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大きく揺れる物価の舵取り

四川大地震、波乱含みの中国経済に追い打ち

  • 北京支局 田原 真司

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2008年5月28日(水)

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 5月12日午後2時28分、四川省汶川(ぶんせん)県を震源として発生した大地震は、世界に衝撃を与えた。19日正午現在の死者数は3万4000人を超え、最終的には6万人を上回ると予想されている。震源地の周辺では建物の8割以上が倒壊するなど、復興には長い時間がかかる見通しだ。

 ただ、被害の全容が明らかになるにつれて、中国経済全体に与える影響は比較的小さいとの見方が強まっている。壊滅的な打撃を受けたのは山間部の町や村が中心で、平野部の穀倉地帯や工業都市、幹線道路、電力網などは致命的な損傷を免れたからだ。

 今年1月末から2月初旬、中国は広い地域で未曾有の大雪害に見舞われた。吹雪や積雪による交通網の寸断で、食料品や石炭の価格が急騰。製造業では部品の供給や製品の出荷が止まるなど、影響が全国に広がった。

 「それに比べれば、地震の被災地の広がりは限られている。中国全体の成長を目に見えて鈍化させるほどではないだろう」。米シティグループの中国担当チーフエコノミストを務める沈明高氏は予想する。

地震発生日に金融引き締め

 むしろ警戒すべきは、震災による不安心理の連鎖反応だ。特に要注意なのが、物価の動きと、それに対する政府の対応である。

昨夏から物価上昇が加速

 中国では昨夏から豚肉、穀物、食用油などの食料品が大幅に値上がりし、市民生活を直撃している。国際的な原油・素材価格の高騰で、物価高は燃料や物流費にも広がりつつある。震災発生と同じ12日に発表された4月の消費者物価上昇率は、前年同月比8.5%と3カ月連続で8%を超えた。

 ただでさえ物価の先高観が強いところへ、震災の影響に対する不安が追い打ちをかけ、物価上昇が加速しやすい地合いにある。例えば豚肉。四川省は中国の豚の約11%を生産する大産地で、広東省、浙江省などの沿海部に出荷している。養豚場のほとんどは平野部にあり、地震の被害は小さい。しかし、供給不安に駆られた沿海部の業者が買い付けに走れば、さらなる価格高騰を招く可能性は否定できない。

 インフレは低所得者層の不満に直結するだけに、「調和社会」を目標に掲げる胡錦濤・温家宝政権は難しい舵取りを迫られている。今回のように大規模な自然災害が起きた時、金融当局は市場に潤沢な資金を供給してパニックを防ぐのが定石だ。ところが中国人民銀行(中央銀行)は、地震が発生した12日に預金準備率の0.5%引き上げを発表。さらに、2日後に公表した第1四半期の貨幣政策執行報告で、物価上昇とインフレの抑制に最重点課題として取り組むと強調した。

 「震災の影響の見極めを待たずに金融引き締めを打ち出したのは異例。物価抑制への強い決意を示す狙いではないか」と、三井住友銀行企業調査部の薗田直孝・上海グループ長は見る。

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