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金融政策の理解度で、地域経済格差も

経営者がトクする金融検査マニュアルの活用法 その2

  • 大豆生田 崇志

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2008年5月19日(月)

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 前回は、銀行など金融機関が株式(資本)のような貸し出しが可能になった金融検査マニュアルの改訂について、経営コンサルティング会社「ファインビット」社長である中村中氏に解説してもらった。

 資本と認められる貸し出しが伸びれば、間接金融の仕組みで中小企業の資本を増強できるようになる。ただ、地域金融機関や税理士といった「民」が、金融商品取引法や会社法などをフル活用できるようになれば、直接金融の仕組みで、民間主体の「金融政策」が可能になる。中村氏は、それによって企業の経営力だけでなく、地方経済に格差が生まれる恐れがあると指摘する。そのためには、これまでの金融政策への体系的な理解が欠かせない。

中村 中(なかむら・なか)氏

中村 中(なかむら・なか)氏

中村 金融庁の金融検査マニュアルは、もとは国際決済銀行(BIS)の内部管理通達からスタートしました。BISは、日本銀行など世界の中央銀行に対する中央銀行という役割を果たしています。内部統制制度ができるまで、世界の金融機関は数々の不祥事が発覚して大パニックでした。どうしようかという時に、1998年に内部管理通達ができ、99年に金融庁は金融検査マニュアルという官の内部統制ルールを出しました。

 その源流は、89年の「ベルリンの壁崩壊」までさかのぼります。政府の統制が瓦解して、「小さな政府」が少ないルールで自由経済の秩序を守るために、それぞれ経済の最小単位である企業にルールを埋め込む仕組みが必要とされました。それが内部統制制度です。「大きな政府」から「小さな政府」に移行する過程で導入されたのです。

 日本でも今年度から上場企業には、金融商品取引法や会社法で「内部統制報告書制度」がスタートしました。ただ、内部統制書制度の重要性は、上場企業に限りません。未上場の中小企業でも、決算書など財務報告の信頼性を保つ目的で内部統制を導入すれば、銀行から借りるだけでなく、投資家から直接お金を集められるようになります。中小企業が、資本となるようなお金を集められるようになれば、さまざまな資金ニーズに対応できるようになり、日本経済を大きく変える原動力になるのです。

内部統制と直接金融は車の両輪

―― 内部統制制度は、それぞれ自らの規模や特性、リスク度に応じて自分でルールを決めるもの。ルールに沿ってチェックしてダメとみなされれば、経営幹部の責任が問われるというペナルティが内製化された。

中村 戦後の日本では、長らく企業の資金調達は間接金融が中心で、銀行が貸し出しをする際に、企業の財務内容の実態を調べて保証してきました。しかし戦前の日本は、直接金融が中心だったと言われます。

 日本は現在、間接金融から直接金融に大きく軸足を移そうとしています。内部統制で一番象徴的なのが、企業の財務報告です。それが正しいと分かれば銀行も投資家も金を出すようになりますが、正しくなければ直接金融は成り立ちません。つまり内部統制と直接金融は、車の両輪なのです。

――しかし、とりわけ地域金融機関は、こうした政策の流れに追いついていない。金融庁は、「地域密着型金融」(リレーショナルバンキング)という政策を進めてきた。しかし、地域密着型金融は事実上2度も失敗した。

中村 金融庁は、地域密着型金融という、いわば地域金融機関向けの金融再生プログラムをやってきました。2002年からメガバンクなど主要行向けに始められた金融再生プログラムと、半年後の2003年4月からスタートした地域密着型金融の精神は、不良債権問題を解決するという意味で同じです。しかし、世界的な要請で大企業向けの貸し出しに特別検査が入ったメガバンクの財務体質はきれいになったものの、地域密着型金融は、2度も失敗して、昨年度から3度目に突入しています。

 地域金融機関に対して金融庁は、過度に担保保証に依存せず、中小企業向けの貸し出しを増やしなさいと言ってきました。前回の記事で指摘したように、地域金融機関は、融資を審査する際に、その企業の財務状況だけでなく、地域への貢献度合いも見て企業に貸さなければならない「エリア審査」が可能です。担保の範囲を広げて考えるようになれば、旧来の担保に過度に依存せずに貸し出しができます。

 ところが、ほとんどの銀行員の担保の概念は今でも、不動産や株、定期預金のままです。その結果、地域金融機関は貸出を増やさず、不良債権問題も解決していません。「地域密着型金融の本質を必ずしも理解されていない」とまで総括されているのです。もう金融機関は、担保の概念を変えなければなりません。

「ガイドライン行政」が理解されず

――地域密着型金融が進まない背景は、金融庁の説明不足に加え、マスコミも報道しないため、政策の流れがなかなか理解されず、金融機関も従前の「監督行政」に慣れきっているためと指摘する。

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