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顧客との最前線「コールセンター」に人材危機

このままでは「顧客満足経営」も絵に描いた餅

2008年5月29日(木)

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 製品サポートや通信販売などで顧客との最前線に立つのがコールセンター。ここから上がる生の情報を経営に生かすことは 多くの経営者が当たり前のように考えている。だが、その足元が脆弱な基盤の上に成り立っているとしたら、どう考えるだろうか。

 「プロの専門的な仕事と思っているが、世間はそう見てくれていない」。東京海上日動コミュニケーションズの執行役員、田口浩氏は嘆く。同社は東京海上日動火災保険の保険代理店向けのコールセンターを運営している。田口氏は、この業界に18年にわたって身を置く業界の古参である。

 消費者からの様々な問い合わせを受けるコールセンター。多くの人々が抱く業務の印象は単なる電話の受け答えかもしれない。だが、現実は違う。その業務は複雑かつ高度なものになっている。

東京海上日動コミュニケーションズのコールセンター。業務は複雑かつ高度なものになっている。

 東京海上日動コミュニケーションズの場合、問い合わせてくるのは、主に顧客に保険を販売する代理店である。東京海上日動グループには「代理店オンラインシステム」という情報システムがあり、約6万店の代理店がこのシステムを活用している。

 保険料の試算や契約書の作成、既存契約の照会など、代理店はこのシステムを使いこなす必要がある。ただ、代理店には自動車ディーラーや修理工場なども多く、必ずしもIT(情報技術)に精通しているとは限らない。自動車保険や火災保険、生命保険がパッケージになった「超保険」のように、商品内容も複雑になっている。

専用ソフトをうまく操作できない、パンフレットの印刷ができない、商品内容が分からない――。代理店から寄せられる様々な問い合わせに、同社のオペレーターは素早く、適切に回答しなければならない。「(東京海上日動火災の)社員が問い合わせて来ることもある。社員や代理店以上に、保険の知識を持っていなければ勤まらない」と田口執行役員は語る。

 この会社には当てはまらないが、商品の販売や契約業務、顧客の財産相談などコールセンターの役割は広がる一方。それとともに、商品知識やコミュニケーション力、問題解決力、コンプライアンス(法令順守)の理解など総合的な能力がオペレーターには求められている。

 それだけ業務内容が高度化しているにもかかわらず、一般的にオペレーターの地位は高いとは言えない。産業としても軽く見られているのが現実だろう。「誰にでもできる仕事ではない。このままでは、人材が集まらなくなってしまう」。田口執行役員は表情を曇らせる。

身近な存在も、就業数は不明

 確かに、コールセンター業界には魅力がない。

 コールセンターの国際的な認証規格「COPC-2000」の日本での認証、コンサルティングを手がけているプロシード(東京都新宿区、山田芳幸社長)によれば、コールセンター業界の退職率は年30~35%に上るという。COPC-2000は世界50カ国、1000カ所を超えるコールセンターが導入している認証規格である。

 この30~35%という数字は、同社に認証や監査を依頼してくる企業だけのデータに過ぎない。わざわざ監査を依頼してくるのは意識の高い企業だろう。「業界全体で見れば、さらに退職率は上がるのではないか」とプロシードの取締役を務める西野弘氏は言う。

 人材の入れ替わりが激しい理由の1つには、仕事のきつさがある。顔の見えない相手に説明していくのは神経と頭を使う作業。生やさしいことではなく、ストレスもたまる。それだけきつい仕事なのに、業界全体で広く通用する資格がほとんどなく、明確なキャリアパスも見えない。多くの産業で人手不足が叫ばれる現状。コールセンター業界はその影響を受けている。

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「顧客との最前線「コールセンター」に人材危機」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長