしょうから、救済策を取ったこと自体は結果として正しかったのでしょう。

 しかし米国は、そろそろ銀行の株主の救済はせずに、銀行を救済する方法を考える時期にきていると思います。あいにくこれまでは株主は大した責任を取っていませんが、本来は株主がもっと責めを負うべきなのです。今のままでは、銀行は自ら行ったずさんな融資について、責任を負わないままになるでしょう。

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「「過去に学ばぬサブプライム処理」」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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