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“職人の悲鳴”に国交省建設業課課長が答える

「悪質なダンピングは公取委と連携も」

2008年4月4日(金)

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 「談合消滅後の建設業界で何が起きているか」。3月28日に掲載したインタビュー(注1)で、建設職人の団体、大阪府建団連の北浦年一会長は、建設業界に横行するダンピング受注とそれに伴う職人の疲弊を赤裸々に吐露した。様々な反響が寄せられた北浦氏の主張。それに対して、建設業界を管轄する国土交通省建設業課の吉田光市課長が答えた。

国土交通省建設業課 課長 吉田光市氏

国土交通省建設業課 課長 吉田光市氏

――「職人を殺すな」という北浦氏の主張をどう受け止めていますか。

答 基本的な認識として、北浦さんの認識とそう大きな違いはありません。ダンピングや職人さんの問題、現場力の低下などは非常に深刻なことと受け止めています。

 建設市場は大きな変化の中にあります。1つは、建設投資の急激な縮小です。トータルではピーク時の6割、地域によっては4割、3割という厳しいところもあります。こういった市場の縮小に加えて、大手ゼネコンによる脱談合宣言などもあり、ダンピングが非常に顕著になってきました。

 国交省直轄の公共事業では、2006年度からダンピング対策を始めました。それもあり、直轄事業ではそこそこ落ち着きを見せています。その一方で、地方公共団体が発注する公共工事でダンピングが厳しくなっている。地方は公共事業依存度が高く、市場環境も厳しい。また、一般競争入札だけが先行的に拡大している。そういったことが相まって、ダンピングにつながっているのだと思います。

――建設業界の重層下請け構造が、ダンピングを招いているという指摘があります。

答 建設業の場合、元請けと下請けという「元下関係」があります。市場が縮小する中、ゼネコンが低価格で受注し、それを下請けに転嫁することが可能な業界です。そのしわ寄せが、末端の労働者のところに行ってしまう。

 これまでは、元請けと下請けの間で長年の取引関係を重視する素地がありました。長期的な関係の中で、ゼネコンは下請けを育て、下請けは職人を育成してきました。それが、今では価格優先で、つき合いのない企業と取引をするケースも増えている。協力関係の崩壊という構造変化も、職人にしわ寄せが行く1つの要因でしょう。

 ゼネコンはダンピングで低価格で受注し、下請けを叩く。下請けは赤字でしょうから、労働者の賃金を切らざるを得ない。そういう状況にあって、将来的な人材育成に回すカネがなくなっている。もともと、労働条件が悪い業界ですが、さらに労働条件が悪化している。だから、若い人が業界に入ってこない。

 建設労働者といっても、単純労働者から高度な技能を持つ技能者まで様々。そういう高度な技能者を育てるには時間がかかる。しかし、多くの専門工事会社は当面のことに追われていて、なかなか対応できません。品質や人材の問題はすぐには表面化しない。今のうちから手を打たないと大変なことになる。

コメント5件コメント/レビュー

「まず、川上の元請けのダンピングを止めなくちゃいけない。次に、不当な下請け叩きをやめさせる。最後に、職人の育成」これは順番が違うんじゃないでしょうか? 下請けを叩けば安く上げられるからダンピングが起こる訳で、まずは下請け叩きやめさせないとダンピングも止まらないのではないかと思います。 「工期が厳しいと予定通りにいかないわけですよ(略)臨時だからコストは高い。しかし、発注者はそのコストを見てくれない。こんなことが起きている」いつまでに完成させますと約束して受注したのに施工側の原因でそれがずれるから追い金払ってくださいというのは通らないでしょう。 むしろ遅れたペナルティとして違約金を払わなきゃいけない話。 十分施工可能な工期で受注しなかった元請側の問題では? 後の方でも発注者側に原因があると言っているが、受注の時に「質は落としますが早く安くやりますよ」なんて言わない訳で「同じ品質で早く安くやります」と言って受注してる訳ですから、後は受注した元請けの責任では?(2008/04/04)

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「“職人の悲鳴”に国交省建設業課課長が答える」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「まず、川上の元請けのダンピングを止めなくちゃいけない。次に、不当な下請け叩きをやめさせる。最後に、職人の育成」これは順番が違うんじゃないでしょうか? 下請けを叩けば安く上げられるからダンピングが起こる訳で、まずは下請け叩きやめさせないとダンピングも止まらないのではないかと思います。 「工期が厳しいと予定通りにいかないわけですよ(略)臨時だからコストは高い。しかし、発注者はそのコストを見てくれない。こんなことが起きている」いつまでに完成させますと約束して受注したのに施工側の原因でそれがずれるから追い金払ってくださいというのは通らないでしょう。 むしろ遅れたペナルティとして違約金を払わなきゃいけない話。 十分施工可能な工期で受注しなかった元請側の問題では? 後の方でも発注者側に原因があると言っているが、受注の時に「質は落としますが早く安くやりますよ」なんて言わない訳で「同じ品質で早く安くやります」と言って受注してる訳ですから、後は受注した元請けの責任では?(2008/04/04)

この課長さんは全く解っていないようだ。日本の建設業界の実態は、資本主義でもなければ、法治もいい加減である。ダンピングは、需給バランスにより市場が決めることである。官が云々することではない。設計変更の問題、下請けの問題もしっかりした契約が有ればそんなに問題にはならない。契約自体がいい加減であり、経済原理に反した契約が多かったり、口約束契約が多すぎる。又契約にないサービス工事が多すぎる。細部にわたった契約が存在しない。施主、官のさじ加減で工事が進められている。そのため裁判にもならないことが多々有りすぎる。これは公共工事も同じである。現在の建設業界で最大の問題は、ゼネコン、官、設計事務所に技術者がいないことである。(少々言い過ぎだが)この中でも官、設計事務所のレベルの低さは目を覆いたくなる。おそらく考える能力がないのだろう。又ゼネコンは銭計算しかできない状態である。そのくせ経営感覚は一昔前の感覚である。建設業を特殊と見る感覚がすでにずれている。これを是正するには、建設労働者の組織化しかない。公共工事の削減でその機運は速まる。現状を悲観することはない。但し、国土交通省の組織は変えなければならない。(自由競争を阻害している。そう言われても理解できない組織である)又設計事務所は、このままでは今後存続は不可能と思える。建設労働者の反撃は間近といえる。(2008/04/04)

この記事を読んで、「国交省は何もやる気はないのだな」と感じた。いくつかやらなきゃいけないとしてあげつらなっている項目は、どれも腑に落ちず、実行性があるように感じられない。一つの大きな理由として、受注するゼネコンの責任をまったく追及していない。不当に安く受注したことによる損害は、受注金額を決めた者が追うべき。発注者である役所にも問題があるようだ。ちゃんとコンペをして内容で受注先を決めるべき。まず金額ありきであるくせに予定価格の算出方法が不明確、不透明。担当者の恣意的数字操作が入る余地があるのでは?がり(2008/04/04)

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