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子供をネット犯罪から守るのはだれ?

フィルタリングより有効なプロの“ネット教育者”の育成

  • 篠原 匡

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2008年6月9日(月)

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 特定サービスの閲覧を防ぐ「フィルタリングサービス」の導入を、携帯各社に義務づける――。与野党は2日、こうした対策を柱にした新法案に合意。今国会での提出と成立を目指す。出会い系サイトなどを通して犯罪に巻き込まれる子供は後を絶たない。そうした現状、ネット安全教育のプロを育てる試みが、大阪で始まっていた。

 大阪府と奈良県の県境にある大阪教育大学柏原キャンパス。5月23日、同キャンパスの「C-5 306号室」では、小中学校の教師を目指す大学生を相手に、一風変わった授業が繰り広げられていた。

写真1

大阪教育大学柏原キャンパスの「C-5 306号室」では、教員を目指す大学生が即興の寸劇を披露していた
(写真:山田哲也、以下同)

大学生A:「(携帯電話を眺めながら)めっちゃ、面白いねん」

大学生B:「何してんのん?」

大学生A:「(学校裏サイトの)書き込みや。おれら、これやってんねん。全然、バレへんからお前もやってみろや」

大学生B:「わっ、めっちゃ書かれとる。何や面白そうやわ。よっしゃ、勢いにまかして書いたれ。『死ね死ね死ね死ね』。あー、すっきりした。おい、お前もこれ書いてみいや。すっきりするで」

大学生C:「あっ、ああ」

 そして翌日――。

大学生B:「ところで、昨日の書き込み、あれ誰の悪口やったん?」

大学生A:「お前、知らんで書いとったんか。CやC」

大学生B:「マジかいな。『書いてみい』って言うてしまったわ。取り返しつかんことをしてもうた」

*      *      *

 長机を端に寄せた視聴覚室。目の前で、5人の大学生が即興の寸劇を披露していた。罵詈雑言を学校裏サイトに書く級友。それに勧められるままに、相手が誰か知らずに悪口を書き込む。それを、親友にも勧めたところ、悪口を書かれていたのはその親友だった、というストーリーである。

 携帯電話の気軽さと掲示板の匿名性がイジメを増幅させる。それを寸劇で表現していた。演技は1分。授業の最中に、5分ほどで即興のストーリーを考える。そして、演技終了後、他の学生と討論し合う。

写真2

田中博之(たなか・ひろゆき)氏
1960年北九州市生まれ。大阪大学人間科学部卒業後、同大学大学院人間科学研究科の博士課程在学中に人間科学部助手に。その後、大阪教育大学専任講師、助教授を経て現職。専門は教育工学、教育方法学。

 これは、「教育方法学演習」の授業の一コマ。小中学校の生徒に、インターネットの危険性や携帯電話の正しい使い方をどのように指導すべきか――。大学卒業後、小中学校の教員になる大学生に対して、具体的な授業の方法論を教える講座である。

 「この授業は参加型アクティビティと言います。即興の寸劇やロールプレイなど疑似体験を通して、加害者と被害者の気持ちを感じることを目的にした授業です。相手は小中学生。プリントを配って、ビデオを見て、感想文を書くといった教え込み型の授業では、退屈で聞いてもらえませんからね」

 にこやかな口調でこう語る男性は田中博之氏。ネット犯罪やネットイジメの実態を理解し、被害者にも加害者にもならないことを子供たちに自覚させる。いわばネット安全教育の“プロ教師”を育てようと試みる大阪教育大学の教授である。教員を目指す大学生にネット安全教育を行っている例はほとんどない。

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