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ホンダ、ついに「あの」クラブ入り

福井社長は「メリットない」とばっさり

2008年5月26日(月)

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 2008年度、日本の自動車メーカーはこれまでの順風から一転、強い逆風に立ち向かわねばならない。トヨタ自動車ですら3割の営業減益を見込むように、原材料費の高騰、北米市場の低迷、円高ドル安というトリプルパンチが直撃するからだ。

 環境の激変ぶりにメディアの関心が集中する中、ホンダの今年度計画に、ここ10年の自動車産業の移ろいを象徴する数字が盛り込まれていたことは、あまり話題にならなかった。

 それは四輪車の売上台数だ。2008年度、ホンダの計画によると四輪車売上台数は414万台の見込み。前年比では5.5%増と前の年の7.5%増から伸び率は鈍化するものの、初めて400万台の大台に乗る。

独立路線のホンダが「400万台」規模に

 ここであえて「大台」と言ったのは、自動車業界では「400万台クラブ」という言葉がもてはやされたことがあるからだ。その意味するところは、「年間400万台以上生産する規模がなければ、グローバル化した自動車産業では生き残れない」というもの。1998年の独ダイムラー・ベンツと米クライスラーの合併がきっかけとして、世界の自動車メーカー間でM&A(合併・買収)が繰り広げられた。その時期に生まれた言葉だった。

 当時、400万台を大きく下回っていたホンダ(1999年度は247万台)は、「(単独では)生き残れない」とされた1社。当然、こうした見方に経営陣は猛反発し、社長を務めていた吉野浩行氏(2003年まで社長、現取締役相談役)は「400万台クラブ」という言葉を聞くだけで不機嫌になったものである。

 周知の通り、この「400万台クラブ」はあだ花でしかなかった。「世紀の合併」とされたダイムラークライスラーの試みは失敗に終わり、多数の自動車メーカーやブランドを傘下に収めた米ゼネラル・モーターズ(GM)や米フォード・モーターは、さしたる相乗効果を出せないまま、手放すことになった。今年3月、フォードがインドのタタ・モーターズに「ジャガー」「ランドローバー」を売却したのは記憶に新しい。

ホンダの現社長である福井威夫氏

ホンダ社長・福井威夫氏

(撮影 村田和聡)

 90年代後半、「400万台クラブ」という言葉がありました。生産台数が400万台以上ないと自動車メーカーとして生き残れない、とね。大メーカーが部品を集中購買することでコストを下げ、すごい利益を出すんだなんてね。結局そんな話はありませんでした。ないんですよ、あんなの。我々もいろいろと考えたんですが、400万台に何のメリットがあるかというと、あまりなかったんです。

 台数が多いということは、それだけ販売チャネルの維持などにカネがかかります。米国ではインセンティブ(販売奨励金)による値引き販売競争が盛んですが、あんな競争をやっていたら(米国メーカーは)持ちこたえられないでしょう。

 これはホンダの現社長である福井威夫氏が、2003年6月に就任した際、本誌のインタビューに対して述べた言葉。現実はその通りになっている。M&Aに狂奔した勢力が没落する一方、規模の論理に反発し、独立を貫いてきたホンダが自力で400万台乗せを達成するのは、皮肉といえば皮肉。時代の空気に流されることの危うさを物語っているようにも見える。

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「ホンダ、ついに「あの」クラブ入り」の著者

細田 孝宏

細田 孝宏(ほそだ・たかひろ)

日経ビジネス 副編集長

1995年早稲田大学卒業。日経BPに入社し、日経ビジネス編集に配属される。日経アーキテクチュア編集、日経ビジネス・ニューヨーク支局長などを経て現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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