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【争点を聞く】優越的地位の乱用、絶対に許さない!

竹島一彦・公正取引委員会委員長、独禁法改正法案の狙い語る

2008年6月4日(水)

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 カルテルや優越的地位の乱用に対する罰則強化などを盛り込んだ独占禁止法の改正案が、国会に提出されている。会期中の成立が危ぶまれているが、成立すれば企業に与える影響は大きい。

 今回の改正案で特に注目されているのが、優越的地位の乱用に対する課徴金の導入である。導入されれば、企業が優越的地位の乱用と判断された場合、取引額の1%を課徴金として課されることになる。

 既に公正取引委員会は、大規模小売りなどの大企業が優越的な地位を乱用し、中小企業から不当な利益を得る事例が後を絶たないとして、取り締まりを強化してきた。

 だが、中小企業は弱い立場にあるとの観点から、「優越的地位の乱用」を厳しく取り締まる公取委の姿勢は、国際的に見れば異色である。今年4月に京都で開催された世界76カ国から当局関係者が集まった国際会議「第7回 インターナショナル・コンペティション・ネットワーク(ICN)」。主催国である日本の公取委が、この会議のメーンイベントとして、あえて優越的地位の乱用に関するパネルディスカッションを企画し、各国の競争当局に問題提起をしたほどである。

 市場シェアなどを基準に判断できる「独占」や、複数の企業が共謀して価格をコントロールする「カルテル」については、罰則強化で各国の足並みは揃っている。だが、優越的地位の乱用については、何を基準に優越的地位を乱用していると判断するのか難しい。取り締まりを強化すれば、企業の経済活動を萎縮させるといった懸念もある。

 独禁法(国際的には競争法)は、公正な競争を促進する“経済憲法”とも呼ばれている。欧米の当局は、「競争法の目的は事業者保護ではない」との観点から、優越的地位の乱用を取り締まることについては消極的だ。一方、アジアなどの新興国の中には、日本の考えに理解を示すところもある。

 企業の活動がグローバル化する中で、独禁政策(競争政策)にもグローバルな視点が不可欠になっている。公取委の竹島一彦委員長に、優越的地位の乱用を中心に、独禁法強化の狙いを聞いた。

――独占禁止法の改正案では、課徴金の適用範囲を談合やカルテルから、優越的地位の乱用や、不当廉売などで競合他社を市場から締め出す「排除型私的独占」などにも拡大します。改正の狙いは何ですか。

公正取引委員会の竹島一彦委員長は、さらなる取り締まり強化に熱意を燃やす

公正取引委員会の竹島一彦委員長は、さらなる取り締まり強化に熱意を燃やす
写真:大槻純一

 これまで何度も、ガイドラインを出したり警告や注意をしたり、悪質な企業については法的処置を講じてきましたが、全体的には十分に改善しているとは言い難い。課徴金の対象になっていなかったから、抑止力が弱かったのでしょう。それで今回、実際に金銭的な不利益処分を課すことにしたわけです。

 日本では特に、大規模小売りの問題をはじめ、優越的地位の乱用が目に余ります。自分の努力、やり方だけで安い価格を提供しているのではなくて、納入業者をいじめることによって安く販売している事例が多い。安く売れば消費者は喜びますが、“納入業者いじめ”で安くすることは、競争のあり方としておかしいと思います。

 企業の規模を大きくしなければ効率化が進まないという考えは理解できます。規模を大きくして能率を高め、コストを抑えて商品を安く販売するのは結構なことで、むしろ歓迎すべきです。しかし、納入業者の足元を見て、不当な値引きや協賛金を要求し、それを値引きの原資の一部にするのは、長い目で見て決して消費者のためにならない。隙あらば利益を搾り取ろうという行為は見過ごせません。

――しかし、優越的地位の乱用を取り締まるという考えは、必ずしも欧米の当局では支持されていません。

 日本の独禁法では、第19条に不公正な取引方法をしてはいけないと書いてあります。具体的には16の類型が不公正な取引方法として指定されている。優越的地位の乱用、不当廉売、取引拒絶、再販売価格の強制などです。こうした不公正な取引方法というものを、一番熱心に取り締まっているのが日本であり、諸外国と比べてもユニークなところです。

 欧米、特に英米の競争当局は、こうした不公正な取引については問題にしておらず、競争法に規定すらありません。フランスやドイツの当局は問題だと認識し、競争法の中にもこうした取引を禁止する条文もあります。しかし、実際の執行はあんまり熱心ではありません。

 要するに欧米では、競争当局が取り上げるような問題ではないと考えているようです。特に、優越的地位の乱用まで競争当局が取り締まるとなると、通常の経済取引に対する介入度合いが強くなり、企業が萎縮してしまうことを懸念している。

 ただ、この点については各国の状況によって事情は異なるのだと私は思いますね。日本の場合は中小企業が非常に多い。しかも、本当の意味の契約社会にはなっていない。取引は通常、すべて契約を交わすわけですが、それが対等な関係を前提とした契約になっていない。実際には大企業と下請企業の関係に見られるように、一方的に突然、不利な内容に契約変更を迫られる、つまり契約違反が後を絶たない。

 米国でも日本的な泣き寝入りはあると思いますが、日本ほど社会的な問題にはならない。なぜなら、不当なことをされた被害者は多くの場合、裁判所に訴えるからです。日本のように「長年の商慣習でございます」なんて言って、泣き寝入りすることは少ない。

中小企業は未成熟、だから公取委が取り締まる

――しかし、独禁法(競争法)で中小企業を保護したら、ますます中小企業の自立を妨げることになりませんか。

 上のバナーよりアクセスしてアンケートに是非お答えください。宜しくお願いいたします。

コメント3件コメント/レビュー

当然ルール遵守を監視し違反企業は課徴金を課しルールの有効性を確認すべきである。(2008/06/04)

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「【争点を聞く】優越的地位の乱用、絶対に許さない!」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

当然ルール遵守を監視し違反企業は課徴金を課しルールの有効性を確認すべきである。(2008/06/04)

自分の職務分掌に外注関係の経費削減がある場合、立場上削減交渉をせざるを得ない。今、はやりの成果主義で結果が要求される。特に請負のような場合には、この削減交渉で要求を拒否することは難しい。特に格差社会で指摘される、昨今の派遣請負の現状はこの優越的地位の乱用の弊害ではないか。各社を厳しく査定すればすべて違法状態ではないかと思う。(2008/06/04)

乱用の判断について、「勉強していく」というのは非常に結構だと思いますが、結局のところ公正取引委員会での議論が判断基準となるわけで、規制される事業者としてはわかりにくいですし、法制度としても明確さを欠くのでは無いでしょうか…。(2008/06/04)

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