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第4回 需給のミスマッチに対処しない航空政策

2008年5月16日(金)

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 欧米からアジアへと広がるオープンスカイの波――。だが、日本のオープンスカイ政策は、24時間離発着できる基幹空港の門戸を外国に開いている世界のそれとは異なる。オープンスカイは首都圏以外の空港に限定され、そのほとんどは閑古鳥の鳴く地方空港だ。そこが世界のオープンスカイ政策との決定的な違いと言える。

 40カ国の航空会社が就航の順番待ちと言われる成田空港は、夜間離着陸できない制約があり、羽田は国内路線空港という日本の航空政策が、日本のオープンスカイを世界とは異なる形にさせている。

 首都圏空港は「成田国際、羽田国内」と分散させている中で、政府は24時間利用でき、国内・国際の両路線が就航できる関西国際空港や中部国際空港の開放にも踏み出してきた。しかし、関空も中部も国際線の需要は期待できず、むしろ日本航空(JAL)9205や全日本空輸(ANA)9202の主要航空会社はこれら2つの空港の国際路線は絞り込み、海外の航空会社も関空、中部の利用は首都圏空港に比べれば積極的に取り組んでいない。需要と供給のミスマッチが起きている。

 なぜこうなってしまったのか。

道路同様、地方にばらまき

 その大きなポイントが羽田空港の活用方法と言える。日本の地方空港のほとんどが赤字に陥り、羽田との国内路線に期待を寄せている。だがJALやANAは伊丹、千歳、福岡などの基幹路線以外の地方空港は、採算面から就航を抑えたい。むしろ首都圏からは、地方空港よりも経済成長の著しく、収益性の高いビジネス需要が多く見込める東アジアなどの海外路線の拡大に乗り出したい。

 それにもかかわらず政府は、2010年の羽田の第4滑走路が開通しても、増える発着枠の大半(10万回のうち7万回)を国内線に振り向けようとしている。この国内偏重とも言える割り当ての背後には、「成田国際、羽田国内」の政策もあるが、政府が道路整備特別会計そっくりの空港整備特別会計(空整特会)を使い、日本の津々浦々に100近い空港を建設してきた現実がある。

 このままでいいのか。航空行政の総本山である国交省の鈴木久泰航空局長に2010年羽田増枠時に国際線の枠を3万回に絞った理由など、日本のオープンスカイに対する取り組み状況について尋ねた。

国土交通省の鈴木久泰航空局長
(写真:川口 愛)

 「確かに航空の自由化は世界的な潮流ではあります。しかし、米国の提唱する完全な空港の自由化、つまりオープンスカイ政策を取っている国はまだ一部にすぎません。オープンスカイでは、日本が相手国の空港へ自由に乗り入れできる代わり、向こうも参入できる。アジアでは韓国やシンガポールが米国とオープンスカイ協定を締結していますが、韓国とシンガポールは事実上国内路線がない。だから国際線に打って出る以外になかったわけです」

「完全自由化は難しい」

 「日本とは空港事情が異なります。日本は首都圏空港が満杯だという特殊事情があります。我々も成田や羽田が無制限に拡大できたら、『自由にどうぞ』とやれますが、悲しいかな、そうはできない。航空の世界は、まだまだ2国間での航空協定が主流であり、その中でどう対処していくかという問題だと考えています。われわれとしても、去年のアジア・ゲートウェイ構想を踏まえ、自由化を進めていこうという考えはありますが、完全な航空自由化は難しい」

 簡単に言えば、欧米や一部のアジアの国で始めたほどの自由化は、現時点では必要ないのではというスタンスだ。

 「アジアにおける日本の航空会社は、かなりの強みがあります。現在のアジア諸国の空港や航空会社の関係は、かつての日米の空港や航空会社の関係と同じだと思います。アジアの中での日本の航空会社の立場は、以前の日本に対する米国の航空会社のような存在でしょう。アジアの中では日本は力があるので、2国間交渉で十分にやっていけます。だから、まずはアジアのゲートウェイとして空港機能を高めていく。韓国やタイ、それに中国やベトナム、インドなど、アジア諸国を相手に航空交渉していますし、成果も上がっています」

 鈴木局長の言う航空自由化の成果とは、もっぱら地方空港と東南アジア諸国との路線開設を指す。2007年8月韓国、同11月タイ、今年1月には香港マカオと日本国内の地方空港の乗り入れ自由化について、日本と相手国の航空当局の双方で合意した。それらを踏まえ、例えば来年3月に開港する富士山静岡空港には、仁川空港からアシアナ航空便が就航する運びになっている。しかし換言すれば、日本における航空の自由化は、この程度でしかないのだ。

 一方で、需要の高い首都圏空港は、自由化が全く進んでいない。最も米国に近いアジアの極東に位置し、とりわけ米国に対するゲートウェイの役割を果たしてきた成田は近い将来、仁川や上海にその地位を奪われる可能性さえある。既に海上貨物で横浜や神戸が取扱量を韓国や中国に奪われたのと同じことが空でも起きる可能性がある。

 これまで成田空港はアジア各国の航空会社から人気があり、ホームグラウンドにしているJALやANAの強みもあった。だが、それがいつまで続くだろうか。首都圏空港の現状について、鈴木局長はどう考えるか。

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