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弁論勝負の米国人、沈黙の日本人

「俺にも言わせろ」衝動を解き放とう

  • 竹中 正治

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2008年5月9日(金)

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 米国民主党の大統領選候補者選で、ヒラリー・クリントンのネガティブキャンペーンに腹を立てたバラク・オバマが、「ヒラリー、恥を知れ!(Shame on Hillary!)」と発言した。それに応じてヒラリーが「あんたこそ、恥を知れ!(Shame on you!)」とやり返し、この一幕が話題になった。

 勝負の決着がつくまでは、あくまでも弱みを見せず、徹底的に強気でやり合う。これは米国政治劇の定石だ。ヒラリーの見せた「涙」ですら、戦う姿勢をより効果的に演出するための小道具に過ぎない。

「かわいそうなくらい苦労しているんですよ」、福田発言にがっかり

 どうしても比べてしまわずにいられないのが、4月9日の国会で行われた党首討論で、福田首相が民主党の小沢代表に対して言ってしまったセリフ、「かわいそうなくらい苦労しているんですよ」だ。

 福田首相はあえて質疑の攻守を替え、民主党の小沢代表に対し、日銀総裁問題での「人事権の乱用」「民主党の意思決定の遅さ」などを攻めたところまではよかった。ところが最後に“泣きを入れている”と思われても仕方がない一言を言ってしまった。小沢党首は不敵な冷笑で応じていた。これではまるで、漫画ドラえもんに登場するジャイアン(いじめっ子)相手に泣きを入れているのび太の構図である。

 民主党のオバマ候補は上院議員1期目という若さにもかかわらず、聴衆を感動させる演説で注目される存在に躍り出た。そして、あれよあれよと言う間に、圧倒的な知名度と実績を誇っていたヒラリー・クリントンを逆転してしまった。

 オバマに限らない。米国で政治家、企業のCEO(最高経営責任者)などのスピーチを聞くたびに思うが、みな演説がうまい。日本の政治家や大企業のトップと比べると段違いにうまい。もちろん、米国でも日本でも個人差はある。しかし米国では地位の高い人ほど演説がうまい人が多い。

米国の政治家、企業トップに雄弁家は多いが…

 リーダーの雄弁だけではない。米国では1時間の講演なら講演者が一方的に喋るのは普通30分までだ。それ以上喋ると聴衆がフラストレーションを起こす。半分以上の時間は質疑応答、討議に当てられる。討議の時間になると、「俺にも言わせろ」「あたしにも質問させて」という聴衆が尽きない。

 もちろん、議論を発展させる建設的なコメントや質問が歓迎されるが、ピントの外れた質問や、勘違いコメント、講演内容に関わりのない質問まで臆面もなく飛び出す。それでも公論の場でのエチケット(例えば1人で長々と喋らない)を守って発言する限り、「沈黙」よりも「発言」が歓迎される。

 反対に日本の講演会はほとんど講演者が一方的に喋り、質疑応答は最後の10分だけという場合が多い。質疑に時間を取っても、シ~ンとして質問もコメントもなかなか出てこない。いったい、この日米の違いはどこから生じるのか。

 ちょっと「日本通」の米国人に聞けば、こんな答えが返ってくるかもしれない。「日本の社会や組織は閉鎖的、権威主義的で、意思決定は事前の根回しであらかじめ準備されるでしょ。だからオープンな討議やプレゼンテーションにあまり価値が置かれない。それだからじゃない?」。

 しかし多少でも米国に身を置いて観察すれば分かることだが、米国の政治も見た目ほどオープンではないし、企業統治ではCEOの独裁的な力が問題になっている。それでも米国の文化的な規範・価値観が演説やディベートに日本よりもはるかに高い価値を置いていることは間違いない。

 実際、海外ではあまり喋らない日本人は損をしている。英語の上手下手の問題ではない。下手な英語でもガンガン主張している連中はたくさんいるのだ。それでも全体としては、「日本人は何事も集団主義的で、個人の意見がないのじゃないか」などという偏見がまかり通ってしまう。ではなぜそうした日米の相違が生まれたのか。実は分かりやすい事実の中に、日本人のプレゼンテーション下手の原因があると私は思う。

膨大な時間を奪う日本の子供の読み書き訓練

 米国に駐在中のこと。娘の小学校のクラスメイトの米国人宅で、話題が日米の小学校での国語教育に及んだ。米国の子供と比べると、日本の子供たちは、表音文字としてひらがなとカタカナを学び、表意文字として漢字を学ぶ。さらに小学校高学年からアルファベットでローマ字を学び、中学1年から英語を学ぶわけで、米国の小学生に比べると読み書きに要する学習量は大変に多い、と私は語った。

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