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第7回 今や「貨物のハブ」に、関空の苦渋

2008年6月6日(金)

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 24時間眠らない空港へ――。2007年8月2日、関西国際空港の第2滑走路がオープンした時、同空港のパンフレットにはそんなスローガンが踊った。

 3500メートルの第A滑走路に続く2本目のB滑走路供用。開港以来苦戦が伝えられてきた関空にとって、B滑走路の開通は、関係者から起死回生の一手と期待された。だが、そんな国土交通省や空港の思惑とは裏腹に、航空各社の見方は冷ややかだ。

関西国際空港第二滑走路

第2滑走路(赤枠)が供用開始になった関西国際空港

 「もともと関空は成田空港の補完的な国際空港としてスタートしています。成田が騒音問題で深夜離着陸できないので、海の上に空港を浮かべ、24時間利用できる本格的なアジアのハブ空港にしようとした。ただし、滑走路が1本しかないとメンテナンスする間、閉鎖しないといけないので2本目が必要だった。その2本目がようやくオープンにこぎつけたのです。だが、この間、関空の需要はさっぱり伸びていない。もう必要ないのではないかという声まであがっていたほどです」(国内大手航空会社幹部)

 水深が約20メートルの場所に海上空港を建設するには、投資は巨額になる。1本目の滑走路を整備した第1期工事だけで事業費は1兆5000億円、第2滑走路を建設する2期工事も総事業費は、ほぼ同額だ。2期工事は旅客ターミナルや貨物の積み卸しを行うエプロンの建設を先送りして投資額を削ったが、それでも9000億円に迫る。

 国が出資する株式会社関空は、まさに借金漬けの会社だ。貸借対照表を見ると、約2兆円の使用総資本のうち6割を、有利子負債額は1兆1200億円に上る。借入金はこれに無利子負債が2400億円加わる。一方、借入金返済の原資となる営業キャッシュフローは約430億円。借入金をこれ以上増やさず、投資キャッシュフローもかさまなければ、約40年後には完済できる計算だが、かなり厳しい。

 こうした財務構造でも、関空を運営する関西国際空港の村山敦社長は「格付けはAaa(編集部注:ムーディーズ・インベスターズ・サービス)」と胸をはる。しかし、高格付けなのは、国が出資する特殊会社ならではのこと。政府の保証がない普通の民間企業ならば、こうした高格付けになることは、まず考えにくい。

 オープン当初から、大阪や神戸、京都など中心部からのアクセスが悪く、巨額建設費が着陸料など空港利用料を高額にし、航空会社の就航意欲を削ぐ、という問題を抱えてきた関空。滑走路2本体制の確立により、変われるのだろうか。

4万4000回の開き

関西国際空港

関空のターミナル

 関空は、2007年夏季の国際線就航便数が1週782便と過去最高に達した。だが、そのうち590便はアジア便。さらに中国便が305.5便と大半を占める。本来、3500メートル級の滑走路があれば世界中どこへでも飛べる空港のはずだが、欧米路線は相変わらず成田が主流になっている。

 航空会社は関空での欧米路線を敬遠している状況だ。

 「94年のオープン当初は、日本の航空会社もワシントンやローマ、シドニーなどへたくさん飛ばしていたのですが、ファーストやビジネスクラスの客がほとんどないため採算に合わない。今はJAL(日本航空)9205もANA(全日本空輸)9202もつき合い程度にしか飛ばしていません」(大手航空会社幹部)という現状だ。

 こうした辛辣な見方も、関空の離着陸実績で見ると分かりやすい。第1滑走路の年間発着能力が16万回あるにもかかわらず、2006年度実績は11万6000回だ。4万4000回の空きがある。昨夏から第2滑走路が供用開始した2007年度は12万9000回と、ピークだった2000年の12万4000回を超えた。

 これは、第2滑走路オープンの条件として、国交省や税務省から今年度の13万回程度(関空は12万9000回と解釈)の発着達成を求められたからだ。今年は13万5000回のハードルを課せられている。

コメント13件コメント/レビュー

限られた需要を関西空港、伊丹空港、神戸空港で奪い合う構図を見る限り共倒れは必至。現滋賀県知事の嘉田さんが兵庫県知事なら神戸空港は作らなかったのでは、と妄想。バブリーな需要予測の元に行われた巨大投資のツケに苦しむ構図は某国の高速道路そっくりです。山崎養世先生から妙案が出てくればいいのですが…(2008/06/10)

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限られた需要を関西空港、伊丹空港、神戸空港で奪い合う構図を見る限り共倒れは必至。現滋賀県知事の嘉田さんが兵庫県知事なら神戸空港は作らなかったのでは、と妄想。バブリーな需要予測の元に行われた巨大投資のツケに苦しむ構図は某国の高速道路そっくりです。山崎養世先生から妙案が出てくればいいのですが…(2008/06/10)

全国の空港から関空を経由して大圏航路便に乗り継ぎさせることは難しいのですか?成田が現在の状況では関空がハブになりうるのではありませんか?関空経由で羽田は出来ないのですか?(2008/06/09)

連載をつぶさに読んでいるが、なかなか本質論に迫っていかないのが、そろそろもどかしくなってきた。取材内容を紹介するのは必要だが、問題意識がどの辺にあるのかが却って見えなくなってきた。/そもそも、空港建設に当たっての様々な反対運動とのせめぎ合いの中で、それでなくても広大な敷地を確保するのが難しい国情の中では、空港建設費用が嵩むのは自明の理で、そういう中で日本の空路に求める役割というものを考えるべきではないのか。そういう観点では、そもそもトランジット的な役割には日本は向いていないという見方になるのは自然なことであり、寧ろ終着地としての日本が世界からどの様に見られているか、こそが重要なのではないのか。(2008/06/09)

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三品 和広 神戸大学教授