• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

“同期生”振興銀と大きな落差

新銀行東京、ガバナンス不在が招いた迷走

  • 永井 央紀,谷川 博

バックナンバー

2008年4月1日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「中小企業のための銀行」──。そんな理念を掲げて、同時期に設立された2つの銀行の明暗が分かれている。2005年に開業した新銀行東京と2004年の日本振興銀行。ともに財務データを基に融資の可否を自動審査する「スコアリングモデル」を使い、中小企業向けの融資を主体とする新しいビジネスモデルを目指した、いわば“同期生”だ。

日本振興銀行は黒字化

 それから3年。片や新銀行が経営危機に陥っているのに対し、振興銀行は本業の儲けを示す業務純益が2008年3月期に初めて黒字化することが確実になった。この差は何なのか。

 振興銀行の幹部はあっけらかんとした様子で明かす。「実は、スコアリングモデルは使い物にならないことがすぐに分かった。1億円近い融資をした企業が破綻して、あわててビジネスモデルを切り替えた」。変更点は大きく分けて2つあったという。

 1つは融資の徹底した小口化だ。少額融資を満遍なく散らすことによって、リスク分散を図った。融資先1件当たりの貸出額は新銀行の約1700万円に対し、振興銀行は約300万円。中には10万円程度の少額融資もある。

傷口広げたスコアリングモデル

 もう1つはスコアリングモデルへの依存をやめたこと。振興銀行で社外取締役会議長を務める小畠晴喜氏(作家の江上剛氏の本名)は経営陣にこんな主張をしたと言う。「融資先とは絶えず顔を合わせて審査すべきだ」。中小企業は財務諸表の信憑性が低く、リスク判断が難しいからだ。

 新銀行もそのリスクに気づいていなかったわけではない。関係者によると、危険性を指摘する声は社内でも出ており、ある大手行でスコアリングモデル融資の不良債権比率が20%を超えたという情報さえあった。だが、そうした声はやがてかき消されていった。

 新銀行の事業計画「新銀行マスタープラン」は、出資者である東京都が中心になって策定した。そこに銀行経営陣が口を挟む余地はあまりなく、押しつけられた計画という思いが強かったという。準備期間が1年と短く、余裕がなかったこともあり、社内には「労力をかけて異論を唱えるよりも、おとなしくマスタープラン通りにやるのが無難という空気が広がってしまった」(関係者)。計画に異を唱えていた役員が辞任すると、もう経営を社内から是正する自浄作用は働かなくなった。

 一方、計画を策定した都が修正することはできなかったのか。現実にはそれも難しかった。社内関係者によると「都は2005年の開業直後に出向者を引き揚げ、突如として実務に関与しなくなった」。そして準備段階で受けた干渉を根に持つ新銀行の経営陣は都に背を向けた。「この資料以外は都に提出してはならない」。社内ではそんな情報統制まで敷かれていた。

経営指標には大きな違いが生じている

 そんな中、当時の代表執行役だった仁司泰正氏はマスタープランの融資目標の達成に向け、拡大路線を突き進んでいった。新銀行の貸出残高は2218億円。振興銀行の330億円に対して1ケタ違う数字が、融資の急拡大を物語る。「おかしいと思いながらも、“マスタープラン通りにやっている”ということを隠れ蓑に拡大路線を続けてしまった」。社内では後悔の声が聞こえる。都は経営陣に丸投げし、経営陣は都が立てた計画を盲目的に進めた。ガバナンス(企業統治)不在の中では、経営路線の機動的な修正は不可能だった。

コメント0

「時事深層」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

企業や官公庁の幹部のメールボックスの内容が、まるごと数十万〜数百万円で売られている事例もある。

名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官