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第3回 進む成田パッシング

2008年5月9日(金)

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 陸上のトラック競技に例えるなら周回遅れ──。それが、世界における日本のオープンスカイ政策の現実だと酷評される。

 目下、アジアでは欧州路線をはじめとしたゲートウエイを目指し、ハブ空港の覇権争いが展開されている。しかし、実はそのレースに、日本の空港はエントリーされていない。

 中国や韓国、シンガポールなど、目覚ましい発展を遂げるアジアの主要各国の空港は、既に日本を相手にしなくなったという声すら上がっている始末だ。日本の航空政策は、それほど時代の趨勢に乗り遅れているのだという。

米国発アジア路線、日本経由便は38%から28%に減少

 下の財団法人「運輸政策研究機構」資料をご覧いただきたい。テーマは「日米路線はアジア・ゲートウエイの役割を果たしているか」。過去、対米国におけるアジアの玄関口として繁栄してきた日本の空港の現状を分析した指標だ。

 1995年と2006年の米国アジア路線について、「日本経由のトランジット便」と「日本以外の経由便」「アジア各国への直行便」に3分割。これによると、1995年に38%を占めていた日本経由便が、10年後には28%に落ち込んでいる。

 翻って米国からアジア各国への47%の直行便は62%に急増。それだけ米国から日本を飛び越えてアジア各国に向かっている乗客が増えたということになる。この間、日米路線において、新しくオープンした関西国際空港や中部国際空港といった大型空港はほとんど利用されていない。これが、アジアの極東で、最も米国に近い玄関口にある日本の空港のありさまなのである。

 換言すれば、日米路線においてさえ、他のアジアの空港が台頭してきた証左と言える。例えば2006年の旅客総数で見ると、隣の韓国仁川空港は2819万人で、成田空港は3395万人。2001年に開港したばかりの仁川空港に、今年で開業30年の成田は猛追されている。ロサンゼルスやシカゴの空港から、仁川を目指す便が急増しているのだ。

300人以上参加の国際会議の開催数は中国、韓国に追い抜かれる

 むろん、空港整備に力を入れているのは韓国だけではない。中国やシンガポール、マレーシアやタイなど、大規模な国際空港建設が進み、オープンスカイ時代の波に乗っている。そして、空港の開放は経済発展を促す。乗客の出入りが多くなれば、それだけ経済が活性化するのは自明だ。

写真は上海国際会議中心(Shanghai International Convention Center)

写真は上海国際会議中心(Shanghai International Convention Center)

 ごく分かりやい例で言えば、国際会議の開催が増える。国際観光振興機構(JNTO)の2007年版白書によれば、2001年の参加者300人以上の国際コンベンション開催件数は日本が233件で世界12位だった。国際会議は歴史的に見て上位を欧米が占めるため、10位以下なのは仕方ない。この年のアジア諸国を見ると、中国は16位で168件、韓国は18位で134件だった。

 ところが、わずかその5年後の2005年には日本が逆転されているのである。中国が11位に入り、韓国が14位、日本は17位に落ち込んでいる。これが何を意味するのか。むろん空港の拡張と直接の因果関係が証明されているわけではないが、少なからず影響があったのは間違いない。この間、アジア諸国の空港事情はそれほど激変しているのである。

 今回は、そんなアジアの主要空港の変貌を見てみる。

成田は年22万回、韓国の仁川は41万回

 まず、アジアの主要空港の能力を比較してみる。現在、4000メートルと2180メートルの滑走路により、19万回の発着処理能力を持っている成田空港は、2本目の滑走路が来年2500メートルまで延長され22万回になる。

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手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト