• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

元野村のトップアナリストが掘り出したお宝銘柄…
ならぬ「名曲」

いつでも心が和む「J-スタンダード」を探し求めて

2008年5月14日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

コトノハ

 野村証券アナリストとして日経アナリストランキングで1位に輝いた経歴を持つ佐藤明氏が携わった、あるCDがある。耳で聞く投資術? いやいや、プレーヤーに掛ければ、ウクレレの伴奏が入った「真夏の果実」に始まり、沖縄出身のアコースティックバンドBEGINが歌う「恋するカレン」、アカペラで聴かせる「らいおんハート」など、ヒット曲を別のアーティストがカバーしたコンピレーションアルバム。アルバム名は「コトノハ」(5月14日発売、収録曲解説はインタビューの最後に)。

 銘柄の見極めのプロが、なぜまたポップミュージックのコンピレーションを? まさか、こんな疑問をあの佐藤氏にぶつけることになるとはと頭を捻りつつ話を伺ってみると、そこには「『ザ・ベストテン』世代の目を、もう一度、音楽に向けさせたい」という佐藤氏の思いがあった。

(聞き手は、日経ビジネス記者 戸田 顕司)

―― 日本のヒット曲を別アーティストが演奏するコンピレーションアルバム「コトノハ」のアイデアは、どこから生まれてきたのですか。

佐藤 明氏

佐藤 明(さとう・あきら)氏
1987年、野村証券に入社。証券アナリストとして、重機、運輸、建設などを担当。1995年に日経アナリストランキングで企業総合部門第1位、1994~2000年まで部門別第1位となる。2001年5月に企業コンサルティングを手がけるバリュークリエイト(東京都港区)を立ち上げた。音楽事業としてレーベル「nowhere music」を設立。

写真:都築雅人

佐藤: きっかけは、自分が出資する炭火焼の店です。4年前に開業して以来、私が店内に流す音楽を担当しているのですが、最初の1年はお客さんがほとんど入らなかったんです。週3~4日、我々の仲間で使って何とか店を維持する、そんな感じでした。

―― なぜ佐藤さんが飲食店の選曲を?

佐藤: そもそもは岡田博紀さんという知人がいて、彼が「おもてなし」をキーワードにビジネスをしたいと炭火焼店を立ち上げたのです。このコンセプトに私も共感し、応援することにしました。そこで岡田さんと店のあり方について話していると、味やサービスについては思い入れが山のようにあるのに比べ、店内に流す音楽については、どうも無頓着なのです。だったら、私が選曲しましょうと。

日本語曲が来店客の琴線に触れた

 最初は、多くの飲食店と同じようにジャズやボサノバを流していました。そもそも店の立地が東京・神楽坂の路地裏で、必ずしも入りやすい場所ではありません。それは、来店客が落ち着いて食事を楽しめるようにという狙いでの位置取りだったのですが、とにかくお客様が集まらない。1年経って、メニューから何から見直そうと、流す音楽もいろいろと変えました。ある時、日本語のヒット曲のカバーを流してみたところ、お客様が「この曲、何?」と反応したのです。

―― なるほど。でも、日本語の曲は歌詞が自然と耳に入ってきます。食事中の会話を邪魔しそうですが。

佐藤: 私もそう思っていました。ところが、アコースティックで心地よい楽曲は違いました。お客様の様子を見ていると、食事していて、会話がふっと止まる瞬間がある。その時に、お客様の耳に届く。すると、楽曲を話題にして、お客様の間で再び会話が始まるのです。

 それだけでなく、お客様が楽曲について店舗スタッフに話しかける姿も見受けられるようになりました。こうした交流は、店舗のコンセプトである「おもてなし」につながります。

 それからです。店の雰囲気に合う日本語のカバー曲を探しまくりました。自分が好きな曲をほかのアーティストが歌っていないか、気になるアーティストがどんな曲をカバーしているか…。発売中の音楽CDはもちろん、廃盤でもインターネットで入手し、200枚以上の音楽CDを聴き込みました。そこから選んだ12曲を収録したのが、今回発売する「コトノハ」です。

「ザ・ベストテン」世代に音楽を

―― 自分の選曲を音楽CDにして発売しようと考えたのはなぜですか。

佐藤: 理由は2つあります。まず、多くのお客様から「店に流れている曲が気に入ったけど、どこで購入できるの」と尋ねられたことです。「コピーさせてくれ」という方もいらっしゃいましたが、それは違法ですから。「コトノハ」の発売で、やっと要望に応えることができます。

 もう1つは、自分がもともと音楽CDを作りたかったこと。我々の世代(注:佐藤氏は43歳)の多くは学生時代、テレビ番組「ザ・ベストテン」「ベストヒットUSA」などを観て、FM放送をエアチェックして、貸しレコード店の黎紅堂や友&愛などに通っていたでしょう。私もそんな1人です。歌や演奏は苦手でしたが、聴くことが好きでした。

 そんな音楽生活を送っていた時に、驚いた出来事がありました。私が好きなアーティストの1人に、ジャズトランペッターのチェット・ベイカーがいるのですが、私が大学生の時に横浜に住んでいる方がベイカーのレコードを自主制作したんですね。この話を聞いて、すぐに会いに行きました。それまではレコード会社に入らないとレコードは作れないと思っていましたから、個人でも作れると知って衝撃的でした。おカネはかかりますけどね。これが自分でレコードを作りたいと思った原体験ですね。

―― ずっと「レコードを作りたい」という気持ちがあったのですか。

佐藤: う~ん(苦笑)。実はそうではないのです。就職活動でCBS・ソニーレコード(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)なども受けましたが、結局はアナリストという職業に魅力を感じて野村証券に入社しました。社会人になった日から、レコード制作のことは忘れました。営業に配属されて、いきなり「社長の名刺を100枚集めてこい」と言われる世界でしたから。2年経ってアナリストになると、今度は仕事が面白くて夢中でした。これも、我々の世代では共通しているのではないでしょうか。仕事や家庭が忙しくて、気づけば音楽に触れるのはカラオケぐらい…。

 充実した日々を過ごしていましたが、1997年の不祥事(総会屋への利益供与)で野村証券を辞めようという思いが頭をよぎりました。

コメント6

「話題閑題」のバックナンバー

一覧

「元野村のトップアナリストが掘り出したお宝銘柄…
ならぬ「名曲」」の著者

戸田 顕司

戸田 顕司(とだ・けんじ)

食ビジネス シニアリサーチャー

「日経パソコン」「日経ビジネス」の記者、「日経ビジネス」兼「日経ビジネスオンライン」「日経トップリーダー」の副編集長、「日経レストラン」編集長などを務め、2016年3月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員