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「借入金=資本」に金融庁がお墨付き

経営者がトクする金融検査マニュアルの活用法

  • 大豆生田 崇志

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2008年5月16日(金)

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 「創業の苦しい時に、すぐに返さなくても良いとお金を貸してくれた恩人がいた」――。そんなエピソードを語る経営者は少なくない。実は金融庁は今年度から、銀行など金融機関に対して、そんな貸し出しを増やすよう後押しを始めた。

 今年3月、金融庁の検査官が金融機関を検査する際の手引書である「金融検査マニュアル」を改訂して、銀行など金融機関に、返済までの期間が長く、株式のような貸し出しを促す仕組みを導入した。借り入れ条件が、このマニュアルに合致するとみなされた借入金は資本と認められる。

 今年1月の新聞報道では、政府系の中小企業金融公庫が、返済期限の長い「劣後ローン」を使った融資サービスを始めると伝えられた。しかし、正確には劣後ローンというよりも、資本とみなされるもの。民間の金融機関でも扱える。しかも金融検査マニュアルの対象は中小企業に限らず、資金使途にも制限はない。

 経営コンサルティング会社「ファインビット」社長で中小企業診断士の中村中氏は、この改訂を画期的と評価する。そこで、この仕組みが企業経営に与えるインパクトを語ってもらった。

中村 中(なかむら・なか)氏

中村 中(なかむら・なか)氏

中村 金融庁は、今年度からの金融検査マニュアルで、すぐには返済を迫らない借入金について資本とみなすという仕組みを導入しました。ただ、ほとんど報道されていないので、中小企業の経営者にはあまり知られていません。実にもったいないことです。

 この改訂によって、中小企業向け金融は大きく変わるはずです。株式のように、すぐに返済しなくてもすむ貸し出しに市民権が与えられ、とりわけ銀行などの金融機関が中小企業向けに柔軟な貸し出しをできるようになるからです。

株式のような借入金

――借入金が資本とみなされると、扱いが大きく変わる。これが認められるようになったのは、中小企業の資金需要が資本金のようなお金に移ってきたからだ。

貸借対照表

中村 会計を勉強した方は、そもそも返済のない貸し出しとは、資本金に近い性質を持つことはすぐ分かるでしょう。企業の財務状況を表す貸借対照表(バランスシート)の右側にある調達項目である貸方の上の方は負債で、下は資本です。資本と負債では、会計原則が違います。資本はいわば「最劣後ローン」であって、最後に返すものです。

 金融検査マニュアルは、借入金の実態に合わせて「十分な資本性が認められる借入金は資本とみなして、融資先企業の債務者区分を査定できる」と改訂されました。債務者区分とは、金融検査マニュアルの定義で、融資を受けた企業の財務状況などを中心に、正常先、要注意先、破綻懸念先などと5段階にランク付けしたものです。

 資本のような資金には、主に創業資金のほか、業種転換資金、成長分野の育成資金、M&A(合併統合)資金、自己株式の取得資金、事業承継資金の6つがあります。いずれも資本が少ない中小企業にとっては、少子高齢化が進んで必要性が増しています。すぐには返済のめどが立たなかったり、そもそもどんな収益で返すべきお金か分からない場合も少なくありません。

 こうしたお金は資本やエクイティと呼ばれ、今まで銀行などの金融機関は絶対貸しませんでした。銀行は本来、返済のない貸し出しは扱えません。あくまで将来企業が事業によって手にするキャッシュで返済が約束され、資金使途に見合った返済財源で期日までに返済されるという、いわば「つなぎ資金」が基本だからです。間接金融で他人のお金を責任を持って預かっているのですから、貸すのは企業にとっての負債だけ。しかも負債の項目で一番早く返してもらえる優先的な貸し出しのみを扱ってきたのです。しかし、それではもはや企業の資金ニーズに対応できなくなったのです。

配当と同じく業績に応じた段階金利

――金融庁によると、資本と認められる借入金は、借り入れ条件によって決まる。そのモデルケースとして、今年4月1日から政府系金融機関である中小企業金融公庫の「挑戦支援資本強化特例制度」が登場した。

 金融庁は「例えば中小企業金融公庫が1000万円を貸し出して債務超過を解消するのを呼び水に、他の民間金融機関も貸し出しするという使われ方を期待している」(繁本賢也検査局総務課課長補佐)という。

 債権放棄を迫られていたような銀行が、企業の負債を資本とみなされるように条件を変更したり、親会社から借り入れしている子会社の借入金が資本とみなされることも可能という。

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